大都会 PARTII
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『大都会 PARTII』(だいとかいぱーとつー)は、1977(昭和52)年4月5日から1978(昭和53)年3月28日まで日本テレビ系列で毎週火曜日21:00 - 21:54に全52話が放送された、石原プロモーション製作の刑事ドラマである。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
『大都会』シリーズの第2弾。と言っても前作『大都会 闘いの日々』からキャラクター等はスピンオフしているものの、それぞれの設定に微妙な変更が加えられており、続編やリメイクというよりも全くの別作品として見るべきである。 前作との最も顕著な違いは、アクションシーンが前面に押し出されている点だ。特に初期においては、派手なカースタントがほぼ毎回登場した。またアクション強化に呼応するかの如く、登場する犯人たちの犯罪行為にも残虐性が増している。これらの路線変更は前作のメインライターであった倉本聰の逆鱗に触れ、以降倉本とNTVとの関係が悪化する遠因になったとも言われる。 企画段階では、前作と同じ人間ドラマ路線を引き継ごうとする齋藤憐とアクション路線を推す永原秀一との間でかなり過激なディスカッションが繰り広げられたという。
しかし、前作の持っていた人間ドラマ性が蔑ろにされているというよりも、むしろドラマとアクションの絶妙なバランスとキャラクターの魅力が高い評価を得ており、本作を刑事ドラマの最高傑作と評する意見も少なくない。
また、金嬉老事件、東大阪のクラクション殺人、吉展ちゃん誘拐殺人など、現実に発生した事件をモチーフにしたストーリーや設定なども多く用いられている。更にこれは武井課長登場以降に顕著となる事だが、劇中用語として後に『踊る大捜査線』をきっかけに流行することになる「被疑者確保」(=犯人逮捕)など現実の警察で使用されている専門用語(?)の多用や、暴力団絡みの事件に対し、上司が「暴力団は四課の仕事だ」と一喝する描写など(実際、暴力団が組織的かつ直接的に関わる事件はあまり描かれていない)が自然に挿入されており、これらの表現は荒唐無稽なアクションの中にリアリティを与えるエッセンスの役割を果たしていた。
[編集] 設定
[編集] 警視庁城西警察署
- 黒岩頼介-くろいわ・らいすけ-(演:渡哲也)
- 春に巡査部長に昇任したばかりの捜査課(シナリオでは「捜査一課」)部長刑事。柔道5段、空手3段、逮捕術1級。実質的な捜査指揮官。といっても実際は捜査上で発生するトラブルやミスの責任が上層部に降りかかる事を避ける為のダミーに過ぎないのだが、黒岩自身は刑事という職業に理想やプライドを持っているわけではなく、そんな自分のポジションを甘んじて受け容れている。
- 群馬県長野原町(一部資料では長野県)の印刷工場の長男で、少年時代は医師を志し、医大進学へ向けて勉学に勤しむ日々を送っていた。ところが、受験を目前にして工場が手形を落とし倒産。心労が祟ったのか直後に父親は莫大な負債を残したまま死亡し、病弱だった母親も後を追うように世を去った。進学の道を失った彼は高校卒業後、まだ幼かった恵子を連れて上京。恵子を養う為に様々な職に就くがどれも長続きせず、一時はグレてチンピラ同然の生活を送ることになる。そんな折、街でケンカ騒ぎを起こし顔に大怪我を追い、担ぎ込まれた先が渋谷病院だった(その際、彼は降り頻る雨の中で足の悪い犬を舐めるように可愛がっていたという)。宗方に諭された彼は、心機一転で警察官採用試験を受け合格。その間に恵子を高校に通わせ、刑事の歩むべき道を黙々と進んできた。
