西鉄宮地岳線
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宮地岳線(みやじだけせん)は、福岡県福岡市東区の貝塚駅から福岡県福津市の津屋崎駅までを結ぶ西日本鉄道の鉄道路線である。
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[編集] 路線データ
[編集] 概要
福岡市東郊に延びる鉄道路線で、ほぼ全区間でJR九州の鹿児島本線と並行し、貝塚駅から西鉄香椎駅までは並走する。貝塚駅で福岡市地下鉄箱崎線と、和白駅で(元は同じ会社の路線だった)香椎線と接続している。他の西鉄線と連絡する駅はなく、軌間も異なる孤立路線である。元々は貝塚駅から千鳥橋駅(新博多・西鉄博多)までの路線だったが、同区間を改軌して西鉄福岡市内線に編入され、その後1979年の市内線全廃時に一緒に廃止されてしまった。
沿線は全線にわたって閑静な住宅街が広がる。全線が博多湾・玄界灘の海岸沿いを走る。海が見えるのは多々良川の河口と和白駅付近くらいである。
よかネットカードは使用できない。また、各駅とも自動改札機が設置されていない。
[編集] 地下鉄への直通
地下鉄と直通運転は行われていないが、相互直通の計画がある。また、博多湾沖に建設中の人工島(アイランドシティ)を結ぶ鉄道を西鉄香椎駅~香椎花園前駅間に新駅を設置し、そこから分岐させる計画もある。
当初は地下鉄と2001年度に直通運転を開始する予定だったが、路線の存廃問題もあり、2006年現在、直通運転に必要な車両の新造やホームの延伸(現行の3両対応から6両対応にする)などの工事は行われていない。なお新線については2010年度の開業を目標にしている。
[編集] 立体交差事業
現在、香椎地区副都心整備事業の一環として西鉄千早~西鉄香椎間で連続立体交差化工事が行われている。2004年8月に貝塚駅(名島駅付近)~香椎宮前間が新線に切り替えられ、同時に名香野駅が高架駅となり西鉄千早駅に改称された。また、2006年5月14日には西鉄千早~香椎花園前間(国道3号線立体交差まで)が高架化され、連続立体交差事業がほぼ完了した。
[編集] 存廃問題
新線建設も議論される当路線だが、輸送密度の低い三苫ないしは西鉄新宮から津屋崎までの区間(この区間は鹿児島本線と国道が並行しており、貝塚から西鉄新宮までの輸送密度の4分の1しかない)については西鉄側が廃止を予定していることが2005年1月に明らかになり、沿線自治体と経営改善策を検討して来たが、利用客は未だに増加せず、2006年3月に西鉄新宮~津屋崎間の廃止が決定された。廃止は2007年4月1日の予定である。
廃止対象区間沿線は住宅街で、同じ西鉄の甘木線よりも本数が多く、系列の筑豊電鉄線などの事例に比べると好条件に見える。しかし、全線単線・普通列車のみ・車両が本線系統から転属した旧型車、などで輸送力が低いこと、終点の位置が津屋崎という半端なところであること、現状は地下鉄と接続しているとはいえ都心に直結していないこと、前述のようによかねっとカードが使えないこと、国鉄民営化により並行しているJR鹿児島本線の近代化が進み新駅の設置、新車の導入、特別料金が不要な快速・普通列車が増発されたことなどから利用者離れが進み、赤字が続いている。
福津市・古賀市・新宮町の住民から宮地岳線存続を訴える6万人の署名が集まり、西鉄新宮~津屋崎間の第三セクター化などが検討されたが多額の費用が掛かることなどから断念されている。存続するにしても(三岐鉄道北勢線や和歌山電鐵貴志川線などのように)全区間を分社化するなどしないと経営は困難である。
[編集] 運行形態
全線単線だが、貝塚~三苫間は朝夕のラッシュ時には6.5分間隔と高頻度の運行が行われている。また貝塚~津屋崎間の列車は約12分間隔で運転されている。全列車ともワンマン運転を実施している。
香椎花園前駅(津屋崎方面行き列車)・三苫駅(貝塚方面行き列車)・貝塚駅・津屋崎駅到着前になると、車内にチューリップの「心の旅」が、三苫駅(津屋崎方面行き列車)・香椎花園前駅(貝塚方面行き列車)到着前では「サボテンの花」のメロディがそれぞれ流れる。
