エイリアン (映画シリーズ)
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エイリアン(Alien)は、1979年のアメリカ映画、およびその後に制作された映画シリーズを指し、その作品中に登場する異星生物の名前でもある。
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[編集] 言葉としての「エイリアン」
そもそもエイリアン(Alien)という英語は、「異邦人」「外国人」の意味であったが、同映画公開と前後して、本来の生息環境ではない人間の世界に入り込んだ「異星人」を指す表現としても使われるようになった(平安京エイリアンなど)。詳細はエイリアンを参照。
[編集] 架空の生物としてのエイリアン(同映画シリーズに基く)
この映画シリーズに登場するエイリアンは基本的に、人間などの有機生命体を捕食、または殺害する事のみを目的に生存・繁殖する、強酸の体液と真空中でも生存可能な外骨格を有する強靭な肉体を持った異星生命体である。
「人間よりも巨大なミイラのようにスリムなゴキブリ」にも准えられるこの生命体は、強烈な程の生存本能を持ち、また、強い粘性のあるよだれ(よだれ自体は人間には無害だが、不快感を催させる)を頻繁に放出するので、野蛮で知能がないと思われがちだが、機械の動力を絶つ事で人間を無力化させられる事を理解できるだけの知能があり、更には自己進化的な多様性すらもつ、非常に危険な生物である。
エイリアンは、寄生対象の性質を色濃く受け継ぐ(宿主が犬の場合、成体は4つ足で移動する)ことが判明している。また、環境に対しても敏感で、短期間で環境に適応してしまう。これらの性質から、エイリアンは繁殖する環境、寄生対象によって特徴が異なるということが推測される。
作品を重ねるごとに擬人化が進んでいる。最新作においてはコミュニケーションとまでは行かないが、ある程度の意思の疎通が描かれている。将来的には高等動物であるエイリアンを害虫のように無条件に殺すことへの道義的な疑義が作品上において提起されるようになるとの意見もある。[要出典]
- ビッグチャップ(エイリアン)
- エイリアン・ウォーリアー(エイリアン2)[1]
- エイリアン・クイーン(エイリアン2)[2]
- ドッグ・エイリアン(エイリアン3)[3]
- ニュー・ウォーリアー(エイリアン4)[4]
- ニュー・ボーン(エイリアン4)[5]
- バトル・エイリアン(エイリアンVSプレデター)[6]
エイリアンの外見的な特徴には、以下の様なものがある。
- 頭部は前後に細長い形状をしていて、フードを持つ。(エイリアン・ウォーリアーのみ、アクションシーンでの破損をおそれ、またジェームズ・キャメロン自身の趣味によりフードが省略された)
- ビッグチャップのみ眼窩は持つが、眼は無い。シリーズ3に魚眼レンズのような主観視点が登場したが、撮影スタッフが思いつきで撮影したものでありエイリアンの視覚に関しては謎に包まれている。
- エイリアンには口の中にインナーマウスと呼ばれる第二の顎がある。これらは主に獲物を攻撃するのに使われる。噛み付く力は強く、カメレオンの舌のように飛び出して使う。その貫通力は凄まじく、人間の頭蓋はもちろん、硬い金属をも貫通するほどである。
- 歯は人間の歯に酷似していて、門歯や犬歯が見て取れるが、人間の歯に比べて犬歯が長い。
- 腕の力は強く、指先には鋭い爪がある。脚力は非常に強く、極めて高い瞬発力と跳躍力を備えている。また強固な爪と強力な握力とにより、何も凹凸の無い天井や壁に張り付くことも可能である。
- 尾は身の丈以上に長い。先端は槍のように鋭利な形状をしていて、岩石をも貫くほど硬い。鞭のように振り回すか、槍のように突き刺すように攻撃する。
- 外皮はそれほど強靭な組織ではなく、人間のショットガンの弾丸によって簡単に打ち破られ、プレデターのリスト・プレイドによって頭部そのものを一刀両断に切断されている。
- 外骨格ではないという説もある(シリーズ2)。また特殊な呼吸組織、もしくは体内に酸素を蓄えておく器官が存在すると考えられる。
- 血液は強酸性で金属その他のあらゆるものを猛烈に腐食させる性質を持つ。そのため幼体、成体ともにうかつに攻撃すると攻撃者も大きな被害を受ける。
[編集] 造型
なお映画制作上の話ではあるが、ギーガーはその独特の造形物頭部に、生物的な凄み(リアルさ)を与えるため、人間の頭蓋骨を用いたのは有名な話である。
また首廻りの管状の器官には、日本製の灯油ポンプが流用されているのも有名な話で、プロップから作られた精巧なコピーを仔細に観察すると、元の灯油ポンプに刻印された文字とJISマークが確認できる。
