ザクレロ
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ザクレロ(ZAKRELLO)は、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』に登場する架空の兵器。ジオン公国軍の宇宙戦用試作型モビルアーマー(型式番号:MA-04X)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 機体解説
ザクレロ | |
型式番号 | MA-04X |
所属 | ジオン公国 |
建造 | MIP社 |
生産形態 | 試作機 |
装甲材質 | 超高張力鋼 (超硬スチール合金) |
武装 | ヒートナタ×2 拡散ビーム砲×1 4連装ミサイルランチャー×2 |
主な搭乗者 | デミトリー |
MIP社により、キャリフォルニアベースにおいてビグロやグラブロに先駆けて開発された宇宙戦用モビルアーマーである。高速で移動し、拡散メガ粒子砲で敵機を撃破、および敵の視程外から加速してすれ違いざまに巨大なヒート・ナタでプロレス技のラリアートのように叩き切るというコンセプトで開発に着手した。そのため機体下部の2基の大型バーニアユニットにより推進し、そのバーニアユニットの前部と機体後部に2基ずつ設けられた姿勢制御バーニアで機体を制御する。推進力はあったが機体の運動性能の向上は望めなかったため正式採用には至らず、宇宙空間でのテストを前に開発途中で放棄された。
機体中央に拡散メガ粒子砲を装備し、射角が大きいため命中率は高いが射程が短いという欠点を持つ。拡散(偏向)型を採用したのは収束型メガ粒子砲を実用化する前の段階で開発されたためと考えられる。搭載されたパワーコンデンサーにより連射が可能であった。この偏向器の形状と合わせ複眼式のメインカメラによって顔面のような奇怪な形状(威嚇効果を狙った意図的なデザインであると思われる)となっている。ジオン軍にはMSやMAの顔の口に相当する部分にメガ粒子砲を配置する傾向があるようだ。
腕部はAMBACとして機能するとともに先端に格闘戦用のヒート・ナタを装備する。これはヒート・ホークの技術を応用したものである。また、機体側部には4連装ミサイルランチャーを装備する。
開発放棄後は各種武装のテストベースに用いられ、キャリフォルニアベース第3テストセンターで拡散メガ粒子砲のテストが4回行われている。これらの技術は後に移動砲座スキウレに流用されている。
余談ではあるが、ザクレロには、富野監督がスポンサーと喧嘩して、モデル化するならやってみろと、このようなデザインになったと言う逸話がある。
後のα・アジールと機体レイアウトの共通点が多い(口部分のメガ粒子砲、マニピュレーターの前腕部とプロペラントタンク兼推進エンジンなど)。
[編集] 劇中での活躍
ザクレロは『機動戦士ガンダム』ではテレビアニメ版にのみ登場する。ホワイトベースが再び宇宙へ上がった第32話にて、ザンジバルに搭載されていたが試作段階で放棄されたモビルアーマーとして登場する。ザクレロのテストパイロットでもあったジオン軍兵士のデミトリーが、先にビグロに搭乗して戦死したトクワンの敵討ちのため、指揮官であるシャア・アズナブルに無断で搭乗し出撃。ハヤトのガンタンクを圧倒しつつも、GファイターのBパーツ(後部パーツ)を装着したガンダムに撃破されている。
富士急ハイランドのアトラクション『ガンダム・ザ・ライド』内では、ア・バオア・クー宙域にザクレロが登場している。大河原による書き下ろしデザインで、外見はほぼ同じだがレーザー発射口にシャッターがついている。
『機動戦士Ζガンダム』作品中の地球降下作戦において未確認機(メッサーラ)の照合の際、一瞬モニターにワイヤーフレーム図面が表示されている。
[編集] バリエーション
[編集] 新人類戦闘力試験用モビルアーマー
新人類戦闘力試験用モビルアーマーは、美術展『GUNDAM―来たるべき未来のために―』の展示物に関する設定上存在する架空の兵器。フラナガン機関がニュータイプの戦闘能力を確認するために試作を提案した、ザクレロの改造機である。MSN-00Xという型式番号とバチザードという愛称が与えられたともいわれるが真偽は不明であり、そもそもこの機体が実際に製作されたかどうかも定かではない。
[編集] 概要
MSパイロットの反応速度に関する研究の過程でニュータイプらしき兆候を示す者が見出されたことから、フラナガン機関では彼らの軍事利用についても研究するようになり、そのための実験機の開発が計画された。対象者の多くがまだ若く、軍人としての訓練を受けていなかったため、機体の操縦は本職のパイロットに任せ、攻撃のみを担当させる複座式とすることが考えられた(この展示に関する設定では、ザクレロはもともと複座式であったとされている)。
本来ならば専用機を一から開発するのが望ましかったが、戦況と研究予算の両面で余裕がないため、未完成のザクレロ型試作機をベースに改造することになった。主な改造点は以下の通りである。
- メインカメラをモノアイ式に変更
- 改造ベースとなるザクレロ型試作機は、本体は完成したもののコストが高い複眼式メインカメラが未搭載のままになっていたものであり、これにモノアイを2基搭載して2人の搭乗者にそれぞれ1基ずつを割り当てる。
- 口部メガ粒子砲の廃止、遠隔攻撃用ビットの搭載
- それぞれモノアイを備えた無線式ビットを2基、口の中に搭載する。
- ヒート・ナタの廃止、格闘戦機能付攻撃ビットの搭載
- 近接戦闘も可能な有線式ビットを本体両脇に各1基(計2基)搭載する。
- 運動性能の向上
- バーニアユニット後部の形状を改良して推力の向きを変えられるようにする、重心を下げるなど。
- Iフィールド発生器の搭載
[編集] 劇中(?)での活躍
『GUNDAM―来たるべき未来のために―』の展示物の一つに「フラナガン機関の実験施設を再現した」と称するものがあり、そこに置かれている実験結果に関するレポートの中でこの機体の開発コンセプトが紹介されている。なお、この展示物では実験自体も再現しており、見学者が被験者として参加することができる(人数制限あり)。なお、バチザードの設計については、『GUNDAM―来たるべき未来のために―』の会場にて販売されていたカタログ中に、フラナガン機関の研究員とされるカンカンゼソルベウンム(もちろん展示物に関する設定)がキシリアに向けて書いた論文という形式で詳細が解説されている。ちなみにカンカンゼソルベウンムは、現実世界では、巨電という同人サークルの代表。