たけしの挑戦状
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たけしの挑戦状 | |
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ジャンル | アクションアドベンチャーゲーム |
対応機種 | ファミリーコンピュータ |
開発元 | タイトー |
発売元 | タイトー |
人数 | 1人 |
メディア | 1Mbitロムカセット |
発売日 | 1986年12月10日 |
価格 | 5,300円(税抜) |
『たけしの挑戦状』(たけしのちょうせんじょう)は、1986年12月10日にタイトーが発売したファミリーコンピューター用コンピュータゲームである。ビートたけしが監修した作品として知られるが、ゲーマーの間ではその異常な難易度、かつ空前の理不尽さでも伝説的である。当時、解けなくて泣く子供が続出し親からの質問や苦情が相次いだ。略称は「たけ挑」。
ちなみにサブタイトルは「ポリネシアンキッド 南海の黄金」
目次 |
[編集] 概要
うだつの上がらないサラリーマンがある島に眠っているという財宝を探しにいく内容。当時、タレントやアイドルの名を冠したソフトは複数あったが、タレント自らが制作に携わったソフトは他になかった。
作品としてはクソゲーの代名詞的な存在となったが、当時のプレイヤーにあまりに強力なインパクトを与え、語り継がれる伝説的存在であるのは間違いない。それゆえ、復刻を望む声もごく一部ではあるが存在する。
本作の発売前日に、有名な「フライデー襲撃事件」が起こっている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] ゲーム内容
当時ファミコンにハマっていたビートたけしの、今までにない独創的なアイディアを入れたい、という意図を反映し「パチンコの最中にマイクでしゃべる」「なにも操作をしないで1時間放置する」など超難解な謎解きや常人ではほぼ不可能なアクションが要求され、「ファミコン通信」でのクソゲーランキングで1位を獲得。ゲームオーバーになると、画面が突然プレイヤーキャラクターのお葬式になることでも有名である。
「ゲーム開始画面で(まだ始めてもいないのに)いきなりゲームオーバーになる選択肢がある」「カラオケパブで歌を唄う(コントローラーのマイク使用)」「妻と離婚して慰謝料を払う」「会社を辞めて退職金をもらう」「ヤクザをボコボコにする」「店の看板などが極道的な内容」などのあまりに斬新な展開もユニークだが、やっとの思いでクリアしても終了画面で、たけしの顔と「えらいっ」という文字だけで片付けられ、そこからさらに5分放置すると、「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」という表示になり、クリアに苦労したプレイヤーにとってはあんまりなエンディングは今なお語り草となっている。このような型破りなストーリーは、ビートたけしが飲み屋で酔っ払った勢いで言った内容がそのままゲーム化されたものだ言われている。しかし、別の番組ではビートたけし本人が、「大田区の喫茶店で一時間話しただけのゲームだぜ」と語っている。
このゲームには二つのエンディングが存在することはあまり知られていない。一つは主人公が宝を手に入れるというエンディングだが、もう一つはゲーム中に登場する島の酋長の娘と結婚するという奇抜なストーリー展開となる。
また、「敵味方なくすべての登場人物を殴り倒せる(殺せる)」という暴力的な仕様は、近年の世界的ヒット作「Grand Theft Auto」シリーズを10年先取りしていたとも言える(GTA1の発売は1997年)。これでも、たけしがやりたかったにも関わらず、ハードウェアの制約や子供向けのテレビゲームには向かないという理由で、不採用になったり当初の意図より無難に改変されたものなど、多数あったとされる。
なお、このゲームの思わぬ悪評からか、たけしは技術の進歩で、今では十分自身のアイディアがゲーム機上で実現できうる環境が整っているものの、なおゲームソフトビジネスに携わることを頑なに拒み続けている。ちなみに、このゲームの後に『たけしの戦国風雲児』というソフトも同じくタイトーより、また『ファミリートレーナー 突撃!風雲たけし城』(これは元々当時の人気テレビ番組名から取ったもの)がバンダイより発売されているが、たけしは内容にはほとんどタッチしていないとされる。ただし、ビートたけし司会のテレビ番組『ビートたけしのこんなはずでは!!』2003年7月12日放送分にて、このゲームのゲームオーバーの画面を紹介したり、前述の「1時間放置する」行為をクイズ問題のネタにしたりするなど、このゲームの内容が多くの時間を割いてかなり深く掘り下げた形で紹介されたため、たけし自身はこのゲームの存在自体を拒んでいるわけではないようである。
