教科書
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教科書(きょうかしょ)
- 学問などを学ぶときに、主たる教材として用いられる図書のこと。(この項目で詳述)
- 特に日本の初等教育・中等教育において、主たる教材として用いられることの多い「教科用図書」のうち、編集(編修)において文部科学省と関わりがある図書のこと。教科用図書を参照。大学などで使用される専門書は、これに含まれない。
教科書(きょうかしょ)は、学習において主たる教材となる書籍のことである。「テキスト」とも言う。ごく一般的には、市販の「教科書」とその他の「教材」との区別は厳密なものではない。
目次 |
各国の教科書事情
日本の教科書事情
初等教育・中等教育
日本の初等教育(小学校などにおける教育)と中等教育(中学校・高等学校などにおける教育)では、文部科学大臣による検定を経た教科用図書(文部科学省検定済教科書)や、文部科学省が著作の名義を有する教育用図書(文部科学省著作教科書)がほとんどの場合で用いられている。これらは、学習指導要領に準拠したものである。教科用図書は、教科書供給所を経て流通することとなっていおり、歴史教科書問題として問題視されるのは、社会科の教科用図書である(詳細は「教科用図書」の項を参照)。
このほか、文部科学省の検定を受けない準教科書・検定外教科書などが使われる場合もある。
高等教育
他方、高等教育(大学・短期大学・高等専門学校・専修学校の専門課程〔専門学校〕など)における授業用の教科書については、教育施設が市販の専門書などを使用している。これらの専門書に対する検定の制度はない。教科用図書と市販の専門書では、企画・製作の過程から流通・採択に至るまでまったく事情が異なっている。私立大学(放送大学を含む)、専修学校の専門課程(専門学校)やその他の教育施設では、市販本に頼らず、もっぱら自前で制作・発行した教科書・教材を使用する場合もある。
アメリカの生物教科書問題
アメリカのいくつかの州では、キリスト教原理主義の圧力により、生物の授業において、旧約聖書の『創世記』に基づく創造論(人類が唯一神により創造されたとする信仰)を記載した教科書を使用して教えることが義務付けられている。このため、科学(進化論)と宗教とは区別すべきと考える生物の教育者らの強い反発を招き、問題になっている。近年では、宗教的な原理主義に対する教育現場の反発が強いことから、創造論から発した創造科学によって宗教色をカムフラージュしたインテリジェント・デザイン(略称ID)を生物教育に導入しようとする動きが高まっている。しかしこれも、科学者・教育者側からは「疑似科学にすぎない」との強い批判を浴びている。