エリナー・リグビー
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エリナー・リグビー (Eleanor Rigby) は、1966年に発表されたビートルズのアルバム『リボルバー』と同時発売のシングルとして発表され、(英国では『イエロー・サブマリン』と両A面で、日米では同曲のB面として発表された)、同アルバムにも収録されたポール・マッカートニー作のストリングスをフィーチャーした曲である。
メインボーカルのポールの他には、バックボーカルのジョン・レノンとジョージ・ハリスンだけが参加しており、リンゴ・スターは不参加。
エリナー・リグビーという身寄りのない老女と、誰からも相手にされないマッケンジー神父という架空の人物を悲劇的に書いた物語的な曲。エリナーの名前は映画『ヘルプ!』で共演した女優エリナー・ブロンから、姓のリグビーはポールがブリストルで見かけた会社の名前から取った。(後に、リバプールのウールトン共同墓地にエリナー・リグビーの墓があることがわかった。但し歌詞に出てくるキャラクターとは関係ない。)なお、マッケンジー神父は最初は「マッカートニー神父」だったが、「自分の父親を登場させてはまずい」とポールが判断して新たに電話帳から選び出した。
作詞にあたってはリンゴが一節 ("Darning his socks…nobody there") を書き、ジョンは実質関与していない。それどころかジョンは、ポールが書いた曲の最後の詞 (Father McKenzie…No one was saved) を削るよう要求したと言われる。
ストリングス(弦楽八重奏曲…弦楽四重奏曲の2倍の編成)の編曲はジョージ・マーティンだが、ポールはマーティンに、「ヴィヴァルディ風に書いてほしい」と求め、マーティンもこれに答えた。『ザ・ビートルズ・アンソロジー2』には、弦楽八重奏だけの『カラオケバージョン』が収録されている。
この曲は、イギリスでは『イエロー・サブマリン』と両A面で発売され、共にチャート1位を獲得しているが、B面扱いで発売されたアメリカのチャートでは1位を取れなかった。重たい内容がアメリカのファンに受け入れられなかったという事もあるがそれでもベストテンに入れている。
現在では、リヴァプールにはベンチに座ったエリナーの銅像がある。
なお1984年、ポールのソロアルバム『ヤァ!ブロード・ストリート』(同名の映画のサウンドトラック)でアレンジされて再登場した。