ウルトラマンパワード
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『ウルトラマンパワード』は、円谷プロダクションがアメリカで制作した特撮作品、あるいはその劇中に登場する巨大変身ヒーローの呼び名である。
- 1993年12月17日:ビデオ発売。全13話。
- 1995年4月8日 - 7月1日:毎週土曜17:30 - 18:00 TBS系列にて地上波放送。
- 英題:Ultraman The Ultimate Hero
怪獣対特殊戦力チーム W.I.N.R. 及びウルトラマンパワードの戦いをアメリカを舞台に描く。日本で制作された初代『ウルトラマン』のリメイク作で、登場するウルトラマンや怪獣は全て初代ウルトラマンのそれをリメイクしている。作中、初代『ウルトラマン』と同じ世界と思われる発言があり、ウルトラ兄弟との繋がりがほのめかされた。
目次 |
[編集] 概要
『ウルトラマン』をアメリカのハリウッドの技術でリメイクするという方針により、脚本やデザインは日本側で行われたが、撮影は全てアメリカで行われた。怪獣やウルトラマンの造型は非常に良く、更に、着ぐるみ内部に細いパイプを埋め込み、冷却水を循環させてスーツアクターの負担を軽減するなど、日本より進んだ技術が用いられた。その一方で、アメリカ側のスタッフは、巨大化するヒーローを主人公とする撮影になれていないため、日本側から円谷プロのスタッフが監修として参加したが、細かく職種が分かれていて互いの領分を侵さないアメリカの映画制作現場のルールと衝突することがあった。
巨大感を出すためにウルトラマンと怪獣の動きはスローモーション撮影によるゆっくりとした動きとなっており、日本版ウルトラマンとはかなり違った印象である。
[編集] ストーリー
特殊戦力チーム W.I.N.R. のケンイチ・カイ隊員は、地球侵略を企むバルタン星人を追ってやってきたウルトラマンパワードと遭遇、ケンイチはパワードと一体化し、地球の平和のために戦う。
[編集] キャラクターとしてのウルトラマンパワード
- 身長:55メートル
- 体重:5万8千トン
- 年齢:1万3千歳
- 飛行速度:マッハ27
- 走行速度:マッハ9.99
- ジャンプ力:1800メートル
- パンチ力:1億トン
- キック力:2億トン
- チョップ力:レーザーメス以上の切れ味を誇る
- 戦力:初代ウルトラマンの5倍
[編集] 変身方法
カイは、「フラッシュプリズム」と呼ばれるカプセルのスイッチを入れることでウルトラマンパワードに変身する。
[編集] 能力
- メガスペシウム光線
- 両腕を十字に組み、腕のパワードスタビライザーに“気力”を集中させて、腕全体から放つ必殺光線。その威力はダイナマイト200万本分であり、初代ウルトラマンのスペシウム光線の5倍である。ドラコ戦では、1度目は敵の生体反射外骨格に反射されたが、2度目はW.I.N.R.のミサイル連射で負った傷口にエネルギーを集中させて放つ事で倒した。
- パワードスラッシュ
- エネルギーを丸のこぎり型に凝縮して投げつける、光のカッター。初代ウルトラマンの八つ裂き光輪よりも小振りである。鉄塔を30本まとめて切断できる。ドラコやゼットンに使用するも、効果がなかった。
- エナジーナックル
- 手のひらから放つ、白い光弾。ダダにダメージを与えた。
- パワードボム
- 両手で放つ光弾。ドラコに使用するも、効果がなかった。
- パワードバリヤー
- 透明な壁を作り出し、ドラコの高周波を防いだ。
- パワードアイビーム(本編未使用)
- 透視光線。
- テレパシー
- 人間の森林伐採に対する怒りで暴れるザンボラーに対し、テレパシーで語りかけて説得した。
- ウルトラ念力
- コンビナートの火災を、念力で静めた。
- ハンドシャットアウト
- ペスターの火炎を、両手で押さえ込むように受け止めた。
- エナジーリバース
- バルタン星人のバイオビームを両手で投げ返した。
- ボディリバウンド
- アボラスの溶解泡とバニラの火炎を、それぞれ手のひらで受け止めた。
- パワードパンチ
- パワードキック
- ウルトラ・ヘッドバッド
[編集] W.I.N.R.
