穂村弘
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
文学 |
ポータル |
各国の文学 記事総覧 |
出版社・文芸雑誌 文学賞 |
作家 |
詩人・小説家 その他作家 |
穂村弘(ほむら ひろし、1962年5月21日 - )は、歌人。「かばん」所属。ニューウェーブ歌人の中でも、現代短歌に最大のショックを与えたといわれる。
第一歌集『シンジケート』でデビュー。近代短歌の私性のように何らかの意味をこめるのでなく、イメージや感性を短歌の口語体・会話体で表現したところに新しさがある。従来の表現とは大きく異なるため、世代によって意見が大きく割れることになった。
最近では少女の一人称で詠う歌集を出すほかに、エッセイなど散文でも活躍し、枠のとらわれない多才ぶりを発揮している。現在、最も話題作を提示する歌人である。
目次 |
[編集] 年譜
- 転勤により、 1972年には横浜市立瀬谷小学校に、1973年には名古屋市立鶴舞小学校に転校している。
- 初めての転校から18歳頃までが精神的に苦しんだ時期。
- 小学校の卒業アルバムに書いた将来の夢は、詩人。
- 1975年4月、名古屋市立北山中学校に入学。
- 1978年4月、名古屋市立桜台高等学校に入学。
- 1981年4月、北海道大学文I系に入学。
- 塚本邦雄の作品を読んだことから、短歌に興味を持ち始める。
- ベンチプレスに熱中し始める。
- 1988年、歌誌「かばん」に入会。
- 1989年、第1歌集『シンジケート』を刊行。
- 1992年、第2歌集『ドライ ドライ アイス』を刊行。
- 1994年、初めての散文の本、ショートストーリー集を刊行。
- 1996年、ほむらひろし名義で絵本の翻訳を始める。
- 1998年、加藤治郎・荻原裕幸とニューウェーブ歌人3人で、企画集団SS-PROJECT(エスツー・プロジェクト)を結成。インターネットを積極的に利用するなど、歌壇にとらわれない従来の短歌とは異なる活動を展開。
- 『角川短歌』9月号に掲載されたエッセイ「<わがまま>について」が注目され、以降「わがまま」が穂村弘のキーワードとなる。
- テレビ番組や朗読イベントに出演するように。
- 2001年、高校教科書に短歌が収録される。
- 高橋源一郎『日本文学盛衰史』に石川啄木作という設定で作品を提供。
- 大学の特別講義を初めて行う。
- 7月、第3歌集『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』を刊行。
- 12月、初めての詩集『求愛瞳孔反射』を刊行。
- 6月、ベスト版歌集『ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi』を刊行。
[編集] 著作
[編集] 歌集
- 『シンジケート』沖積社、1989年10月。ISBN 4-80601-085-5
- 第一歌集。栞文は塚本邦雄・坂井修一・林あまり。帯文は大島弓子。装丁は藤林省三。
- 石田比呂志に「同じ人間の作ったものがわからんはずがないと心を奮いたたせるのだが、力めば力むほどチンプンカンプンで歯が立たぬ」、高橋源一郎に「俵万智が三百万部売れたのなら、この歌集は三億冊売れてもおかしくないのに」と言わしめたデビュー作。口語体にはまったポップな作品が賛否両論となる。
- 『ドライ ドライ アイス』沖積社、1992年11月。ISBN 4-80601-057-X
- 第二歌集。装丁は戸田ヒロコ。
- 「夏休みの自由研究みたいな感じ」な作品。
- 『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』小学館、2001年6月。ISBN 4-09387-349-6
- 第三歌集。挿絵はタカノ綾。
- 「まみ」と「穂村弘」の対話の構成で、作品における一人称は「まみ」にある。現代における愛の形を少女の側から描こうとする。
- 『ラインマーカーズ―The Best of Homura Hiroshi』小学館、2003年5月。ISBN 4-09387-449-2
- ベスト版。装画は大竹伸朗。装丁は名久井直子。
- 『回転ドアは、順番に』全日出版、2003年7月。ISBN 4-92104-450-3
- 東直子とのコラボレーション。
[編集] 入門書
- 『短歌という爆弾―今すぐ歌人になりたいあなたのために』小学館、2000年3月。ISBN 4-09387-312-7
