えちぜん鉄道MC5001形電車
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MC5001形は、えちぜん鉄道が保有する電車。1両のみが在籍する。えちぜん鉄道の路線が京福電気鉄道福井支社の運営であった時代末期の、1999年に製造された。
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[編集] 車両概要
京福電気鉄道福井支社は1990年代に入って乗客減から経営が厳しくなり、廃線を検討するようになっていた。そのため新車投入もままならず、阪神電気鉄道などから譲渡を受けた旧型電車が多く使用されていた。
しかしこれでは乗客減を食い止める事は出来ないと考えられたため、沿線市町村から近代化のための補助を受け、新造車を投入する事にした。これがモハ5000形で、阪神系列の武庫川車輌工業(現・阪神車両メンテナンス)によって1999年に2両が製造され、2000年より正式運行についた。
予算の都合もあり、新製したのは車体のみであって、台車・電動機・冷房器などは阪神電気鉄道・豊橋鉄道などから譲渡を受けた車両、ないしは自社製造車両の旧型車を廃車にして流用する事にした。
車体は前面が「く」の字形に飛び出したものとなり、斬新なイメージを与えた。集電装置は下枠交差形パンタグラフ、車内は片開き3扉、ロングシートとなった。
[編集] 運用概要
[編集] 京福鉄道
前述の通り、2000年1月より正式運行が開始された。7月20日~9月21日には越前本線の終端である勝山駅がある勝山市で恐竜博が開かれ、5001形での2両運転も実施された。
だが2001年6月24日、越前本線の保田駅~発坂駅間で発生した列車衝突事故(京福電気鉄道越前本線列車衝突事故を参照)により5002が大破し、新製僅か1年半で廃車となる。京福電気鉄道自身もこの事故を契機に全線を運休し、さらには福井支社が保有する路線の全廃を決定した。
[編集] えちぜん鉄道
その後、第三セクター鉄道のえちぜん鉄道を発足させて永平寺線以外の運営を引き継ぐ事にし、2003年8月~10月に順次運行が再開された。これに際し、モハ5000形はMC5001形と改称した上で残存する1両のみが引き継がれ、2年半ぶりに使用を開始した。
なお2006年9月26日には、福井口駅にて福井大学によるリチウムイオン二次電池の走行実験が行われた。また、後には福井口-新田塚間、福井口-三国港間を試験走行した。(このリチウムイオン二次電池による実験は、これまでに福井鉄道の560形および600形についても行われている。)
[編集] 主要諸元
- 車長:20020mm
- 車幅:2772mm
- 車高:4155mm
- 自重:39.0t
- 定員:111名(うち、座席43名)
- 台車:DT-21
- 電動機:直流直巻MT-46(80kw)×4
歯車比(ギヤ比)5.6
- 制御方式:直並列電動カム軸式抵抗制御(PE-30-A2)
最終4ノッチ弱め界磁制御
- 駆動方式:中空軸平行カルダン駆動方式
- 制動方式:電磁直通空気ブレーキ(保安ブレーキ付き)
- 冷房装置:交流式ユニットクーラー(屋根上に設置)