あまいぞ!男吾
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『あまいぞ!男吾』(あまいぞだんご)は小学館発行の月刊漫画掲載誌「コロコロコミック」にて連載されていた漫画作品である。作者はMoo.念平。
平成2年度(第36回)小学館漫画賞受賞。コミックスは全16巻で、2001年に、復刊希望を受けて英知出版が全3巻の復刻本(完全版)を刊行した。
目次 |
[編集] 概要
男気溢れる主人公、巴男吾(ともえだんご)が家族や友人らと一緒に、ドタバタ活劇を繰り広げる作品である。しかし、男吾は豪傑で粗放な性格とは裏腹に、かなり義理人情に厚く、話は男吾の人情味・義理堅さによって展開していくことが多い。
とりわけ、小学生編は心温まる人情話が多く、名作も多い。また、小学校・中学校・青春立志と、主に3つの展開に分かれており、作品のスタイルも異なっている。
画力・演出も非常に優れており、20年を経た今でも、あまり古臭さを感じない作風である。ストーリー設定は、テレビドラマ「あばれはっちゃく」を参考にしただけあって、その雰囲気を色濃く感じさせている。
[編集] ストーリー
- 小学校編
男吾と転校生のお嬢様、奥田姫子(通称、お姫)を中心に、クラスメイトらと学校を取り巻く人々が繰り広げる学園ドラマ。二人の色恋沙汰が絡む展開も多く、男吾の男らしい優しさに姫子が惚れ直すというパターンである。他に、男吾の友情や純粋さが大人たちを説得していく展開、逆に子供らが親の愛を知るといった深いテーマの作品も多く、多くのファンがこの小学生編を最高潮であると呼んでいる。
- 大あばれ、中学校編
大文字学園に入学した男吾が繰り広げるシリーズで、人情味溢れた小学生編とは一線を画し、男吾が社会の悪や暴君に挑んでいく展開が多く、男吾の正義漢ぶりが垣間見られる。そして、ボクシングや剣道、柔道、フェンシングなど様々な格闘技が登場する(しかし、専門家の見解だと、荒唐無稽とも呼べるレベル)。男吾が闘った相手として、風紀委員及び柔道部員、ボクシング部鶴田、剣道部、紅静波、白鳥竜子先生、不破源治郎などがおり、十文字中学へ招かれたこともある。コロコロ連載時では最も人気が高く、この時期に小学館漫画賞も受賞している。
- 青春立志編
瀬戸内海の百戸島を舞台に、高校生でありながら轟学園小学校3年9組の小学校教師として活躍する話。男吾が担任するクラスは問題児クラスで、一癖も二癖もある児童らに自分の豪放な生き方を説いていくものであり、男吾に大人としての自覚が見受けられ、小学生編のような人情話も見られる。しかし、その割には中途半端なバトル展開も混ざったりして、あげくの果てには突如として、ケンカトーナメントなる展開に突入し、そのトーナメントも不評のためか、あっさりと打ち切られるように収束した(直後に連載終了している)ことで、今ひとつファンの評価は高くない。挙げ句に、ケンカトーナメントは当作品を語る上で、黒歴史と呼ぶ者さえいる始末である。
[編集] 登場人物
[編集] 巴一家の人々
各が格闘能力に優れ、男吾曰く、一家にいるときは気の休まるときがない。食事中さえもバトルである。なお、彼らの名前はそれぞれ甘味に由来している(男吾=団子、金時、安子=あんこ、知子=しるこ など)。なお、家計は中流程度だが、家は広く、専用の道場がある。最初は家族だけで使っていたが、金時のリストラを機に格闘技教室に使われる。
- 巴男吾(ともえ だんご)
- 物語の主人公。格闘一家の巴家の長男。父に金時、母に安子、姉に知子がいる。性格は縦横無尽、勉強嫌いで規則が大嫌い、時には腕力も平気で振るう熱血漢だが、本当は正義感が非常に強く、行動的で、情にも厚い。特に社会的な弱者には味方に回ることが多く、その純粋な心は何度も大人の心を揺り動かしている。姫子とは最大のライバルであり、かつ相思相愛の恋人。
- 巴金時(ともえ きんじ)
- 巴一家の大黒柱で、空手三段の猛者。だが、家庭では女性陣に悉く虐められている。安子曰く「穀潰し」で、何度も就職先を首になってその度巴家に危機が訪れていたが、本人提案の格闘道場「巴道場」が軌道に乗り、その師範(自称)として地位を得た。男吾にとっても最強にして、最大のライバルでもあるが、本人にとって安子こそが最大の天敵。
- 巴安子(ともえ やすこ)
- 巴一家のよき お袋で、姫子は理想的な母親だと言っている。男吾に似た豪快さが持ち味で、一応柔道二段だが、スタイルは柔道と言うよりプロレスである。しかし、見かけとは裏腹に手先は器用で、かつ懐もしっかりしており、洋裁や着物の仕立てなどの内職で、収入不安定な旦那を支えてきた。
- 巴知子(ともえ しるこ)