- 装丁は谷田一郎。
- 沢田康彦、東直子ほか『短歌はプロに訊け!』本の雑誌社、2000年4月。ISBN 4-93846-389-X
- 沢田康彦、東直子ほか『短歌はじめました。百万人の短歌入門』角川文庫ソフィア、2005年10月。ISBN 4-04405-401-0
- 沢田康彦、東直子ほか『短歌があるじゃないか。―一億人の短歌入門』角川書店、2004年6月。ISBN 4-04883-882-2
- 共著。装丁はクラフト・エヴィング商會。
[編集] エッセイ
- 『世界音痴』小学館、2002年4月。ISBN 4-09387-373-9
- 『もうおうちへかえりましょう』小学館、2004年5月。ISBN 4-09387-508-1
- 2作ともにカバー写真は小林キユウ。
- 『現実入門 ほんとにみんなこんなことを?』光文社、2005年3月。ISBN 4-33497-477-5
- 装丁は鈴木成一デザイン室。カバー写真は高橋和海。挿絵は岩井勝之。
- 『本当はちがうんだ日記 』集英社、2005年3月。ISBN 4-08774-766-2
- 装丁・装画は池田進吾。
- 『にょっ記』文藝春秋、2006年3月。ISBN 4-16324-740-8
- 挿絵はフジモトマサル。装丁は名久井直子。
[編集] ショートストーリー集
- 『いじわるな天使から聞いた不思議な話』大和書房、1994年10月。ISBN 4-47967-011-4
- 『いじわるな天使』アスペクト、2005年9月。ISBN 4-75721-182-1
- 『いじわるな天使から聞いた不思議な話』の復刊。
- 挿絵は安西水丸。装丁は鈴木成一デザイン室。帯は一青窈。
- 『車掌』ヒヨコ舎、2003年4月。ISBN 4-43403-067-1
- 『課長』ヒヨコ舎、2006年6月。ISBN 4-43407-884-4
- ともに挿絵は寺田克也。
[編集] 歌画集
- 『ぞうのうんこ』エディションq、1997年5月。ISBN 4-87417-542-2
- 挿絵は東君平。
- 『ブルーシンジケート』沖積舎、2003年2月。ISBN 4-80601-100-2
- 挿絵は井筒啓之。
[編集] 詩集
- 『求愛瞳孔反射』新潮社、2002年12月。ISBN 4-10457-401-5
- 挿画はかわぐちみお。
[編集] アンソロジー
- 『現代短歌の全景―男たちのうた』河出書房新社、1995年9月。ISBN 4-30901-000-8
- 荻原裕幸ほか『新星十人―現代短歌ニューウェイブ』立風書房、1998年5月。ISBN 4-65160-068-9
- 共著。
- 小池光、今野寿美、山田富士郎『現代短歌一〇〇人二〇首』邑書林、2001年9月。ISBN 4-89709-369-4
- 自薦20首を収録。
- 『現代短歌最前線 下巻』北溟社、2001年11月。ISBN 4-89448-201-0
- 共著。自選100首およびエッセイを収録。
- 五木寛之選、日本ペンクラブ編『こころの羅針盤』光文社、2002年10月。ISBN 4-33497-364-7
- エッセイ「人生の経験値」を収録。
- 文藝春秋編『私の死亡記事』文春文庫、2004年12月。ISBN 4-16721-780-5
- 死亡記事を掲載。
[編集] その他
- 吉野朔実『お父さんは時代小説(チャンバラ)が大好き』本の雑誌社、1996年12月。ISBN 4-93846-358-X
- 対談「夢と現実の狭間に生きる人々」を収録。
- 小林恭二『短歌パラダイス―歌合 二十四番勝負』岩波新書、1997年4月。ISBN 4-00430-498-9
- 馬場あき子、黒田杏子『短歌・俳句同時入門』東洋経済新報社、1997年11月。ISBN 4-49204-102-8
- 共著。
- 岡井隆編『短歌と日本人 第7巻 短歌の創造性と象徴性』岩波書店、1999年2月。ISBN 4-00026-297-1
- 座談会「創造」を収録。
- 荻原裕幸ほか『GKドキュメント』現代歌人会議、1999年5月。
- 共著。
- 岡井隆、三枝昂之ほか『岩波現代短歌辞典』岩波書店、1999年12月。ISBN 4-00080-097-3
- 共著。
- 高橋源一郎『日本文学盛衰史』講談社、2001年6月。ISBN 4-06210-585-3
- 石川啄木作という設定で作品提供。
- 『現代詩手帖特集版 高橋源一郎』思潮社、2003年10月。ISBN 4-78371-858-X
