シャミール
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シャミール(Shamil, 1797年-1871年3月, イマーム・シャミールあるいはシャミーリとも)は、ロシア帝国の北カフカース支配に対するムスリムの抵抗戦争(1817年-1859年)を率いたアヴァール人宗教指導者。1820年代、ダゲスタン・チェチェンに建設されたイマーム国家の3代目イマーム。
1797年、現在のダゲスタン共和国の小村に生まれる。1828年にメッカへ巡礼し、そこで出会ったアブドゥル・カディルからゲリラ戦を学んだ。
18世紀以降、南下政策を進めるロシア帝国は北コーカサスに達し、その過程で北カフカースのムスリムは、異教徒ロシア人に対する抵抗戦争を始めた。
1817年から1859年までの戦争で、シャミールは人々を巧みに統率し、ロシア軍に対して幾度も勝利を収めた。しかし、劣勢を見たロシアが大軍を投入し、1859年8月25日、シャミールは家族とともに拘束された。
その後、シャミールはモスクワに移送され、皇帝に謁見した。1869年、許可を得て、イスタンブルを経由してメッカへ旅し、1871年、メディナで没する。遺体は、イスラムの偉人たちとともにメディナで葬られた。
シャミールは、今も北カフカースのムスリムの尊敬を集めており、現在も続くロシアの支配に対する抵抗運動の精神的な支柱となっている。