- 男吾の姉で、剣道二段。巴家ではいつも竹刀を振るっており、男吾より強い。しかし、弟と違って成績は優秀。性格はかなりガサツであるが、女性らしいしおらしさも見せることがある。自分と全く性格の違う男、華道部部長の大和撫郎(やまと・なでしろう)に一目惚れし、交際している。
[編集] 一文字小学校
- 奥田姫子(おくだ ひめこ)
- 大財閥、コンツェルンのご令嬢。しかし、本人は特別扱いされるのが大嫌いで、本来の優しい性格とは裏腹に問題行動を繰り返し、学校を転々としていた。男吾に惚れたのは、自分を特別扱いせずに本気で付き合ってくれたからである。男吾と打ち解けたことで、一文字小学校ではクラスメイトみんなと仲良くなった。成績優秀、容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能、ピアノもこなす、といいとこ取りであるが、唯一料理だけは殺人級の腕前であった(だが、その問題の料理も、巴安子の特訓の成果で克服した)。男吾からは「お姫」、女友達からは「お姫ちゃん」と呼ばれている。なお、巴道場の一番弟子でもあり、格闘能力もかなり高い。
- 大森ヒデキ(おおもり -)
- 坊主頭で太った少年。おしゃべりで軽い男と思われていたが、実は大の母親思いで、母が過労で倒れたとき、学校を休んで必死で店(大衆食堂)を切り盛りしようとしていたことがある(が、彼の作った玉丼はコメントのしようのない味、素うどんは「酢うどん」であった)。妹がいる。
- 玉美(たまみ)
- 姫子の親友で、男吾が姫子を泣かせたときは真っ先に突っかかる。バイオリンが趣味(腕前は問題外)。知り合いに漫画家がいる。男吾から「お玉」と呼ばれているが、本人は非常に嫌がっている。
- 二ノ宮修一郎 (にのみや しゅういちろう)
- 男吾のクラスメートで、秀才の少年。姫子に密かに憧れている。優等生タイプで、学級委員長を務め、油絵など多彩な趣味を持っている。卒業後は都立一中に進学。
- 中島ミユキ (なかじま )
- 男吾のクラスメート。弟思いで、家庭的な女の子。
- 負川勝(おいかわ まさる)
- 男吾のクラスを担任する男性教諭。独身で、出身は新潟。問題児の男吾に頭を悩ませていたが、ある事件を境に和解。もみあげが長く馬面で、愛称はモミアゲウマ。
- 山本典子(やまもと のりこ)
- 自分からテン子先生と呼ばせていた教育実習生。見かけの明るさに対して、かなりの理論派であり、計算高い。理想の教育を夢見ている。
- 岸(きし)
- 一文字小学校保健室の医務員。いつも喧嘩の度に怪我をする男吾はお得意様であり、悩みの種でもあった。しかし、本当は男吾の味方で、署名運動の時に本音を放っている。
- 古塚伊助(こづか いすけ)
- 一文字小学校の用務員で、世話好きで子供好きな性格から、児童みんなの人気者。しかし、負川等教師陣からは煙たがられていて、授業を妨害したなどの理由で辞めさせられるところだったが、男吾等児童の抗議で撤回された。男吾のクラスメートのトン子は彼の孫娘。
[編集] 十文字学園
- 円谷操(つぶらや みさお)
- 中学編のヒロイン。円谷アスレチックジムの娘で、当初は「巴道場」に客を取られて男吾を憎む敵として登場した。しかし、再登場したときは完全に男吾に惚れ込んでおり、自ら何度も公言している。しかし、男らしくない男は嫌いであり、男吾以外の異性にはほとんど見向きもしない。予定なら、姫子の恋敵として演じられるはずであったが、意外にもその展開はなく、あっさり引き下がっている。格闘能力は高く、頭もいい。さっぱりしているが、時々小悪魔的な性格が出る。
- 河内文太(かわち ぶんた)
- 大阪出身の大食漢。学園逃亡の罪で、男吾と同じ監獄に閉じこめられた。相撲部所属で、パワーは男吾に匹敵する。休憩時間での男吾との相撲の一番はある意味、学園の名物でもあり、野次馬が多い。
- 豆田陣八(まめだ じんぱち)
- 男吾に何度も果たし状を送り込む男。スピードと握力はかなりのもので、男吾を兄貴と呼び慕い、自分も一番弟子を名乗っているが、二階堂姉妹にあっさり返り討ちされたり、安子に最弱呼ばわりされたりと、全く立場がない。三角の顔で、通称「オニギリ」。
- 北島剛 (きたじまつよし)
- 学園台風の異名を持ち、体重110㎏の巨漢。かなり粗暴な性格で、安眠を妨げる者は誰であってもぶっ飛ばしてしまう。男吾とほぼ互角の強さ。
- 関和美 (せきかずみ)
- 新聞部に所属する少女。かなり気が強く、正義感も強い。出っ歯であり、男吾たちからは「ネズミ」と呼ばれている。書く記事は主に暴露ネタとゴシップ。
- 二階堂乱(にかいどう らん・姉)、二階堂舞(にかいどう まい・妹)
