スレオニン
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スレオニン | |
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一般情報 | |
系統名 | (2S,3R)-2-アミノ-3-ヒドロキシブタン酸 |
略号 | Thr, T |
分子式 | C4H9NO3 |
分子量 | 119.12 g/mol |
SMILES | CC(O)C(N)C(=O)O |
CAS登録番号 | 72-19-5 |
性質 | |
融点 | 256 ℃(分解) |
溶解性 | ギ酸に易溶 水にやや易溶 エタノールに不溶 |
水への溶解度 (g/100 g) |
9.00 (20 ℃) 12.2 (40 ℃) 19.0 (60 ℃) |
pKa | 2.20 8.96 |
等電点 | 6.16 |
ファンデルワールス体積 | 93 |
密度 | g/cm3 |
味 | L体: 甘(閾値 2.6 mg/mL) D体: 甘(L体より強い) |
出典 |
スレオニン (threonine) はアミノ酸の一種で、側鎖にヒドロキシエチル基を持つ。読みの違いでトレオニンと表記されることも多い。略号は Thr または T。
極性無電荷側鎖アミノ酸に分類される。必須アミノ酸の1つ。穀物中のスレオニン含量は比較的高いが、消化吸収が悪い。糖原性を持つ。
光学活性中心を2つ持つため4つの異性体がある。すなわち L-スレオニンには2つのジアステレオマーが存在するが、(2S,3R) 体のみが L-スレオニンと呼ばれる。(2S,3R) 体は天然にはほとんど存在せず、L-アロスレオニン (L-allo-threonine) と呼ばれる。
スレオニンキナーゼの作用によりリン酸化され、ホスホスレオニンとなる。
スレオニンを多く含む食品としてカッテージチーズ、鳥肉、魚、肉、レンズマメが挙げられる。
[編集] 生合成
ヒトはスレオニンを体内で作り出すことができないため、必須アミノ酸に分類される。一方、植物や大部分の微生物はアスパラギン酸から合成している。生合成の各段階は次のようなものである。まず、酵素アスパルトキナーゼがアスパラギン酸のβ-カルボキシル基をリン酸化する。次に β-アスパルテートセミアルデヒドデヒドロゲナーゼによって還元され、β-アスパルテートセミアルデヒドになる。これはスレオニン、メチオニン、リシンの生合成において重要な中間体である。これがホモセリンデヒドロゲナーゼ、ホモセリンキナーゼ、スレオニンシンターゼの作用によりスレオニンとなる。
蛋白質を構成するアミノ酸 |
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