[編集] 使用車両
[編集] 現在の車両
いずれの車両も天神大牟田線から転属したものであるが、線路幅が異なるため台車をはじめ主要機器は他社のものを流用している。
[編集] 過去の車両
[編集] 歴史
- 1924年5月23日 博多湾鉄道汽船が新博多(後の千鳥橋)~和白間を開業。
- 1925年7月1日 和白~宮地岳間が開業。
- 1929年8月16日 全線を1500V電化。
- 1929年11月1日 花見駅開業。
- 1939年1月 運動場前駅(現在の香椎花園前駅)開業。
- 1942年9月19日 九州電気軌道に合併。
- 1942年9月22日 西日本鉄道に改称、同社の宮地岳線となる。新博多駅を西鉄博多駅に、新香椎駅を西鉄香椎駅に、新宮港駅を西鉄新宮駅に、新古賀駅を西鉄古賀駅に、筑前福間駅を西鉄福間駅に改称。
- 1950年4月20日 西鉄多々良駅(現在の貝塚駅)開業。
- 1951年7月1日 宮地岳~津屋崎間が開業。宮地岳駅移転。
- 1954年3月5日 西鉄博多~西鉄多々良(現在の貝塚)間を標準軌に改軌し600Vに降圧。西鉄博多駅を新博多電停に(1963年に千鳥橋に改称)、箱崎宮前駅を箱崎浜電停に、西鉄多々良駅を競輪場前駅に改称。これにより、同区間は事実上、福岡市内線に編入され、貝塚線と呼ばれる(正式な呼称はこの後も宮地岳線のままであった)。
- 1957年5月13日 運動場前駅を香椎花園前駅に改称。
- 1958年10月1日 古賀ゴルフ場前駅開業。
- 1959年3月1日 香椎宮前駅開業。
- 1962年11月1日 競輪場前駅を貝塚駅に改称。
- 1966年10月26日 和白駅西方立体交差化。
- 1979年2月11日 福岡市内線全廃に伴い、千鳥橋(元の西鉄博多)~貝塚間を廃止。
- 1980年9月1日 ワンマン運転開始。
- 1985年8月30日 貝塚駅が津屋崎方に160m移転。営業キロ0.2km短縮。
- 1986年11月1日 唐の原駅開業。
- 1986年11月12日 福岡市地下鉄2号線(箱崎線)が貝塚駅まで開業。
- 200X年 立体交差事業に伴い、香椎宮前~西鉄香椎を仮線へ切り替え
- 2003年3月15日 終電繰り下げ(貝塚駅発23:31→0:10)。
- 2004年8月2日 貝塚~香椎宮前間が経路変更。名香野駅を西鉄千早駅に改称、高架化。
- 2006年5月14日 西鉄千早~香椎花園前間が高架化(西鉄香椎駅と香椎宮前駅が高架駅に変更、多少の経路変更)。名島~香椎花園前間の営業キロ0.1km延長。
- 2007年4月1日 西鉄新宮~津屋崎間廃止予定。
[編集] 駅一覧・接続路線
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|
貝塚駅 | 0.0 | 福岡市交通局:箱崎線 | 福岡県 | 福岡市 東区 |
名島駅 | 1.4 | |||
西鉄千早駅 | 2.5 | 九州旅客鉄道:鹿児島本線(千早駅) | ||
香椎宮前駅 | 3.0 | |||
西鉄香椎駅 | 3.6 | 九州旅客鉄道:鹿児島本線・香椎線(香椎駅) | ||
香椎花園前駅 | 5.0 | |||
唐の原駅 | 6.1 | |||
和白駅 | 7.2 | 九州旅客鉄道:香椎線 | ||
三苫駅 | 9.0 | |||
西鉄新宮駅 | 11.0 | 糟屋郡 新宮町 |
||
古賀ゴルフ場前駅 | 13.0 | 古賀市 | ||
西鉄古賀駅 | 14.2 | |||
花見駅 | 15.6 | |||
西鉄福間駅 | 18.2 | 福津市 | ||
宮地岳駅 | 19.5 | |||
津屋崎駅 | 20.9 |
[編集] 福岡市内線編入区間
※名称は福岡市内線編入直前のもの。編入後は西鉄福岡市内線参照。
西鉄博多駅(のちの千鳥橋) - 箱崎宮前駅(のちの箱崎浜) - 箱崎松原駅 - 西鉄多々良駅(現・貝塚駅)
[編集] 乗り継ぎ割引
福岡市地下鉄との乗り継ぎ割引を実施している。詳細は以下のリンクを参照。