- 吊り目の双子姉妹。元々は十文字学園の生徒で、プロクラスのボディーガード。男吾に完敗してから、リベンジを果たすために大文字学園にやってきた。妹の方は密かに男吾に懸想しているようである。
- 火山(ひやま)
- 男吾が大文字学園入学の契機となった空手部の先輩。腕っ節の強さは男吾と互角かそれ以上の強者だが、恋愛には全くの奥手。トレードマークの逆立った髪もしなびてしまう。大矢高等学校に進学し、下宿生活をしている。
- 倉田 (くらた)
- 白鳥竜子(しらとり りゅうこ)
- 問題児締め出しを図る教頭(ヤツレウナギ)の手下を装っていた女性教師。本当は文部省から派遣された視察官で、真贋を見極める能力に長けている。パワー、スピード、ボディーの頑丈さは男性以上で、男吾より断然強い格闘能力を持つ。本作品の最強候補。
- 荒巻 (あらまき)
- 大文字学園の教師。厳つい風貌をしており、見かけはほとんどヤクザ。言い訳や曲がったことが嫌いで、正義感は人一倍強い。キックボクシングの経験を持ち、喧嘩の強さもかなりのもの。カオリ先生に惚れている。男吾は「アゴマキ」と呼んでいる。
- カオリ先生
- 大文字学園には似つかわしくないほど華奢な女性教師。担当は美術。温厚だが、物怖じせず言いたいことはきっぱりと主張するタイプ。男らしい荒巻先生を好意的に受け止めている。
- 鶴田 (つるた)
- ボクシング部に所属するスキンヘッドの男。カミソリのように鋭く、稲妻のように速いパンチを繰り出す。性格はかなり狡猾であったが、勝負に関してはフェアプレイ精神も持っている。
- 紅静波(くれない しずは)
- 一条真琴 (いちじょうまこと)
- 大文字学園剣道部主将で、剣道をこよなく愛する。ある事情から男を装っていたが、合宿中に女であることを見破られてしまう。「波切り胴」を得意技とする。
- 不破源治郎 (ふわ げんじろう)
- 全国津々浦々を歩き回り、果たし状をかき集める謎の青年。学園荒らしの不破と恐れられ、常人離れしたパワーを持つ。だが本当は大の母親思いであり、母親の遺言である「強い男になれ」を勘違いして受け止めていただけである。「~ズラ」が口癖。
- 聖直也 (ひじりなおや)
- 一文字学園に通う少年で、巴道場で実力№1。見かけのベビーフェイスに反して非常に強く、柔術を得意とする。姫子に惚れており、その腹いせに男吾を嵌めようとした。
[編集] 轟学園
- 神崎円(かんざき まどか)
- 花を愛でる、優しくて明朗快活な女の子。青春立志編のヒロインで、男吾をすごく慕っている。父親はプロレスラーのゴッド神崎だが、彼女がケンカで苛められるたび父親がしゃしゃり出たせいで、都内の学校を出て行く羽目になったため、当初は父親をすごく嫌っていた。
- 磯辺五郎(いそべ ごろう)
- 学校をサボって釣りばかりしている少年。泳ぎは上手い。
- 谷山愛(たにやま あい)
- 絵を描くのが好きな、内向的な女の子。声が凄く小さいが、言いたいことはすっぱり言ってしまう勇気も持っている。
- 大塚大地(おおつか だいち)
- 親子で農作業を営む元気な少年。大声で馬鹿力が自慢で、「働かざる者、食うべからず」が家訓。
- 半田修(はんだ おさむ)
- 名の通りハンサムな少年。だが、親から来る手紙を全く読まないことから、他人には言えない家庭事情がある。
- 城戸満(きど みちる)
- 猫をこよなく愛する、少し太り気味の少女。少し臆病者で、カナヅチ。
- 小笠原勉(おがさわら つとむ)
- ひたすら教科書ばかり読んでいる少年。性格は暗く、完全に殻に閉じこもっていた。
- 早川夏実(はやかわ なつみ)
- 島の寿司店、けんか寿司の看板娘。身長が145㎝と小学校三年生にしては高い。奇抜な寿司をお客に出すのが好き。
- 横田仁(よこた じん)
- テンガロンハットを被った細目の少年。
- 工藤進太郎(くどう)
- 通称、ゴクドー先生。国体選手にもなったことのあるスポーツ万能タイプで、8組の人気者。当初は男吾を嫌っていたが、男らしさを見直して和解する。喧嘩の腕も相当なもので、トーナメントの覇者。
[編集] 番外編
あまいぞ!男吾には大人になった男吾とその子供である男児の活躍が描かれた作品がある。一つは連載終了後に書き下ろされた完結編であり、もう一つは英知出版刊行の漫画誌「トラウママガジン」創刊号の読切として描かれた「だんじて!男児」である。主役は男吾の息子である巴男児で、ヒロインは奥田姫子にうり二つな美少女、岡田ヒロコ。他に男児のライバルである井成、デーブ三兄弟などが登場する。特に後者の方は、連載終了から10年近く経過しているにも関わらず、驚くべきことに、ほとんど男吾連載時と画風の変化がないので、違和感を感じることなく続編として楽しむことができる。