スカンク
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スカンク科 | ||||||||||||
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スカンクとはネコ目(食肉目) スカンク科に属する哺乳類の総称である。肛門の両脇にある「肛門腺」から、強烈な悪臭のする分泌液を噴出し、外敵を撃退することで知られている。
カナダ南部からアメリカ合衆国にかけての北アメリカ、および、中央アメリカ、南アメリカに生息している。
スカンク科には3属13種が属する。どの種も白黒まだらの体色をし、模様は種によってそれぞれ異なる。よく目立つ模様は外敵に対する警戒色となっている。
体長は40~68cm、体重は0.5~3kg。ふさふさとした長い尾をもつ。雑食性であり、ネズミなどの小型哺乳類、鳥の卵、昆虫、果実などを食べる。地中に巣穴をつくる。冬などは巣穴にこもることが多いが、真の冬眠をするわけではない。
スカンクは狂犬病の媒介者として知られている。テキサス州やカリフォルニア州などのアメリカ中西部では、人間が狂犬病にかかる感染源のトップに挙げられる。狂犬病に感染したスカンクはあらゆる動物に攻撃を仕掛けるため、これによって感染した家畜を介して、人間にも感染すると考えられる。なお、スカンクが肛門腺から放出した分泌液を介して狂犬病に感染した例は知られていない。
[編集] スカンクの悪臭
スカンクの悪臭の正体は、肛門腺から放出される分泌液によるものである。肉食獣の多くは肛門腺を有するが、そこから放出される分泌液を相手に吹きかける能力やその臭いの強烈さに関しては、スカンク科の動物は特に際立っている。
分泌液の主成分はブチルメルカプタン(C4H9SH)である。においは独特であり、硫化水素臭やにんにく臭など、文献によって異なる。スカンク臭という表現が用いられることも多い。
スカンクは分泌液を放出する前に、前足で地面を叩いたり尻尾を立てて肛門部を相手に見せたりするなど、特徴的な警告動作を行なう。特にマダラスカンクが行なう逆立ちの警告ポーズは有名である。
警告が無視された場合、スカンクは肛門腺を取り囲む筋肉を収縮させることによって分泌液を相手の顔を目掛けて噴射する。これは4~5m離れていても命中させることができる。分泌液が目に入った場合、一時的に目が見えなくなる。
悪臭は無風でも半径1kmの範囲まで届き、風向きによっては2km近くまで届く。分泌液は皮膚の蛋白質と強く結合するため、皮膚に付着した分泌液を取り除くことは困難である。また、分泌液が付着した衣服は脱臭が困難なため、破棄することを余儀なくされる。
脱臭には専用の脱臭剤が用いられることが多い。トマトジュースが使用されることもあるが、効果はあまりないようである。
肛門腺には5~6回分(およそ15cc)の分泌液が蓄えられている。空になった肛門腺に分泌液が再充填されるには、およそ一ヶ月程度必要である。
この武器の威力のため、スカンクは敵と対峙した場合に逃走することは少ない。そのため、たとえ相手が自動車であっても果敢に警告動作を行い、その結果、轢かれてしまうことも多い。
ほとんどの捕食者はスカンクを襲うことはないが、ワシやフクロウなど、頭上から襲いかかる嗅覚の鈍い捕食者には効果がなく、餌食となってしまうことが多い。
[編集] 分類
スカンク科には3属13種が属する。
- Mephitis属
- シマスカンク, M. mephitis
- セグロスカンク, M. macroura
- Spilogale属
- セイブマダラスカンク, S. gracilis
- トウブマダラスカンク, S. putorius
- ピグミーマダラスカンク, S. pygmaea
- ミナミマダラスカンク, S. angustifrons
- Conepatus属
- ブタハナスカンク, C. mesoleucus
- テキサスブタハナスカンク, C. leuconotus
- アマゾンスカンク, C. semistriatus
- アルゼンチンスカンク, C. chinga
- アンデススカンク, C. rex
- ペルースカンク, C. castereus
- パタゴニアスカンク, C. humboldti