Worldwide Investigation Network Responce の略で、超常現象や怪事件の調査・対応のために国連により編成された組織。
[編集] メンバー(俳優:声の出演)
- ケンイチ・カイ隊員(ケイン・コスギ:森川智之)
- 本編主人公。怪獣と戦うためにウルトラマンパワードと一体化する。地上での情報収集や後方支援を担当することが多く、滅多に戦闘機には乗らなかった。
- ラッセル・エドランド隊長(ハリソン・ペイジ:内海賢二)
- W.I.N.R. の隊長。命令があまり的確ではなく、自ら出撃してもすぐに撃墜されたりとあまり頼りにならない。
- テレサ・ベック隊員(サンドラ・ギイバード:戸田恵子)
- 科学、生物学等の知識に長けた W.I.N.R. のブレーン的存在。それを生かして怪獣などの弱点を探る。実質副隊長的な存在。個人的にパワードのことを研究・調査していた。
- リック・サンダース隊員(ロブ・ロイ・フィッツジェラルド:江原正士)
- W.I.N.R. の隊員。射撃担当。ジョーク好きで常に軽口を叩き、命令を無視することも多いが言うだけあって射撃の腕は一流。潜水艇を「イワシの缶詰になるのは御免だ」と毛嫌いしている。
- ジュリー・ヤング隊員(ロビン・ブライリー:久川綾)
- W.I.N.R. の隊員。ストライクビートルなどのメカの操縦を担当。頼りない言動が多いが、腕自体は確か。
[編集] メカニック
- ストライクビートル
- スカイハンター
- ローバー
- 特殊潜航艇S-22号
[編集] サブタイトル(日、英)、登場怪獣
話数 | サブタイトル(日・英) | 登場怪獣・宇宙人 |
---|---|---|
1 | 銀色の追跡者(On a Mission from M78) | 宇宙忍者バルタン星人(複数) |
2 | その名はウルトラマン(Catch a Kemura by Tail) | 毒ガス怪獣ケムラー この回で初代ウルトラマンと同じ世界なのがわかる。 |
3 | 怪獣魔境へ飛べ!(A Quaret of Creatures) | どくろ怪獣レッドキング(雄、雌) 有翼怪獣チャンドラー 友好珍獣ピグモン |
4 | 闇からの使者(The Dark Past) | 地底怪獣テレスドン 太陽の民(3人) |
5 | 電撃防衛作戦(Monstrous Meltdown) | ウラン怪獣ガボラ |
6 | 宇宙からの帰還(A Father's Love) | 棲星怪獣ジャミラ 謎の生命体 |
7 | 灼熱の復讐(Fire Below) | 灼熱怪獣ザンボラー |
8 | 侵略回路(The Dada Effect) | 三面怪人ダダ(A、B、C) |
9 | 復活!ニ大怪獣(Tails from the Crypts) | 青色発泡怪獣アボラス 赤色火焔怪獣バニラ 赤色火焔怪獣バニラ(再生) |
10 | 二人の英雄(Deadly Starfish) | 油獣ペスター |
11 | よみがえる巨獣(Dino Might) | 古代怪獣ゴモラ |
12 | パワード暗殺計画(Falling Stars Spell Trouble) | 彗星怪獣ドラコ どくろ怪獣レッドキング(雄) 宇宙恐竜ゼットン(シルエットのみ) |
13 | さらば! ウルトラマン(The Final Showdown ?) | 宇宙恐竜ゼットン 宇宙忍者サイコバルタン星人 宇宙忍者バルタン星人(複数) |
- 本作品に登場する怪獣は、劇中では上記の名で呼ばれ、書籍によっては日本のウルトラ兄弟シリーズの後を受けて「xxx代目」とカウントされる場合もあるが、『ウルトラマン』に登場した怪獣と区別するため、サイコバルタン星人を除き「パワードxxx」と呼ばれる事も多い。
[編集] スタッフ
- 製作:円谷プロダクション、ウルトラマンパワード製作委員会
- 製作総指揮:円谷皐
- プロデューサー:円谷一夫、渡辺繁
- 制作プロデューサー:ジュリエット・アボラ
- オリジナル脚本:伊藤和典、山口宏、ジョン・ダグラス
- 監督:キング・ワイルダー
- 特殊効果:ジョセフ・ビスコーシレ
- 音楽:佐橋俊彦
- 怪獣 & メカニックデザイン:樋口真嗣、前田真宏、三池敏夫
- 翻訳:佐藤恵子
- 調整:熊倉亨
- 日本語版演出:高橋剛
- 日本語版製作:東北新社
[編集] 主題歌
[編集] オープニングテーマ
[編集] エンディングテーマ
- 『この宇宙のどこかに』(ビデオ用)
- 作詞:松井五郎/作曲:鈴木キサブロー/編曲:矢野立美/歌:前田達也
- 『STARLIGHT FANTASY』(TV放送用)
- 作詞:森雪之丞/作曲:良実明宏/編曲:Y2/歌:須藤ひとみ
[編集] ゲーム版
スーパーファミコン版『ウルトラマン』のシステムを流用してウルトラマンパワードの実写取り込み画像に置き換えた内容。