- 32歳のA+B型。愛称は「クロさん」「デカ長」。
- 徳吉功-とくよし・いさお-(演:松田優作)
- 捜査課捜査員。学卒のインテリだが、本人はそれを鼻にかけることもなく、まただからどうだとも思っていない様子だ。
- とにかくマイペースな男で、給料日を除いて遅刻無断欠勤は当たり前、その上状況も弁えずに冗談めいた台詞ばかり吐いているが、一旦事に当たれば黒岩の片腕として抜群の働きを見せる、黒岩が刑事として最も信頼する部下の1人。一方でやや暴力的な性格から、被疑者から逆恨みを買ってしまうこともままある。
- 山口百恵の熱狂的ファンである30歳。愛称は「トク」。
- 丸山米三-まるやま・よねぞう-(演:高品格)
- 捜査課捜査員。現場叩き上げの大ベテランで、長年の経験で培われた勘の鋭さは署内随一。戦時中は二等兵として出征しており、モールス信号の解読に長けている。愛称は「マルさん」。
- 大内正-おおうち・ただし-(演:小野武彦)
- 捜査課捜査員。黒岩と上役とのパイプ役を務める。どういうわけかエリート意識が高く、同僚たちから反感を買ってしまうこともある。中期以降は徳吉とテンポの良い掛け合いを演じることも多かった。愛称は「坊さん」「坊主」。
- 上条巌-かみじょう・がん-(演:峰竜太)
- 捜査課捜査員。俊足を生かして被疑者を追い詰める若手刑事。愛称は「サル」(シナリオでは「ガン」)。
- 平原春夫-ひらはら・はるお-(演:粟津號)
- 捜査課捜査員。秋田県出身で、郷里に母親がいる。ドジばかり演じているが、どこか憎めない男。大食漢。愛称は「ヒラ」。#13にて殉職。
- 神総太郎-じん・そうたろう-(演:神田正輝)
- 捜査課捜査員。平原に代わり#14より登場。警察大学を卒業し、犯罪心理学に通じた頭脳派だが、実戦は苦手である。前任の城北署でも武井の部下だった。愛称は「ジン」。
- 宮本兵助-みやもと・ひょうすけ-(演:苅谷俊介)
- 捜査課捜査員。平原に代わり#14より登場。7年間交番勤務を続け、念願の捜査課配属となった。九州出身で、怪力が自慢の自称「弁慶」。下着は褌を愛用している。AB型。
- 吉岡務-よしおか・つとむ-(演:小池朝雄)
- 捜査課課長。水虫に悩まされており、デスクで薬を塗る姿を徳吉に茶化されるのが常套パターン。現場の指揮権を握る黒岩に対して内心コンプレックスを感じていたが、ある事件をきっかけに眠っていた刑事魂が呼び覚まされ、それが裏目に出た結果殉職という最悪の悲劇を迎えてしまう。
- 武井勉-たけい・つとむ-(演:小山田宗徳)
- 捜査課課長。吉岡に代わり#11より登場。事ある毎に黒岩たちに愚痴を垂れる、中間管理職の典型。気弱な性格で胃薬を常用。#31にて左遷を言い渡される。
- 山本清理-やまもと・きよさと-(演:滝田裕介)
- 捜査課課長。武井に代わり#32より登場。本庁一課時代、ある幼児誘拐殺人事件の解決に尽力した敏腕として警察関係者の間では有名な存在だった。「アットホームな職場環境」を謳うが、裏表の激しい性格から部下から総スカンを食う事多数。
- 友田育子-ともだ・いくこ-(演:仙山久美)
- 捜査課事務員。#7まで登場。
- 千田幸子-せんだ・さちこ-(演:美田麻紗子)
- 捜査課事務員。#9より登場。使命感と責任感が強い娘。愛称は「さっちゃん」。
- 深町行男-ふかまち・ゆきお-(演:佐藤慶)
- 城西署次長。#1,2,19に登場。警察の権威を守る為には、己の命を捨てる事すら厭わない男。
[編集] 渋谷病院
個人経営の小さな救急指定病院で、城西署の嘱託医。
- 宗方悟郎-むなかた・ごろう-(演:石原裕次郎)
- 外科医。自称渋谷病院の看板医者で、四六時中ブランデーを呷っているが、医者としての腕は確かである。