- エッセイ「『さようなら、ギャングたち』のこと」を収録。
- 『ブック・ナビ東京 必ず見つかる!書店&図書館800件徹底ガイド』メタローグ、2005年1月。ISBN 4-83982-038-4
- エッセイ「神保町を走り回る」を掲載。
- 木村衣有子『手紙手帖 あの人は、どんな手紙をくれるかしら』祥伝社、2005年6月。ISBN 4-39641-077-8
- 直筆の手紙などを掲載。
- 二階堂奥歯『八本脚の蝶』ポプラ社、2006年1月。ISBN 4-59109-090-6
- エッセイ「奥歯さんのこと」を寄稿。
[編集] 作品解説
- 吉野朔実『恋愛的瞬間 3巻』小学館文庫、2002年2月。ISBN 4-09191-396-2
- 解説。
- 井伏鱒二『井伏鱒二全詩集』岩波文庫、2004年7月。ISBN 4-00310-774-8
- 解説「この世の友達への眼差し」。
- 角田光代『あしたはうんと遠くへいこう』角川文庫、2005年2月。ISBN 4-04372-603-1
- 解説「だれかを好きだという気持ちの出所はいったいどこだ」。
- 盛田志保子『五月金曜日』晶文社、2005年4月。ISBN 4-06210-585-3
- 帯文。
- 四元康祐『四元康祐詩集』思潮社、2005年7月。ISBN 4-78370-954-8
- 解説。
- 酒井順子『食のほそみち』幻冬舎文庫、2005年8月。ISBN 4-34440-682-6
- 解説「洞察観音」。
- 本上まなみ『ほんじょの鉛筆日和。』新潮文庫、2006年6月。ISBN 4-10102-822-2
- 解説。
[編集] 翻訳
すべてほむらひろし名義。
- サラ・ファネリ
- 『ちずのえほん』フレーベル館、1996年7月。ISBN 4-57701-621-4
- 『ボタン』フレーベル館、1997年10月。ISBN 4-57701-783-0
- 『ディア・ダイアリー』フレーベル館、2001年12月。ISBN 4-57702-271-0
- 『とうとうとべた』フレーベル館、2003年5月。ISBN 4-57702-561-2
- メリーアン・ホバーマン、マージョリー・プライスマン
- 『なんでもひとつ』フレーベル館、1998年5月。ISBN 4-57701-893-4
- マージョリー・プライスマン
- 『エメライン、サーカスへゆく』フレーベル館、2000年10月。ISBN 4-57702-088-2
- トッド・パール
- 『それでもへっちゃら』フレーベル館、2000年5月。ISBN 4-57702-085-8
- 『こんなかみのけ』フレーベル館、2000年5月。ISBN 4-57702-086-6
- 『どうぶつえんのきまり』フレーベル館、2000年12月。ISBN 4-57702-178-1
- 『きぶんやちゃん』フレーベル館、2000年12月。ISBN 4-57702-179-X
- 『おおきいちいさい』フレーベル館、2001年9月。ISBN 4-57702-286-9
- 『くろいしろい』フレーベル館、2001年9月。ISBN 4-57702-287-7
- 『パンツのきまり』フレーベル館、2001年11月。ISBN 4-57702-276-1
- 『ほんとのともだち』フレーベル館、2001年11月。ISBN 4-57702-275-3
- 『おかあさん』フレーベル館、2002年5月。ISBN 4-57702-409-8
- 『おとうさん』フレーベル館、2002年5月。ISBN 4-57702-410-1
- 『オットー ともだちをさがしに』フレーベル館、2003年7月。ISBN 4-57702-683-X
- 『オットー ねむれないよる』フレーベル館、2003年9月。ISBN 4-57702-684-8
- 『いろいろかぞく』フレーベル館、2005年12月。ISBN 4-57703-154-X
- ブライアン・パターソン
- 『しましまゼビーのたからさがし』岩波書店、2003年11月。ISBN 4-00110-868-2
- 『しましまゼビー キャンプにいく』岩波書店、2003年11月。ISBN 4-00110-869-0
- 『しましまゼビー おうちにありがやってきた』岩波書店、2004年4月。ISBN 4-00110-871-2
- 『しましまゼビーのダイビング』岩波書店、2004年4月。ISBN 4-00110-870-4
- リズ・ピーション
- 『ビルはたいくつ』くもん出版、2005年10月。ISBN 4-77431-053-0