当初は「たけしの挑戦状」こそが「風雲!たけし城」のゲーム化という発表であった(発売予定「(仮称)風雲!たけし城」)。それから数ヶ月ののち「たけしの挑戦状」というタイトルに変更・発売となった。ビートたけしとタイトーの事情をよく知らない当時の小学生達が念願の「たけしの挑戦状」を手に入れ、「風雲!たけし城」とは似ても似つかない意味不明なゲームであることに気づいた時、その落胆ぶりは容易に想像できる。クソゲーランキング1位に輝くのも当然といえば当然といえよう。
ちなみに、前述した番組内でビートたけしは、あまりに難解であったこのゲームに関して「どうも失礼致しました」と謝罪した。
[編集] 攻略本
当時、本作の攻略本を制作した太田出版では、あまりなゲーム内容に「攻略本を読んでも解けない(半泣きの少年もいたとのこと)」との電話が殺到し、対応に追われた編集者が「担当者は死にました」と対応した。問い合わせがあまりに多く、編集者が自棄になって回答したもので、実際には担当者は死んでいない。
後に、攻略本の続編を発売するという事態となった。なお、攻略本1作目は2回に分けて売ることで売り上げを伸ばすために、わざと役に立たないような内容ばかりを書いて出版したと言われている。
公式な解析本は出版されたが、1冊目はほとんど役に立たない…という理由から、「攻略本の攻略本」として2冊目が出版された。「攻略本の攻略本」が出版されるということは、ゲーム史上において類を見ないことである。
現在では、ネット上で完全攻略法が公開されているので、それを参考にすればよいが、異常な難易度である事には変わりが無い。
[編集] クリアのために
あまりの難解さに途中放棄するものが続出したせいか、パスワード等のゲームクリアに必要な情報が解析本(攻略本)以外の形でもリークされていた。しかし、インターネットなどまったく普及していないに等しい当時では、そのリーク情報も限られた範囲にしか伝わらなかったようである。代表的なものとして『すきすきすき(くり返し)~すきやき』がある。
比較的パスワード解析が容易だったためか、ゲーム中のあらゆる場所へ完全装備で行くことができる『猛者』もいた。
退職届を出さなかったり、離婚しなかったり、地図をくれた老人を倒さずにゲームを進めてしまったプレイヤーの嘆きは、筆舌に尽くしがたいものがあったと思われる。
上記以外にもパチンコ屋でヤクザを殴り殺して手に入れた玉が普通に交換所で交換できる(しかもクリアに必要なアイテムはこの方法でなければ手に入らない)などといった不条理な設定が多いのが特徴。その他ハンググライダーで4つ目の島を通り過ぎていくと赤い国(恐らくモデルは旧ソ連と思われる)という謎の国まで飛ぶことができる (ハンググライダーのシーンでは島以外には着陸できないようになっており、強制スクロールで逆戻りも不可。赤い国に入ると、直後に頂上が見えない高さの山が立ちふさがっており、地面かこの山に衝突してゲームオーバーになるしかない)。
カラオケイベントは、Ⅱコントローラーのマイク機能がなければそもそもクリアできないが、AV仕様のニューファミコンではマイク機能が削除されている。マイク機能を使用した謎解きを入れた他のゲームでは、セレクトボタンを用いることでマイク機能の代用としたものが多いが、本作に関しては、Ⅱコントローラーの下とAボタンを押すことでマイク機能を使用しているのと同じ判定がなされるようになっている。
[編集] ひんたぼ語
このゲームには、「ひんたぼ語」という言語が登場する。ひんたぼ語とは、このゲームに登場するひんたぼ島の住民が操る言語で、例えば「あ→い」「そ→た」というように日本語の仮名を一文字ずつずらすというように、シーザー暗号をかけたような言語である。ただし、濁点、半濁点も一文字と数え、数字についても1ずつずらす。また「ん」以降は「ん→っ→ゃ→ゅ→ょ→?→゛→゜→×→ー→あ」の順になる。「ぁぃぅぇぉ」「ゎ」「1ゑ」はそのまま読む。
例1:うぃきぺでぃあ → えぃくほ×と゜ぃい
例2:たけしのちょうせんじょう → ちこすはつ?えそっす゜?え
なお、カルチャーセンターでひんたぼ語を習ってからひんたぼ島に行くと普通の日本語で表示されるため、上記の文章にはお目にかかれない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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