高松琴平電気鉄道70形電車 (2代)
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高松琴平電気鉄道70形電車 (2代)(たかまつことひらでんきてつどう70がたでんしゃ)および80形電車 (2代) は、高松琴平電気鉄道に在籍した通勤形電車である。もと東濃鉄道の車輌で、1975年に入線した。 70形は両運転台の制御電動客車、80形は片運転台の制御客車で、最大時は71~73、81~82の5両が在籍したが、1983年および1998年・2000年に廃車になった。
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[編集] 車歴
[編集] 71・72
もと東濃鉄道駄知線のモハ100形101・102で、1950年東芝車輌製。同線の電化に際し新製された。東芝が製造した唯一の電車である。
両運転台型の半鋼製車で、全長14,300mmの小型車である。側面の窓配置はd2D4D2dで、窓は2段上昇式である。前面は若干の後退角を付けた3面折妻の非貫通であった。101は、1956年8月にED1001と衝突事故を起こし、復旧の際に駄知側を平妻とし、貫通扉を設置した。その後、輸送量の増加に伴って制御車を連結した2両運転が常態化すると、102は1964年に駄知側、1966年に土岐市側、101の土岐市側も1967年に貫通化されている。
東濃鉄道駄知線は1972年7月の水害で不通になった後、1974年10月に正式に廃止された。 同線所属車輌のうち5両を琴電が譲りうけたのは1975年である。長期の屋外留置で劣化が進行していたが、長尾線の昇圧を控え車輌を揃える必要があったため購入に踏み切った。番号は旧番号順に101が71、102が72となった。 譲受に際しては、軌間が異なることから従来履いていた軸バネ式鋳鋼台車を破棄して、電動機ごと標準軌用の釣合梁式台車に交換された。また他車との併結を考慮し、制御器もHL方式(非自動間接式制御)に交換するなど、電気品関係は原形を失っている。
入線後は72は82と、71は81と編成を組み長尾線・志度線で使用された。1983年に82が廃車になったあとは、72と81が編成を組み、長尾線での限定運用となる。一方で71は予備車として平木駅構内に長期留置された。荒廃が進み廃車状態になったが、1994年の志度線・長尾線の分断により車両の不足が発生したことにより2年間の修復を経て長尾線に復活した。なお、この分断時に72は志度線の所属となったが、その後は殆ど使われることがなかった。 この後、冷房車の600形に代替され、72が1998年12月に、71が2000年10月に廃車解体されて消滅した。
[編集] 73・81・82
もと東濃鉄道駄知線のモハ100形103およびクハ200形201・202で、1926年(大正15年)12月、汽車製造製。もとは南武鉄道が開業にあたり新造したモハ100形101・102・104である。当時は両運転台の制御電動客車であった。
1944年の戦時買収により、国鉄籍になったが、1945年に電装解除されて制御車となった。 東濃鉄道へは1951年に入線し、旧番号順にクハ201~203とし、両運転台型の制御車とした。しかし、1952年には202・203のマスコンを撤去して付随車(サハ200形)に改造、更に202は笠原線に転属し客車代用として使用された。しかし203は、翌1953年にはモハ100形と同等の電機品を使用して両運転台の制御電動客車に再度改造され、形式は同等の性能であったことからモハ100形に編入され、103となった。その後、1959年に、202は駄知線に戻り再びクハ202となっている。1964年には、101・102と同様の理由により103は駄知側、201・202は土岐市側に貫通路が設けられた。201・202は併せて片運転台化もされている。
琴電の購入理由は71・72で述べたものと同じである。番号は103が71・72の続番の73、201が81、202が82となった。譲受に際し、台車を改軌、また73の制御器をHL方式に変更した。入線当初より予備車的な状況が続き、73・82は1983年に廃車となった。81は72と固定編成を組んで1998年まで使用された。
[編集] その他
いずれも高松琴平電気鉄道に在籍した電車の形式としては2代目である。70形 (初代)は東京急行電鉄(旧京浜)のサハ5101形を1948年に譲り受けた71~73と山陽電気鉄道の1003を1955年に譲り受けた74(前者は60形と同系)からなる制御客車で、80形 (初代)81~84は1949年に旧山陽電気鉄道の36形を譲り受けた制御電動客車である。偶然とはいえ、初代と2代目で役割が逆転している。
高松琴平電気鉄道の電車 |
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現用車両 |
営業用(カルダン駆動・冷房車):600形・700形・1070形・1080形・1100形・1200形 営業用(釣掛駆動・非冷房車):20形III・30形III・60形・1000形・3000形・5000形 事業用:デカ1形・13000形 |
過去の車両 |
01形・変1形・10形・20形I・20形II・30形I・30形II・50形I・50形II・70形I・70形II・80形I・80形II・90形 750形・820形・850形・860形・880形・890形・920形・950形・1010形・1013形・1020形・1050形 1053形・1060形・1063形・2000形・6000形・7000形・8000形・9000形・10000形・11000形・12000形 |
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