アラン・ヒルズ84001
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アラン・ヒルズ84001 (ALH84001; Allen Hills 1984 #001) は、1984年12月に南極大陸のアラン・ヒルズで採取された火星起源の隕石の破片である。南極隕石探査プロジェクトの現地調査チームによって発見された7000以上の隕石の中の1つであり、その内部からは微細な原始的なイモムシのような生命体の化石らしきものが確認された。発見時のアラン・ヒルズ84001の重量は1.93キログラムであった。
アメリカ航空宇宙局によると、アラン・ヒルズ84001は今から約36億年前に火星で溶岩から生成された岩石であり、1300万年前から1600万年前に小惑星が火星に衝突した際に、破片として宇宙空間に飛散した。そして1000万年以上にわたって宇宙空間を漂流した後、約1万3000年前に地球に落下したと推定されている。
1996年、アメリカ航空宇宙局のデイヴィッド・マッケイ博士は雑誌『サイエンス』で論文「Search for Past Life on Mars: Possible Relic Biogenic Activity in Martian Meteorite ALH84001(火星での古代生命の探索:火星隕石アラン・ヒルズ84001中の生物活動の名残の可能性)」を発表し、アラン・ヒルズ84001には微小な生命の証拠が含まれていると報告した。
電子顕微鏡による観察の結果、アラン・ヒルズ84001には鎖状の構造をした、生物形態の残骸と考えられる「何か」が含まれていることが発見された。この直径は20ナノメートルから100ナノメートルであり、極小細菌の一種であると推定された。