キャディラック・CTS
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CTSは、アメリカの自動車メーカー・ゼネラルモータース(GM)が製造し、キャディラックブランドで販売されるセダン。デビューは2001年。市販車としては、キャディラックが「アート&サイエンス」と呼ぶデザイン哲学に則った外観を持つ最初のモデルである。
キャディラックは長年にわたりフロントエンジン・フロントドライブ(FF)にこだわり続けていたが、このCTSはシグマ・アーキテクチャと呼ばれる新設計のプラットフォームを採用し、フロントエンジン・リアドライブ(FR)レイアウトとしている。エンジンは前期型では2.6リッターもしくは3.6リッター、後期型では2.8リッターもしくは3.6リッターのV型6気筒。2004年にはシボレー・コルベットと同じ5.7リッターV型8気筒を搭載した(2006年からは6.0リッター)高性能版のCTS-Vもラインナップに追加された。用意されるトランスミッションは5段AT、5段もしくは6段のMT。生産はテネシー州に新設された専用工場で行われる。
従来、キャディラックは北米市場のみに注力してきたため、その他の地域では「キャデラック車はあまりに大きすぎる」と評価されており、ヨーロッパやアジアなどの市場では販売がふるわない状態が続いていた。また、CTSデビュー当時の米国でのキャディラックオーナーの平均年齢はおよそ60歳であり、本国では「リタイヤした老人が乗るクルマ」というイメージが強かったため、より若い消費者に受け入れられる車の開発が急務であった。こういった経緯から、これまでのキャディラックよりコンパクトでスポーティなCTSが誕生した。CTSの開発にあたっては、全く新しいFRプラットフォームの設計はもちろんのこと、ドイツ・ニュルブルクリンクサーキットでの3年にわたりテストを繰り返し走行性能を磨くなど、メルセデス・ベンツやBMWなどに代表される欧州製セダンを強く意識している。
日本仕様は右ハンドルも設定し、またオプションでカーナビゲーションを用意するなどしているが、販売は芳しくない。一方、中国では一時期、ノックダウン生産 (北米設計のキャディラックでは初めての海外生産) を行ったこともあるが、ノックダウン生産の関税の問題で米国からの輸入に切り替わった。
[編集] 関連項目
- 映画「マトリックス・リローデッド」 - カーチェイスシーンでモーフィアスたちが使用。劇中同様「蜂の巣」状態の車両が、映画のプロモーションの為に各国で展示された。
※また、映画「バッドボーイズ2バッド」にもカーチェイスシーンで使われ、意外な所では日本映画「釣りバカ日誌」にも登場している。