谷川岳
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谷川岳(たにがわだけ)は群馬県利根郡みなかみ町と新潟県南魚沼郡湯沢町の境の三国山脈にある標高1,977mの山。日本百名山の一つ。もともとは、トマ・オキの二つ耳と呼ばれ、隣の俎品(マナイタグラ)のことを谷川岳と呼んでいた。しかし、国土地理院5万分の1の地図での誤記により、トマ・オキの二つの耳のことを谷川岳と呼ぶようになった。実際には、近くの一ノ倉沢岳など、周囲の山域を含めて、谷川岳と呼ばれている。トマの耳(標高1,963m)は、薬師岳。オキの耳(標高1,977m)は、谷川富士という別称を持つ。
標高は2,000mにも満たないが、険しい岩壁と複雑な地形、変化の激しい天候であり、一ノ倉沢を始めロック・クライミングのメッカでもある。そのため遭難者の数も群を抜いて多い。昭和6年(1931年)から統計が開始された谷川岳遭難事故記録によると、2005年までに781名もの登山者が遭難死という飛びぬけた日本のみならず、世界のワースト記録を保持している。(ちなみに、エベレストのそれは178人)。 1960年には岩壁での遭難事故で、救助隊が近づけず、災害派遣された陸上自衛隊の狙撃部隊が一斉射撃してザイルを切断。遺体を収容したこともあった。(谷川岳ザイル銃撃宙吊り遺体収容事件)
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[編集] 周辺情報
谷川岳はスキーのメッカでもある。谷川岳天神平スキー場は関東でもっとも有名なスキー場のひとつ。冬場はスキー客と登山客が同じゴンドラで天神平を目指すこともしばしば。谷川岳ロープウェイ「てんじんだいら」駅のそばにはレストハウスがあり、天神尾根の途中、熊穴沢ノ頭に避難小屋がある。また宿泊施設としては山頂(トマノ耳)直下に「肩の小屋」がある。
登山ルート「天神尾根」は、谷川岳ロープウェイの麓土合口駅から山頂天神平駅に上がったところが起点。ロープウェイを利用しない場合は、田尻尾根を使う。西黒尾根は途中「ラクダのコル」で巌剛新道と分岐する。巌剛新道の登山口はロープウェイ「どあいぐち」駅よりさらに国道291号線を上がった地点、マチガ沢付近にある。
国道291号線はここからさらに深く、一ノ倉沢まで続き、舗装が途切れる。周辺、マチガ沢~一ノ倉沢~幽ノ沢~芝倉沢は紅葉の名所。峻厳な岩肌と木々とが相俟った渓谷美で知られる。
上越線・土合駅より北へ進む白毛門は谷川岳の撮影ポイントの一つ。また谷川岳は高山植物の種類も多く、季節には天神平周辺をはじめ、登山道や山頂付近で観察することができる。
[編集] 登山ルート(通常登山)
- 天神尾根ルート
- 西黒尾根ルート
[編集] 登攀ルート(ロッククライミング)
- 東尾根
- 衝立岩中央稜
- 烏帽子沢奥壁
- 一ノ倉沢滝沢第二スラブ
- 一ノ倉沢滝沢第三スラブ