JR北海道731系電車
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731系電車(731けいでんしゃ)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)の交流通勤形電車。
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[編集] 概要
札幌地区の近郊輸送に使用されてきた711系の老朽取替とスピードアップを目的に1996年(平成8年)から製造された、JR北海道初の本格的な通勤型車両である。
オールロングシート、デッキを廃止した室内、キハ201系気動車との協調運転機能など、従来の北海道型にない数々の新機軸を盛り込んだ車両である。1996年12月24日に営業運転を開始した。
製造は川崎重工業・日立製作所である。1999年までに3両編成19本57両が導入された後、しばらく増備が途絶えていたが、2006年に3両編成2本(6両)が増備された。
クハ731-100+モハ731-100+クハ731-200の3両で編成を組んでおり、本形式には0番台は存在しない。
[編集] 車両の特徴
車体は軽量ステンレス製で、上方窄まりの台形断面をもち、片開き式の客用扉を片側3箇所に設ける。車体側面の帯色はライトグリーン+赤。
運転台は、視認性を向上し、踏切事故の際に運転士を保護するため、衝撃吸収構造を採用した高運転台式となった。これは従来のJR北海道の普通・快速列車用車両とはイメージを異にし、いかつい印象を受ける。初期の4本(G101~104編成)は、先頭車前面・バンパー部分のジャンパ栓の上に当たる部分に切り欠きが設けられている。冬期間の石跳ねによるガラス破損を防ぐため、運転台助士側の前面窓および全ての側窓にポリカーボネート製のものを採用している。
IGBT素子式VVVFインバータ制御を採用し、電力回生ブレーキを装備する。このため、721系のような屋根上のブレーキ用抵抗器は装備しない。パンタグラフは当初、721系と同一の下枠交差式を装備したが、後に全車シングルアーム式に換装されている。
台車は軸梁式、ヨーダンパ付のボルスタレス台車(N-DT731/N-TR731形)で、床面高さを下げるため車輪の直径を小さくし、810mm径としている。基礎ブレーキ装置は踏面両抱き式で、特殊鋳鉄制輪子を装備する。この制輪子はJR北海道の他形式と同様の苗穂工場製で、冬季の降雪やレール凍結時の条件下でも、最高速度の130km/hから500m以下の制動距離で車両を停止させることができる。
車内はすべてロングシートで、ドア隣接の座席は跳ね上げ式で格納できるシートになっている。乗降の円滑化に鑑み、従来の北海道型車両にあった客室を仕切るデッキは廃止された。これに代わる寒冷対策として、ドアの上と横から温風を送り込み冷気を遮断するエアカーテン、遠赤外線暖房装置、ボタン開閉式の半自動ドアを装備している。
その他、ドアチャイム・自動放送装置・車内案内情報装置(次の停車駅の表示機能のみ)を装備する。これらのシステムは後に製作された721系(2003年製8次車、4000・5000番台)にも採用されている。
クハ731-100に和式トイレを装備する。2006年増備の2本(G-120、G-121編成)は車椅子対応の大型洋式トイレを設置し、このため後位客用扉の位置が前方に移されている。
721系・キハ201系と併結運転ができ、キハ201系との併結では現在日本で唯一の気動車と電車の総括運転が行われる。
- ※過去にはJR九州にて、485系とキハ183系1000番台との総括運転による特急列車が存在した。
[編集] 運用
函館本線・千歳線の札幌周辺地区で、普通列車に運用されている。
3両編成が基本であるが、朝及び夕方以降の混雑時間帯は731系同士のほか、721系やキハ201系との併結で6両編成としても運用される。 キハ201系との協調運転は本系列特有の機能であるが、2006年3月現在のダイヤでは朝ラッシュ時の3本のみで行われるにとどまる。
[編集] その他
[編集] 関連項目
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