グランドスラム (ゴルフ)
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ゴルフにおけるグランドスラムとは、世界4大メジャー大会である
をすべて制覇することをいう。
女子の場合は
をすべて制覇することをいう。メジャー大会を生涯のうちにすべて制覇することを「キャリア・グランドスラム」という。
1930年に、当時28歳のボビー・ジョーンズが当時の世界4大タイトルであった全米アマチュア選手権、全英アマチュア選手権、全米オープン、全英オープンを1年のうちにすべて制覇した。スポーツ界において「グランドスラム」という言葉が用いられたのはこれが最初である。ジョーンズは生涯アマチュアを貫いたため、現在のゴルフ界の「グランドスラム」は当時の意味とは異なっている。マスターズ・トーナメントの会場である「オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブ」(アメリカ・ジョージア州)は、ジョーンズが競技生活からの引退後に設計したコースである。第1回マスターズは1934年に開催された。
女子のゴルフ・メジャー大会は、長い歴史の中で何度も変更されている。そのため「当時のメジャー大会をすべて制覇した選手」を網羅しなければならない。全米女子プロゴルフ選手権と全米女子オープンはずっと変わっていないが、他の2大会に変更があった点は注意を要する。最近でも女子メジャーの最終戦が、2000年までは「デュモーリエ・クラシック」であったものが、2001年から全英女子オープンに変更されている。大会開催時期も年によって異なることが多かった。
男子で(ジョーンズとは異なる)現在の定義による「キャリア・グランドスラム」を達成したプロ選手は5人いる。以下に選手名と達成年を記す。
- ジーン・サラゼン(Gene Sarazen; アメリカ、1935年)
- ベン・ホーガン(Ben Hogan; アメリカ、1953年)
- ゲーリー・プレーヤー(Gary Player; 南アフリカ、1965年)
- ジャック・ニクラス(Jack Nicklaus; アメリカ、1966年)
- タイガー・ウッズ(Tiger Woods; アメリカ、2000年)
ウッズが2000年の全米オープンから2001年のマスターズまでメジャー大会4連覇を達成した時、これを「グランドスラム」と認定するかどうかでマスメディアの間に論争があった。前人未踏の偉業であったけれども、“2年にまたがる”この記録は結局グランドスラムとは認定されず、「タイガー・スラム」と呼ばれることになった。
女子で「キャリア・グランドスラム」を達成した選手は6人いる。以下に選手名と達成年を記す。
- ルイーズ・サッグス(Louise Suggs; アメリカ、1957年)
- ミッキー・ライト(Mickey Wright; アメリカ、1962年)
- パット・ブラッドリー(Pat Bradley; アメリカ、1986年)
- ジュリ・インクスター(Juli Inkster; アメリカ、1999年)
- カリー・ウェブ(Karrie Webb; オーストラリア、2001年 → 2002年に“スーパー・グランドスラム”達成)
- アニカ・ソレンスタム(Annika Sörenstam; スウェーデン、2003年)
最初の2人、サッグスとライトの時代は「タイトルホルダーズ選手権」と「ウェスタン・オープン」がメジャー大会だった。(タイトルホルダーズ選手権は1937年~1966年&1972年まで、ウェスタン・オープンは1937年~1967年までメジャー大会であった。)5人目の達成者、ウェブは1999年のデュモーリエ・クラシック → 2002年の全英女子オープンを制覇しているため“スーパー・グランドスラム”と呼ばれたが、これは“過渡期”的な用語と言えよう。(もしインクスターが全英女子オープンを制覇すれば、スーパー・グランドスラム成立の可能性がある。ソレンスタムはデュモーリエ・クラシックで優勝経験がないため、スーパーには該当しない。)女子で(ジョーンズやウッズのように)メジャー4大会に連続優勝をした選手は、現時点では誰もいない。