サディズム
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サディズム(英語:Sadism)は、加虐性欲ともいい、相手(動物も含む)に身体的精神的苦痛を与えることによって性的快感を味わったり、そのような行為を想像したりして性的興奮を得る性的嗜好の一つのタイプである。極端な場合、精神的な障害とも見なされ、この場合は性的倒錯(パラフィリア)となる。サディズムである人間のことを「サディスト」と呼ぶ。加虐性淫乱症とも呼ぶが、これは変態性欲の通俗概念などと同様、多分に差別的な呼称である。
ひとりの人間がサディズムとマゾヒズムを合わせ持っている状態はサドマゾヒズムと言われる。略として、サドマゾとも云う。
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[編集] 由来
嗜虐性向の強い小説作品を発表したり、実際にSM行為を娼館で行なっていたというフランスの貴族マルキ・ド・サドの名前に由来しており、クラフトエビングが造語した用語である。性的な倒錯として定義されたが、後に、加虐的な傾向一般をサディズム(Sadism)と云うようになり、性的嗜好のサディズムは、「性的サディズム(Sexual Sadism)」とも云い分けて区別することがある。
[編集] サディズムとは何か
まだ倫理観の発達していない年少の児童は、何の罪悪感も無く虫や小動物を殺すことがある。これは単純に好奇心の発露であったり、死という概念を持ち合わせないことからくる行為であることが多い。またすぐに喧嘩や言い争いに発展してしまう、すぐに暴力を振るう傾向の人物も少なからず存在する。そのためどのような人間でも加虐嗜好的要素を持ち合わせているということはできる。が、こうした暴力性はサディズム的ではあるが、性的嗜好としてのサディズムとは、意味や内容が異なる。
言葉の一般化にともない、本来の用法から逸脱している傾向があるが、サディズムは基本的に他人を虐待して喜ぶことではなく、他人を虐待することによって性的興奮を覚える性的嗜好を指す。嫌いな相手に暴力をふるい、叩きのめすことで爽快感を覚えるのは加虐性向(性格)だが、その際に性的興奮もしくは性的快感を覚えていればサディズム(より正確には「性的サディズム」)であるといえる。
ただある種類のサディズムは変態性欲、性的倒錯に規定されるため、このことより差別性が存在するのは事実である。また、世間一般で、サディストは変態だとか異常だとかいう偏見も存在する。しかし、性的嗜好における異常とか正常という問題は難しく、決めつけることは望ましくない(参照:正常と異常、性における健康)。
[編集] SMについて
サディストがその性的嗜好を満たそうとするとき、相手に対する威嚇や暴力による強制を行うのではなく、合意の上での行為である場合は、相手がどのような意味で、このような行為を受け入れているかで区別が生じる。人間関係の一環としての「性」を通じての交際の場合、許容できる範囲で、サディズムの人の要求に応えているが、積極的に加虐を受けることに快感などを感じない人の場合と、それに対し、加虐を受けることで、自身も性的興奮や性的快感を覚える人の場合がある。
後者の場合は、性的嗜好の別のタイプであるマゾヒズム(性的マゾヒズム)との人であるということになる。サディズムの人とマゾヒズムの人のカップルの場合は、性的嗜好において求めるものが、内容と方向が違っても、性的加虐と性的被虐で、相互に補完し合えるので、ある意味理想的だとも云える。また、相手がマゾヒズムの人でなくとも、売春などの場合では、娼婦・男娼がマゾヒストを演じることがある。こうして、「SM」という概念が成立する。
サディズムである人間が同時にマゾヒズムであるケースがあり、同じことであるが、逆の場合もある。「サディズム」・「マゾヒズム」の名称の由来となったサド侯爵とマゾッホも、この両方の性的嗜好を備えていたとされる。このような場合、「サドマゾヒズム」と呼ぶ。しかし、ある種のサディズムもしくはマゾヒズムの性癖を持つ人間が必ずサドマゾヒズムなのかというと、必ずしもそうとはいえない。「サディズムとマゾヒズムは表裏一体である」という主張があるが一概には言えず、区別する必要がある。
[編集] 快楽
暴力的な行為を行ないながら性的な快楽が得られるか、という点についてはランナーズ・ハイなどと呼ばれる脳内麻薬物質の作用をもとに説明することも可能である。ただし、SM行為とされる鞭打ちや緊縛は重労働であり、それらの疲労や興奮から「ハイ」になることも指摘できる。そのため「単なる暴力」であっても「快楽」を得ていると受け取ることも可能なため、サディズムと暴力とが違うものであると認識されにくい要因の一つにもなっている。
BDSM一般に云えることであるが、サディズムにおいてもマゾヒズムにおいても、心理的な補償や、カタルシスの効果が背景に多く存在する。発達課程におけるインプリンティングや学習、文化的・社会的な自己の存在主張(現存在の意味充足)などの実存的なプロセスもあり、人間における自由と束縛をめぐる心理複合の所産とも云える。
[編集] 派生語
- 通常サディズム、サディストともに「S」などと略す(かつては「S」は「レズビアン」を指す隠語だったので単体で使うようになったのは近年からである)。対義語はマゾヒズム・マゾヒスト(M)。
- 極端にサディスト的な性格の人間(またはそのような振る舞いや考え)を表現する「ドS」という俗語が漫画の台詞やバラエティ番組などで用いられている。対義語は「ドM」。