大韓民国の教育
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大韓民国の教育では、大韓民国の学校教育・家庭教育・社会教育など、教育全般を扱う。
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[編集] 初中等教育
義務教育は日本の小学校にあたる初等学校(チョドゥンハッキョ、초등학교)から中学校(チュンハッキョ、중학교)まで(6歳~14歳)の9年間で、初等学校(1995年に「国民学校」から改称)は1953年、中学校は2002年に義務教育化された。全国5384校の初等学校のほとんどが公立で、全国の中学校数は2809校、公立と私立の比率は3:1である。高校進学率は日本同様99.6%とほぼ全員が進学する。
高等学校(コドゥンハッキョ、고등학교)は大学進学を目標とする一般校と就職を目標とする実業系校の2種類がある。全国には1995校の高等学校があり、一般校と実業系校の割合は約3:2、公立と私立の割合は約6:5となっている。韓国の大学進学率は一般校と実業系校を合わせて74.2%で、世界最多である。大学進学のための塾(学院)も盛んである。韓国の高校では英語以外に第二外国語教科があり、日本語の選択率がトップとなっている。(日本語教育参照。)このほか、中国語、ドイツ語、フランス語などもある。
日本と同じ6・3・3制をとっているが、高校受験については学区に基づく総合選抜制が採られており、私立高校を含めた全ての高等学校において、内申書と適性試験の成績、居住地域により自治体の教育委員会によって振り分けられる。普通高校か専門高校(商業高校・工業高校)に成績順で振り分ける方法がとられている。これは近年行われた国の政策のひとつである。 よって、本質的な受験は大学受験のみとなるために、大学受験が過熱しているとされている。
日本統治時代には、韓国という国は消滅しており、2度とそのようなことがないよう、韓国人としての誇りや韓国文化が教育上で重視される。ただしすべての教科書が国定教科書であり、韓国政府の立場を反映した、偏った歴史教育が多いことは否定できない。歴史学者も、韓国政府の立場と異なる学説は発言しにくい。高句麗を中国の一部とした中国政府へ激しく反発するなど、韓国独自の歴史教育等が行われている。
日本と同様、大部分の中学校および高等学校に制服がある。かつては日本統治時代の名残で、男子生徒は詰襟学生服、女子生徒はセーラー服を着用していたが、全斗煥政権下の1980年代初めに全廃された。しかし服装の乱れなどを理由として、ほどなくして復活。現在はほとんどの学校でブレザーを着用するが、女子生徒がセーラー服に似た制服(所謂「セーラーブレザー」)を着用する学校もある。なお、韓国では学校の制服は「校服」(キョボク、교복)または「学生服」(ハクセンボク、학생복)と呼び、警察官や軍人などの「制服」(チェボク、제복)とは区別する。また、学校指定の体操着も多くの学校にあり、「体育服」(チェユッポク、체육복)または「運動服」(ウンドンボク、운동복)と呼ばれる。
[編集] 大学
韓国は日本人が想像出来ないほどの学歴社会である。どの学校を出たかは就職や出世に大きな影響を与える。会社の中で学閥はかなり強い影響を持つ。個人の能力だけでこれを覆すのはまず無理である。文字通り受験で一生が決まる。韓国人に学歴を聞くことはとても失礼な行為とされるほどである。そのため韓国では毎年激しい受験戦争が行われている。親は我が子が小さいときから高額な進学塾に通わせ、試験日には仕事を休んで応援に行く。受験のストレスが原因で自殺を図る受験生も少なくない。入試シーズンには受験生を安全に受験会場へ送り届けるため警察隊が動員され、またリスニング試験時の騒音対策として、航空機の離着陸が制限される場合もある。一般的にソウルを中心とする首都圏の大学が上位とされ、地方大学は軽視される傾向にある。修業年限は4年(建築学科は5年の大学もある)であるが、特に男子は徴兵制度のため休学する者が多く、4年以上かけて卒業するケースも多い。
韓国の大学はシステム的には日本とほぼ同一であるが、大学自体を「大学校(テハッキョ)」と呼び、学部、或いは短期大学を「大学(テハク)」と呼ぶ(例:延世大学校人文大学)。ただし、最近では日本と同様「延世大学人文学部」のように呼ぶ場合が多い。入試は主として2種類に分類され、日本の大学入試センター試験に該当する「修能(スヌン)」の成績に基づいて志望校を選定する「定時募集(チョンシモジプ)」と、推薦入試やAO入試などに当たる「随時募集(スシモジプ)」とがある。 韓国の各大学については韓国の大学一覧を参照のこと。
[編集] 日本との違い
日本の新学期は4月だが、韓国の新学期は3月2日に始まる。冬休みは日本より長い。日本の学校では体罰禁止だが、韓国では体罰は容認されており、教師は権威主義の傾向がある。教師への付届けをする慣習がある。