エイリアンが取り分け女性に恐怖を与える理由として、勃起したペニス状の頭部(ギーガーの絵画には性器の描写も多い)、そして人間に対し宿主として幼生を宿らせるところが、レイプを連想させるためだとする心理学者の解釈もある。恐らくギーガーはそれを意図して斯様な造型にしたのであろう。
頭はワラスボにも似ている。
[編集] 映画「エイリアン」(1979年)
エイリアン(Alien)は、1979年に公開された、アメリカ合衆国の映画、または劇中に登場する異星生物である。監督はリドリー・スコット。キャッチコピーは「In Space, No One Can Hear You Scream」〈宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない〉。1976年のアカデミー賞では視覚効果賞を受賞。Internet Movie Databaseでは「2001年宇宙の旅」に匹敵する高い評価を得ている。1980年第11回星雲賞映画演劇部門賞受賞。「スター・ウォーズ」に肖って製作されたSF映画。
[編集] スタッフ
- 製作総指揮 ロナルド・シャセット
- 製作 ゴードン・キャロル、デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
- 監督 リドリー・スコット
- 原案 ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
- 脚本 ダン・オバノン
- 撮影 デレク・ヴァンリント
- 美術 マイケル・シーモア、(ロジャー・クリスチャン ※アンクレジット)
- クリーチャーデザイン H.R.ギーガー
- クリーチャー造形 H.R.ギーガー、ロジャー・ディッケン
- クリーチャー効果 カルロ・ランバルディ
- 音楽 ジェリー・ゴールドスミス
- 提供 20世紀フォックス、ブランディワインプロダクションズリミテッド
[編集] キャスト
- ダラス(トム・スケリット)
- エレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)
- ランバート(ヴェロニカ・カートライト)
- ブレット(ハリー・ディーン・スタントン)
- ケイン(ジョン・ハート)
- パーカー(ヤフェット・コットー)
- アッシュ(イアン・ホルム)
※表記順
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 概要
貨物宇宙船ノストロモ号は、未知の異星文明の物と思われる、救助信号らしき電波を受信する。人類初となる異星人との遭遇のために、惑星LV-426に降り立ったクルーは化石化した宇宙船を発見する。その化石宇宙船の調査中、クルーの一人が巨大な卵(エッグチェンバー)のような物体から飛び出した生物(フェイスハガー)に襲われ、口から体内に侵入されてしまう。この生物は貨物船に連れ戻されたクルーの顔に強固にしがみ付いていたが、やがて自然にはがれて死んでしまい、襲われたクルーも順調に回復したかのように見えた。しかし突然、このクルーは苦しみ出し、その胸部を食い破って寄生生物(チェストバスター)が誕生した。恐怖に慄くクルーは、逃げた寄生生物を捕獲・処分すべく行動を開始するが、脱皮を繰り返して成長した、二本の腕と巨大な頭部を持つ、人間よりも大きく凶暴な二足歩行の捕食生物(ビッグチャップ)に一人また一人と殺されていく。さらに、捕食生物の生物兵器転用の可能性を目論む会社の意向を受けたアンドロイドの裏切りにクルーたちは追い詰められてゆく。最後に生き残ったクルーは、貨物船を爆破することによりこの生物を抹殺すべく奔走するが…。
[編集] 寸評
ストーリーは典型的なSFスリラー。比較的静かな写実的シーンと、突発的に起る残虐な殺害シーンのギャップが激しく、映画中に続く強い緊張と最後の最後に来るカタルシスの対比も、非常に完成度が高いと言える。当時、映画俳優として売り出し中のシガニー・ウィーバーをお色気に起用したセクシーシーンにより、彼女を一躍有名俳優の座に押し上げた。また鬼才H.R.ギーガーの創造した悪夢の如きクリーチャーは、同作品の驚異的ヒットにより、瞬く間に全世界に知れ渡った。今やSFホラーの金字塔と呼ばれている。また、「エイリアン2」とファンを2分しているが、Internet Movie Databaseでの評価は本作のほうが上回っている。
[編集] 日本語吹替
- 1980年10月10日(金)フジテレビ「 (ゴールデン洋画劇場) 」
- 1992年8月30日(日)テレビ朝日「 (日曜洋画劇場) 」
[編集] 外部リンク
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