- 元々は有名私立大付属病院の学究であったが、ある時ふと思うことがあり、この小さな病院に新天地を求めた変わり者。患者がヤクザといえど凶悪犯といえど分け隔てしない主義で、その姿勢から時折黒岩たちと対立することもある。結婚歴があるが、妻は既に亡い。
- 梶山保-かじやま・たもつ-(演:玉川伊佐男)
- 渋谷病院院長。宗方の腕を信頼する理解者だが、警察医という病院の肩書きには懐疑的。
- 吉野今日子-よしの・きょうこ-(演:丘みつ子)
- 渋谷病院に新しく勤務したばかりの看護婦。大学病院時代、組合の先頭に立って勤務をボイコットし、結果患者を死なせてしまった過去がある。当初は黒岩の強引なやり方に反発していたが、いつしか理解を示し、彼に思いを寄せるようになる。
- 佐伯たつ-さえき・たつ-(演:今井和子)
- 渋谷病院看護婦長。
- 三田典子-みた・のりこ-(演:舛田紀子)
- 渋谷病院の新米看護婦。何かと黒岩たちにイジられる。愛称は「チビ」「ノンちゃん」。
- 加山洋子-かやま・ようこ-(演:美田麻紗子)
- 渋谷病院看護婦。初期数話のみ登場。
- 三枝浩-さえぐさ・ひろし-(演:森正親)
- 渋谷病院外科医で、宗方の助手。
※演ずる森正親は、石原プロの俳優担当スタッフ(当時)。
[編集] その他
- 黒岩恵子-くろいわ・けいこ-(演:仁科明子(現・仁科亜季子))
- 黒岩の妹。都内のブティックでファッションデザイナーを務める。30を過ぎて未だに身を固めない兄に気を揉んでいる。早坂(演:関川慎二)という男性と交際しているが、彼には兄が警察官であることを偽っている状態。
- 久松みどり-ひさまつ・みどり-(演:佐藤オリエ)
- 刑事たち行き付けの小料理屋「松ヶ枝」の女将。宗方を贔屓している様子。
- 佐川道子-さがわ・みちこ-(演:白川望美(現・志麻いづみ))
- 「松ヶ枝」手伝い。徳吉に惚れられているらしい。
- 川島功-かわしま・いさお-(演:武藤章生)
- 毎朝新聞記者で、城西署記者クラブ詰め。特ダネをモノにする為には協定違反すら厭わない辣腕。至極酒癖が悪い。愛称は「カワさん」。
[編集] スタッフ
- 企画:岡田晋吉、加藤教夫(NTV)、小林正彦
- プロデューサー:山口剛(NTV)、石野憲助
- 脚本:永原秀一、佐治乾、齋藤憐、石松愛弘、大原清秀、神波史男、松下幹夫、金子成人、峯尾基三、山本英明、柏原寛司、山田正弘、小野竜之助、熊谷禄朗
- 音楽:GAME、ミクロコスモスII(作曲・編曲:淡海悟郎)
- 技斗:高倉英二
- 監督:舛田利雄、村川透、澤田幸弘、蔵原惟繕、長谷部安春、小澤啓一、山崎大助
- 制作:石原プロモーション
[編集] 挿入歌
[編集] 豆知識
- '77年度の文化庁芸術祭には#3「白昼の狂騒」がテレビ部門優秀作品としてノミネートされている。受賞は逃しているが、これはテレビの分野作品としては他に類を見ない快挙であった。
- 本作の高視聴率により、関東圏では本放映中にも関わらず、夕方枠で#1から再放映が行われるという当時としては異例の措置が取られた。
- 本放映時にクラクション殺人の描写にクレームが付いたため、#45「白昼の市街戦」は最初の再放映以降欠番扱いとなっている。一部資料では'85~86年の山一戦争への配慮と言われているが、これは全くの誤り。
- 黒岩の母校という設定の長野原高校は群馬県に実在。因みにかの荻原健司・荻原次晴兄弟の出身校でもある。
- 松田優作は本作で、ゲスト俳優への楽屋ネタっぽいギャグを使い、その独り芝居に近いユーモアな演技は、後の探偵物語にて完成された。
[編集] 関連項目
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