博多湾鉄道汽船
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
博多湾鉄道汽船（はかたわんてつどうきせん）とは、福岡県にあった鉄道事業者の名称。会社設立当初は、博多湾鉄道（はかたわんてつどう）を名乗る。
湾鉄（わんてつ）の略称で呼ばれた。
[編集] 概要
明治時代中期、糟屋郡志賀村西戸崎地区（現・福岡市東区西戸崎）に石炭の積出港を建設し、西戸崎と福岡県北部の粕屋炭田及び筑豊炭田の各産炭地を結ぶ目的で計画された。1900年2月に会社を創立し、同年には現在の香椎線にあたる西戸崎～宇美間のほか、糟屋郡多々良村土井（現・福岡市東区土井）～糟屋郡篠栗村（現・篠栗町）間、糟屋郡和白村奈多（現・福岡市東区奈多）～鞍手郡直方町中泉（現・直方市中泉）間、鞍手郡宮田村（現・宮若市）～同郡植木町（現・直方市植木）間の約90kmにわたる区間の免許を取得した。
その後、営業エリアを粕屋炭田地区に絞って筑豊地区への免許は返上し、1904年に西戸崎～須恵間を開通させ、翌年には宇美まで延長した。他の路線の免許は1907年までに失効している。また1903年には宇美から浮羽郡吉井町に至る約40kmの路線の仮免状を取得したが、本免許にも至らずやはり失効している。その一方で酒殿と志免炭坑地区を結ぶ貨物支線の建設を進め、1915年までに酒殿から志免（糟屋郡志免町）・旅石（同須恵町）への支線を開通させた。
1920年、海運業に参入し、社名を博多湾鉄道汽船に変更した。その後1924年から翌年にかけて貝塚線を建設し、福岡市内に市内路面電車（のちの西鉄福岡市内線）と接続するターミナル駅（新博多駅）を設けて糟屋郡北部と福岡市内を鉄道で結び、同時期に津屋崎～福間（国鉄）間を運行していた馬車鉄道の津屋崎軌道を買収した。1929年には貝塚線を電化している。一方で、同じ1929年には鉄道大臣・小川平吉が私鉄事業者5社に対して便宜を図った汚職事件（五私鉄疑獄事件）が発覚したが、この5社に博多湾鉄道汽船も含まれており、一時は経営危機に陥った。1939年に旧津屋崎軌道の馬車鉄道路線を廃止している。
また沿線開発としては、1932年に香椎駅周辺に野球場を建設したほか、1938年には同じく香椎地区に香椎チューリップ園を建設している。後者は現在、香椎花園として営業している。
1942年に九州鉄道・福博電車・筑前参宮鉄道とともに九州電気軌道に吸収合併され、西日本鉄道となり解散した。
[編集] 沿革
- 1904年（明治37年）1月1日 博多湾鉄道により粕屋線西戸崎～須恵間が開業。
- 1905年（明治38年）6月1日 粕屋線須恵～新原間が開業。
- 1905年（明治38年）12月29日 粕屋線新原～宇美間が開業し全通。
- 1909年（明治42年）8月1日 粕屋線の支線として酒殿～志免間の貨物支線が開通。
- 1915年（大正4年）3月11日 貨物支線の志免～旅石間が開通。
- 1920年（大正9年）3月25日 博多湾鉄道が博多湾鉄道汽船に社名変更。
- 1924年（大正13年）1月23日 津屋崎軌道を吸収合併。
- 1924年（大正13年）5月23日 貝塚線新博多（のちの千鳥橋）～和白間を開業。
- 1925年（大正14年）7月1日 和白～宮地岳間が開業。
- 1925年（大正14年）7月11日 旧津屋崎軌道の特許路線であった道辻～宮地岳駅前間を開業。
- 1929年（昭和4年）8月16日 貝塚線全線を1500V電化。
- 1939年（昭和14年）4月13日 旧津屋崎軌道の福間～津屋崎間及び道辻～宮地岳駅前間を廃止。
- 1942年（昭和17年）9月19日 戦時体制（陸上交通事業調整法）に対応するために博多湾鉄道汽船が九州電気軌道に合併。西日本鉄道となる。
[編集] 保有路線
 |
この「博多湾鉄道汽船」は、鉄道に関連した書きかけ項目です。 この記事を加筆・訂正などして下さる協力者を求めています。（ポータル 鉄道/ウィキプロジェクト 鉄道） |
