エモやんの10倍プロ野球 セリーグ編
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エモやんの10倍プロ野球 セリーグ編(えもやんのじゅうばいぷろやきゅう せりーぐへん)は野球を題材にしたファミリーコンピュータ向けゲーム。発売元はヘクト。発売日は1989年12月19日。セ・リーグ編と銘打ってはいるが、選手名・球団名は日本野球機構からの承諾を得ていないため、非実名となっている。なお、パ・リーグ編は発売されていない。
[編集] 概要
エモやんこと元プロ野球選手江本孟紀の監修。スポーツの評論家や選手が監修を手がけるゲームの先駆けにあたる。タイトルは江本のベストセラーだった『プロ野球を10倍楽しく見る方法』からきているものと思われる。
それまで野球ゲームの定番だった『野球に似ているアクションゲーム』に対抗して、リアルな投打の駆け引きを売り物にした。中でも打撃は相手の投手が投げるコースを予測し、タイミングを設定して打つという、リアルさを追求した物ではあったが、非常に融通の利かないものでもあった。これは後の野球ゲームでは改良されてごく当たり前の物になっている。しかしながら、ファミコンの性能の限界を考慮に入れると、結果的には難易度を異常なまでに引き上げてしまった事になる。実際、異常に難易度が高く、最凶の野球ゲームに推す声も多い(ただし、ホームランバッターはインコース高めの投球だけ目掛けてバットを振ると楽々ホームランが打て、ピッチャーは打者が一度空振りしたコース目掛けて投球すると簡単に三振を奪えたり・・・とパターンをつかむと簡単に勝ててしまうという非常に大雑把な部分もあるゲームだった)。
[編集] 野球ゲームとしての評価
立体的にコースを表現する打撃、投球など、なかなか野心的なゲームではあったが、『ファミスタ』などと比較すると、ゲームとしての見劣りはどうしてもぬぐいきれなかった。ポリゴン使用で3D処理されたリアル体型の選手が登場する今日の野球ゲームの基礎を形作った事は評価に値するが、ファミコンの低性能が難易度を高くした事は否定の仕様が無かった。
また、野球ゲームでありながら一人プレイ専用で対戦プレイが出来なかったのも致命的といえよう。あまりの不人気や性能上の限界からか、パ・リーグ編の発売は当時は予定があったが、結果的には中止になった物と思われる(ただし、雑誌等には正式なタイトルの発表は無かった)。'90年にはゲームボーイで「エモやんの20倍プロ野球」なるタイトルが発表され、一部ゲーム雑誌には画面写真も公表されたが、こちらも発売には至らなかった。
[編集] 関連項目
- 生中継68 - 本作品と同様のシステムを取り入れた、X68000専用のゲームソフト。後の実況パワフルプロ野球シリーズの原点にあたる。
- シミュレーションプロ野球 - 古田敦也監修のプロ野球シミュレーションゲームシリーズ。本作と同じく、ヘクトから発売されていた(後にNECインターチャネルに発売元が移る)。