隠しトラック
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隠しトラック(かくしトラック、英: hidden track)は、CDのケースやジャケットなどにクレジットされていない楽曲のことであり、「隠し曲」、「シークレット・トラック」、「ボーナストラック」とも呼ばれる。
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[編集] 概説
主に2種類の隠し方がある。最終曲の後ろに数十秒から数分の無音部分を入れ、その後に収録する方法と、1曲目より前に収録し、頭出しできないようにしておく方法がある。後者は1曲目を再生直後に「巻戻し」ボタンを押すと再生できるが、一部のCDプレーヤーでは1曲目の先頭より前には巻き戻すことができないため、そのような機種では再生できない。
1曲目以前に曲を収録するには、ギャップを用いる。ギャップは「曲間」とも言い、次の曲が続けて再生されないよう、数秒の「空き」を情報としてCDに書き込んだものである。よって、前の曲との繋がりが問題にならない1曲目に関しては、通常はギャップを入れる必要がないため、普通に再生しただけではCDプレーヤーが読み取ることをせず、曲が「隠せる」のである。
ギャップを利用した隠し曲は、Windows Media PlayerやiTunesなどの一般的な音楽ソフトウェアではパソコンに取り込むことができない。ただし、EAC(Exact Audio Copy)など一部のソフトウェアを用いれば、WAVファイルとして取り込むこともできる。Exact Audio Copyは隠しトラックの書き込みにも対応している。
BUMP OF CHICKENは、リリースしたCDすべてに隠しトラックを収録している。aikoや浜崎あゆみ、Dragon Ashも、隠しトラックが存在するアルバムが多いことで知られている。
クレジット外トラックの古いものとしてThe Beatlesの『Abbey Road』の最後に収められている「Her Majesty」が有名である。
[編集] 隠しトラックのある主な作品
[編集] 国内アーティスト (J-POP)
- aiko『GIRLIE』 - 最終曲の後に無音トラックを挟み、新たなトラックとして「れんげ畑」が収録されている。
- aiko『桜の木の下』 - 最終曲の後に「恋愛ジャンキー」が収録されている。
- aiko『夏服』 - 最終曲の後に「夏服」が収録されている(なお、aikoの作品ではCDのみならずDVDにも隠し要素が多数存在する)。
- 天野月子『MOON CHILD IN THE SKY』 - 最終曲の後に数分間の無音部分を挟み、「体操」が収録されている(帯に隠しトラックの歌詞も掲載されている)。
- UA『11』 - 最終曲の後に「情熱」の別バージョンが収録されている。
- Every Little Thing『Many Pieces』 - 最終曲の後に「Free Walkin'」が収録されている。
- Every Little Thing『commonplace』 - 最終曲の後に「Sleepy time dog」が収録されている。
- 奥田民生『30』 - 最終曲の後に1トラックあり、前半は無音だが、後半に「SUNNY」(ボビー・ヘブのカバー)が収録されている。歌詞カードにも記載されている。
- 織田裕二『Shake!!』 - 最終曲の後に「Love Somebody」のバージョン違いが収録されている(サビのみ)。
- ORANGE RANGE『ORANGE RANGE』 - 最終曲の後に無音部分を挟み、曲名不明の曲が収録されている。
- GRAPEVINE『退屈の花』 - 最終曲の後に「熱の花」が収録されている。この曲は未完状態で収録されており、ライブで完全版が演奏されることがある。
- globe『とにかく無性に…』 - 最終トラック「とにかく無性に… (Accapella)」の後に無音部分(元々アカペラなので無音部分がそれ以前にも存在する)を挟み、アカペラではない同曲のバージョン違いが収録されている。
- 19『たいせつなひと』 - 最終曲の後に「たいせつなひと」のピアノバージョンが収録されている。
- 新堂敦士『君を壊したい ~Triple Zero~』 - 最終曲の後に「忙しい二人」が収録されている。
- 新堂敦士『BRAND-NEW UPPER』 - 最終曲の後に「One Day」が収録されている。
- 田村ゆかり『天使は瞳の中に』 - 先頭のギャップに「summer melody」のせりふ入りショートバージョンが収録されている。
- CHARCOAL FILTER『one Days』 - 先頭のギャップに「金がない」が収録されている。
- trf『WORLD GROOVE』 - 最終曲の後に無音部分を挟み、ピアノによるインストゥルメンタル(曲名は不明)が収録されている。
- TETSU69『Suite November』 - パッケージでは8曲のみ表記されているが、実際はアーティスト名に掛け69トラック収録され、最終トラックにシングル『15 1/2 フィフティーンハーフ』収録の「TEZMANのテーマ」が収録されている(残り60トラックはそれぞれ4秒程度の空白トラック)。
- 電気グルーヴ『A』 - 最終曲の後に無音部分を挟み、謎の音源(曲名は不明)が収録されている。
- 特撮の多くの作品 - いずれも初回盤のみ、最終曲の後に収録されている。『爆誕』…「アベルカイン~かわいいヴァージョン~」、『ヌイグルマー』…「ケテルビー(Demo Version)」、『Agitator』…「デス市長」、『初めての特撮 BEST vol.1』…「あの娘が遊びに来る前に」、『オムライザー』…「オム・ライズ tokyo girl mix」
- Dragon Ashの多くの作品 - いずれも最終曲の後に収録されている。『The day dragged on』…「Normal」、『Paublic Garden』…「Cool Around」、『Buzz Songs』…「Iceman」、『Viva La Revolution』…「Hot Cake」、『LILY OF DA VALLEY』…「花言葉」、『HARVEST』…「Sakuri Makori」、『Rio de Emocion』…「something in view」
