エルニーニョ
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エルニーニョ(El Niño)は、 東太平洋赤道上で海水の温度が上昇する現象。スペイン語で「男の子」(イエス・キリスト)の意味。
現在では「エルニーニョ」というと「エルニーニョ現象」の事をさす事が多いが、厳密には両者は区別される。
- エルニーニョ
- エルニーニョ現象
- 世界的、長期的に発生する海水の温度上昇現象。概要は下記参照。
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[編集] エルニーニョ/ラニーニャ現象
太平洋では通常貿易風(東風)が吹いており、これにより赤道上で暖められた海水が太平洋西側(インドネシア付近)に寄せられ、かわって東側には冷たい海水が湧き上がる。これを湧昇流と言う。エルニーニョが発生すると貿易風が弱まるため、暖められた海水が太平洋中央に進出、海水の温度が上がる。これにより世界各地で異常気象が発生する。近年は約4年ごとに発生し、一度発生すると1年から1年半持続する。
上昇する海水温は通常で1~2度、最大で5度。発生のメカニズムはまだ解明されていない。
エルニーニョが発生すると、日本では冷夏となる事が多い。世界では各地に高温、低温、多雨、少雨などが発生する。近年は2002年春~冬に発生している。
ラニーニャ現象(La Niña)は、エルニーニョ現象と逆に東太平洋赤道上で海水の温度が低下する現象。エルニーニョと同じく世界の異常気象発生の原因となる。ラニーニャはスペイン語で「女の子」の意味である。「アンチエルニーニョ」と呼ばれていたこともあるが、「反キリスト者」の意味にもとれるため、男の子の反対で「女の子(La Niña)」と呼ばれるようになった。
なお、エルニーニョ・ラニーニャ現象の世界共通の定義はない。
[編集] ENSO
エンソ。エルニーニョ・南方振動(El Niño, Southern Oscillation)の頭文字をとって命名された、海面の気圧が遠く離れた地域でシーソーのように連動して変化する現象。
地域はインドネシアと南太平洋東部で、片方の気圧が平年より高いと、もう片方が低くなる。エルニーニョと同じく、大気と海水が密接に結びついた現象のため、エルニーニョと一括して扱われる事が多い。
[編集] 南方振動指数
SOI. 南太平洋上のタヒチとオーストラリアの都市ダーウィンとの気圧差を指数化したもの。南方振動のレベルを示す値として使われる。エルニーニョ発生時はマイナスになる事が多い。
[編集] エルニーニョ監視海域
気象庁をはじめとする世界の気象機関がエルニーニョ監視のために設定した地域。
- NINO.4海域 太平洋西部の海域 (5°N-5°S, 160°E-150°W)
- NINO.3海域 太平洋東部の海域 (5°N-5°S, 150°W-90°W)
- NINO.1+2海域 ペルー沖 (0°-10°S, 90°W-80°W)
- NINO.WEST海域 インドネシア北部の海域(15°N-0°, 130°E-150°E)
[編集] エルニーニョもどき
東京大学の山形俊男教授が命名した現象。
太平洋中央部の海水温が上がることにより上昇気流が発生、これにより太平洋高気圧の勢力が強くなる。2004年夏に日本で発生した猛暑、集中豪雨の原因となった。