スコット・ジョプリン

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スコット・ジョプリン

スコット・ジョプリン（Scott Joplin, 1868年 11月24日 - 1917年 4月1日）はアメリカ合衆国のアフリカ系アメリカ人の作曲家、ピアノ演奏家。ラグタイムにおいて最も有名な演奏家・作曲家であり、「ラグタイム王」と呼ばれている。

[編集] 生涯

1868年テキサス州リンデンの近くで、黒人奴隷農夫の父ジャイルと母フロレンスの次男として生れた。
1875年（7歳）家族と共にテキサス州テクサケイナ (Texarkana) に移り住んだ。早くから音楽的才能が現れ、バンジョーを上手くこなした。両親は彼の才能を伸ばすことに力を貸し、特に母は生活費を削ってピアノを買い与えた。この時代の黒人は、教育の機会も与えられず、仕事は限られていたので、何かしら黒人の身を助ける才能があればと母は願ったのだろう。
1876年（8歳）Julius Weissの指導で音楽を習う。
ピアノは独学と言われるが、10代でダンス音楽の演奏家になった。
1882年頃（14歳）親元から離れ、ミシシッピー河流域のサロンの1つメープル・リーフ・サロンで演奏、白人の音楽出版者ジョン・スタークに出会う。
1890年（22歳）頃セントルイスに移り住み、アメリカ中西部のサロンや売春宿で演奏。
1893年（25歳）シカゴのコロンビアン・エクスポジション隣接のスポーツ・エリアで演奏。
1894年（26歳）ミズリー州セダリア (Sedalia) へ移り住む。そこから、8人の仲間と共にテキサス・メドレー・カルテットを編成し、ニューヨークまで演奏旅行をする。
1895年（27歳）クラシック音楽のピアニスト作曲家としての人生を歩みたいと願い、黒人のためのジョージ・R・スミス大学で学ぶ。彼はヨーロッパのクラシック音楽とアフリカ系アメリカ人のハーモニーとリズムを結びつける音楽を追求していた。これは後日、音楽ジャンル「ラグ」として認知されるようになった。
1896年（28歳）9月16日カンサス&テキサス鉄道会社（The Katy, K&Tの意）の宣伝のためにテキサス州wako近くで行った車両同士の正面衝突（衝撃によるボイラー爆発で、5万人の観客の一部に破片が飛び、結局2名死亡と重傷者の出る大事故になったが）にジョプリンは作曲へのインスピレーションを感じ、"the Great Crush Collision" を作曲した。
1899年（31歳）この頃から以後15年間にわたって多くのラグが生れるようになった。
1900年（32歳）セントルイスに移り住み、ジョン・スタークと親交を深めた。スタークは彼の作品"「Maple Leaf Rag" を出版し、大成功を修める。
1901年（33歳）スコット・ハイデン (Scott Hayden) と共に"Sunflower Slow Drag"が生れる。ハイデンの妹、Belle Haydenと結婚したが、彼の音楽に理解が無く1903年に離婚した。
1902年（34歳）有名な「エンターテイナー」が生れた。
1903年（35歳）オペラ "A Guest of Honor" を作曲、このオペラは失われて残っていない。
1907年（39歳）33歳の Lottie Stokesに出会いその後10年を幸せに送った。Belleと違い、音楽を愛していた。
1911年（43歳）ニューヨークへ移り住む。オペラ "Reflection Rag", "Treemonisha" を作曲。
1917年1月中旬ジョプリンは梅毒により精神・肉体に異常をきたしてブルックリンの病院に入院（晩年は痴呆症が発現し入退院を繰り返していた）。
1917年4月1日死亡。死因は直接的には肺炎ということであったが、梅毒による複合的な身体機能の劣化であろう。

[編集] 出生について

ジョプリンは、テキサス州東部の州境地帯（アーカンソー州-ルイジアナ州-テキサス州）に位置するキャス郡の郡都・リンデン（Linden、人口およそ2万4千人）付近で、6人兄弟の次男として生まれた。出生に関しては、長年にわたって1868年 11月24日にダラスとリトルロックのほぼ中間に位置する同州ボウイ郡テキサカーナ（Tex ark ana,TX）で生まれたと考えられてきた。しかしながら、これが不正確であったことがラグタイム研究家のエドワード・バーリン（Ed Berlin）によって明らかにされており、現在では1867年 6月から1868年1月までの間に出生したのではないかという説が有力である。

[編集] 死後

彼の存命中、版権から得られる収入はあったが、重要な作曲家としては認知されず、1970年代になってようやくその音楽が見直された。

1973年、映画『スティング』の中で、彼の音楽が使われ大ヒット、音楽部門でアカデミー賞を得た。
1976年、彼のオペラ "Treemonisha" が演奏され、ピューリッツァー賞を得た。
1915年、オーケストラの代わりに彼のピアノでの演奏でオペラが公演されたことが一度あったが不評に終わった。それが精神的に相当な衝撃であったと妻 (Belle) は言い残している。

[編集] 作品リスト

Combination March - 1896年
Harmony Club Waltz - 1896年
The Great Crush Collision March - 1896年
Maple Leaf Rag - 1899年
Original Rags（編曲はChas. N. Daniels） - 1899年
Swipsey（Arthur Marshallとの共作） - 1900年
Augustan Club Waltz - 1901年
Peacherine Rag - 1901年
Sunflower Slow Drag（Scott Haydenとの共作） - 1901年
The Easy Winners - 1901年
A Breeze From Alabama - 1902年
Cleopha - 1902年
Elite Syncopations - 1902年
I Am Thinking of My Pickanniny Days（歌詞はHenry Jackson） - 1902年
March Majestic - 1902年
The Entertainer - 1902年
The Ragtime Dance - 1902年
The Strenuous Life - 1902年
Little Black Baby（歌詞はLouis Armstrong Bristol） - 1903年
Palm Leaf Rag - 1903年
Something Doing（Scott Haydenとの共作） - 1903年
Weeping Willow - 1903年
Cascades - 1904年
The Chrysanthemum（英語版Wikiでは二度目の妻Freddie Alexanderに捧げた、と書いてあるが、他のサイト（複数）ではLottie Stokesであり名前が一致しない） - 1904年
The Favorite - 1904年
The Sycamore - 1904年
Bethena - 1905年
Binks' Waltz - 1905年
Leola - 1905年
Sarah Dear（歌詞はHenry Jackson） - 1905年
The Rose-bud March - 1905年
Antoinette - 1906年
Eugenia - 1906年
The Ragtime Dance（1902年版の改訂で短縮版、初版の損失を埋めるため出版） - 1906年
Gladiolus Rag - 1907年
Heliotrope Bouquet（Louis Chauvinとの共作） - 1907年
Lily Queen（Arthur Marshallとの共作） - 1907年
Rose Leaf Rag - 1907年
Searchlight Rag - 1907年
The Nonpareil - 1907年
When Your Hair Is Like the Snow（歌詞は"Owen Spendthrift"） - 1907年
Fig Leaf Rag - 1908年
Pine Apple Rag - 1908年
School of Ragtime - 1908年
Sugar Cane - 1908年
Country Club - 1909年
Euphonic Sounds - 1909年
Paragon Rag - 1909年
Pleasant Moments - 1909年
Solace - 1909年
Wall Street Rag - 1909年
Stoptime Rag - 1910年
Felicity Rag（Scott Haydenとの共作） - 1911年
Treemonisha - 1911年
Kismet Rag（Scott Haydenとの共作） - 1913年
Magnetic Rag - 1914年
Reflection Rag（死後出版） - 1917年
Silver Swan Rag（死後出版） - 1971年