- DREAMS COME TRUE『SING OR DIE』 - 最終曲の後に約30秒間の無音部分を挟み、「PEACE!」のワールドワイドバージョンが収録されている。
- BUCK-TICK『darker than darkness -style 93-』 - パッケージなどの表記には10曲とあるが、実際には93トラックあり、最終トラックに「darker than darkness」が収録されている。また、11から92までのいくつかのトラックに様々な音や曲をサンプリングしたものが収録されている(曲名は不明)。2002年に発売されたリマスター盤の初回盤では、ボーナストラックが収録される関係上この仕掛けは再現されておらず、「darker than darkness」は11トラックに隠しトラックとして収録されている。
- 浜崎あゆみ『LOVEppears』 - 最終曲の後に「kanariya」が収録されている。歌詞カードには、「製作者の意向により、シークレットトラックが存在しています」と注意書きがある。この曲は後にシングルカットされ、オリコンチャートで1位を獲得した。
- 浜崎あゆみ『I am...』 - 最終曲の後に「flower garden」が収録されている。
- 浜崎あゆみ『RAINBOW』 - パッケージなどの表記では「independent+」となっており、最終曲「independent」の後に隠しトラックとして「+」がつながったかたちで収録されている。「+」はフジテレビ系『ayu ready?』のエンディングテーマとしてタイアップされていた。
- Bank Band『沿志奏逢』 - 最終曲の後に「僕と彼女と週末に」と「イメージの詩」のいずれかが収録されている(CDによって異なる)。
- BUMP OF CHICKENのすべての作品 - アルバム『FLAME VEIN』(インディーズ時代の作品)は先頭ギャップを利用し、シングル『LAMP』では先頭ギャップと最終曲の後の両方に曲が隠されている。その他のCDでは最終曲の後に収録されている。メンバーは、本編をCDにおける「陰」、隠しトラックを「陽」としている。また、デビュー前の自作CDにも隠しトラックが存在する。さらに、CDだけでなくDVDやスコアブックにも隠し要素が存在する。
- B'z『LOOSE』 - パッケージなどには13曲しか表記がないが、実際には14曲あり、14トラックに「spirit loose II」(インストゥルメンタル)が収録されている。
- B'z『B'z The Best "Treasure"』 - 最終曲の後に「HOME」のアコースティックショートバージョンが収録されている。
- B'z『The Ballads ~Love & B'z~』 - 最終曲の後に「いつかのメリー・クリスマス」の別アレンジバージョンが収録されている。
- Pierrot『HEAVEN-The Customized Landscape-』 - 先頭のギャップにタワーレコード渋谷店において1万枚限定で発売されたシングルの表題曲「PARADOX」が、また、最終曲の後に「SUPER STRING THEORY」が収録されている。
- V6『musicmind』 - 最終曲の後に「Orange」の別バージョンが収録されている。
- ブラックビスケッツ『LIFE』 - 最終曲の後に「Relax」のビビアンヴォーカルバージョンが収録されている。
- 松尾清憲『愛しのロージー~THE VERY BEST OF KIYONORI MATSUO』 - 先頭のギャップに「愛しのロージー」のデモヴァージョンが収録されている。
- THE MAD CAPSULE MARKETS『P・O・P』 - 6曲目と最終曲の後のギャップに謎の音源(曲名は不明)が収録されている。
- THE MAD CAPSULE MARKETS『DIGIDOGHEADLOCK』 - 9曲目と11曲目の先頭ギャップに楽曲や効果音が収録されている。
- モーニング娘。『プッチベスト』 - 最終曲の後に日本たばこ産業「飲茶楼」CMソングが収録されている。
- モーニング娘。『プッチベスト2 ~三・7・10~』 - 最終曲の後に江崎グリコ「ポッキー」CMソングが収録されている。
- 森山直太朗『傑作撰 2001~2005』 - 初回生産分のみのボーナス盤である「雲盤」(メインディスクは「空盤」)の最終曲の後に「スキヤキ」が収録されている。
- モンゴル800『MESSAGE』 - 最終曲の後に「Message」が収録されている。
- モンゴル800『百々』 - 最終曲の後に「百々」が収録されている。
- ゆず『アゲイン2』 - 3曲目の後に「サイキン」が収録されている。
- ゆず『青』 - 1曲目の後に「東横線」が収録されている。
- ゆず『呼吸』 - 1曲目の後に「桜道」が収録されている。
- ゆず『リボン』 - 最終曲の後に、路上で録音した「リアル」が収録されている。
[編集] 海外アーティスト
- The Beatles 『Abbey Road』 - 最終曲の後に「Her Majesty」を収録。
- The Beatles 『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』 - 最終曲の後に「Sgt. Pepper Inner Groove」を収録。
- Blur『Think Tank』 - 先頭のギャップに「Me, White Noise」を収録。(UK盤のみ)
- BT 『ESCM』 - 最終曲の後に「Flaming June (Simon Hale's Orchestral Performance)」を収録。
- Hybrid 『Morning Sci-Fi』 - 先頭のギャップに「Lights Go Down Knives Come Out」を収録。
- Hybrid 『I Choose Noise』 - 先頭のギャップに「Everything Is Brand New」を収録。
- Lauryn Hill 『The Miseducation of Lauryn Hill』 - ジャケットに表記していない曲として「君の瞳に恋してる」を収録。
- Nirvana『Nevermind』 - 最終曲の後に「Endless Nameless」を収録。
- Simple Plan 『NO PADS. NO HELMETS… JUST BALLS』 - 最終曲の後に「MY CHRISTMAS LIST」を収録。