ADHD
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ADHDは多動性、不注意、衝動性を症状の特徴とする発達障害の一つ。DSM-IVによる正式名は注意欠陥・多動性障害 (AD/HD: Attention Deficit / Hyperactivity Disorder) 。子供ではICD-10によるほとんど同様の症状を指す多動性障害(たどうせいしょうがい、Hyperkinetic Disorders F90)の診断名が使われることが多い。その症状により様々なタイプがあり、注意力を維持したり、様々な情報をまとめることを苦手とすることがほぼ全ての場合共通とする。DSM-IVでは症状に従いさらに以下の3種に下位分類がされる。マスコミ等一般のレベルでADHDと同様の文脈でつかわれていることもあるADDはそのうち多動性が顕著でない場合である不注意優勢型に相当する。
- 多動性・衝動性優勢型
- 混合型
- 不注意優勢型 (ADD)
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[編集] 症状
通常7歳までに症状が確認される発達障害の一種で、集中困難・過活動・不注意などが一生にわたって持続する。過活動が顕著でない不注意優勢型の場合、周囲が気付かない場合も多い。
年齢が上がるにつれて見かけ上の「多動」は減少するため、以前は子供だけの病気で成人にはないと信じられていたが、近年は成人の症例も報告されている。そのため、症状は育て方や本人の努力で完治することはないともされている。ただ、子供のADHDでさえ曖昧な点も多く、日常生活に支障をきたす精神的な特性を何でもかんでも障害に含めるべきではないとする意見が根強いため、成人にADHDを認めるべきかどうかは医師によって考え方がまちまちである。成人においては、時間が守れない、物の整理や情報の管理ができない、大切なことを忘れる、見通しをつけるのが苦手で、衝動的に行動してしまう、注意力を持続することができない等、日常生活をきちんとこなす能力に欠陥が現れるとされる。先延ばしも問題になる場合が多い。本人が努力しようとしている場合でも、人と同じように行動できないことが多く、周囲の理解や本人自身の理解も無いことにより劣等感からうつ病や不安障害などの二次障害を生じる危険性が高い。ただし、基本的な障害をかかえた上での社会適応は環境に依存する。またこれら欠点を持つことと同時に、優れたアイデアを思い付く能力や、興味のある対象に対する強い集中力、大胆な行動力を示す場合もあることも知られており、これらの能力を積極的に生かすことで社会的に成功している人もいる。
うつ病やPTSD、アスペルガー症候群でも類似の症状を呈する場合もあり、正式にはADHDに理解の深い医師により診断される必要がある。
[編集] 原因
正確な原因は不明であるが、中枢神経系の生物学的障害であるとされる。 ほとんどが遺伝的・先天的な障害であり、血縁者に共通してみられることも多い。一卵性双生児ではきわめて高い頻度で一致する。症状は覚醒水準が低いために発生すると考えられている。ドパミン輸送体が過剰になり、結果として脳内のドパミン量が減少することが原因となるとの説が提唱されている。他方で、脳炎や頭部外傷などの後天的な要因が原因と考えられる症例も存在する。
[編集] 治療法
覚醒水準を引き上げることで症状を防ごうという理由で、治療には中枢神経興奮薬が用いられる。日本では一般に、塩酸メチルフェニデート(薬剤名「リタリン」)が使用される。しかし、これらは基本的に依存性を有する覚醒剤であり、依存性が懸念されることも多い。一方で、AD/HDの者に関する限り、薬剤耐性はつきにくく依存の心配はないという報告もなされている。思春期以前の児童に関しては依存の危険はないとされる。
心理療法については、行動療法を薬物療法と組み合わせた場合に効果がみられるが、行動療法のみでは役に立たない。さらに、本人の症状をコントロールすることよりも、本人の特性にあった環境を整えることが必要である。
日本では発達障害者支援法が制定され、以前より支援体制は整ったものの、まだまだ発達障害を専門とする医師・医療機関が少ないため、診断や治療にはかなり苦労することが多い。最近は支援団体や自助団体が各地で設立され、インターネットの普及もあいまって、情報は入手しやすくなりつつある。
[編集] 公的支援
長らく公的支援の蚊帳の外に置かれてきたが、児童福祉の観点から2005年に発達障害者支援法が成立した。これにより特別支援教育等の支援策に弾みがつくことが期待されている。しかしながら、成人では障害者自立支援法の検討や32条見直しなどにより、負担だけが増えていくものと思われる。成人支援は一部の地域で限定的に行われているに過ぎない。
[編集] 関連項目
- 注意欠陥障害
- MBD
- 微細脳損傷
- 微細脳機能障害
- 多動症候群
- 自閉症
- 片づけられない女たち