利き手
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利き手(ききて)とは、人間の左右の手のうち、先天的に反射・動作される手の事。
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[編集] 概説
左右どちらの手が利き手なのかは、厳密に調べるために利き手テストなどの試験により判定する必要がある。 世界中の文化の違いはあってもおおむね、右利きの人口は左利きの人口に比べて多いとされる。
字を書くほうの手で判断される事が最も多いが、字を書写する際の手については伝統的に教育されているため必ずしも一致しない。 利き手は先天的なものなので、利き手そのものを変更する事は不可能である。ただしある身体操作を行う際の専門の手を片方の手にする事は訓練で可能であり、これを矯正と称している。 又、本来の利き手とは関係なく訓練によって両方の手で器用な動作の出来るいわゆる両使いの人や、字は右手、箸は左手などそれぞれの動作ごとに優先される手が異なり、左右の手を使い分ける人もいる。
日本の武士の持つ日本刀が右手向きになっているなど、右利きに合わせた道具類も多く、生来は左利きでありながら、矯正された人も多かったと考えられる。左利きは「ぎっちょ」(「左器用」の転訛)として差別されてきた歴史的経緯がある。左利きの矯正は、日本以外の国でもみられた。その一方で、左利きである事に誇りを持つ人もおり、その場合は自ら「左利き」を名乗る事もある。一部のスポーツでは、その希少性ゆえに左利きが優位になる事もある。
又、鋏、缶切、横手(よこで)の急須をはじめ、公衆電話の受話器の位置や、自動販売機の硬貨の投入口、駅の自動改札機の切符投入口、果ては机(の引出しの位置)など、右利きの人が利用する事を前提に作られているため、左利きには使いにくいものも多い。又、文字の字体もこれにあてはまる。
脳機能局在論では利き手の方向と密接に関わっているが、右利きと左利きで対称になっている訳ではなく、未解明な点が多い。
[編集] 利き手と成句
酒飲みの事を左利きというのは工具のノミを持つ手とかけてとされる。(左利きの人がグイ呑み(ノミ)を左手で持って煽る動作に由来)
左団扇は利き手とは反対の手で団扇を持つ事を言う。利き手で扇ぐ場合に比べ、力のいらない手で扇ぐ事=余裕がある事を指す。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 左利きの矯正について
- 運動の利き手と感覚の利き手
- 利き手と脳 なぜなる?どう違う?左利き・右利き
- サルにも利き手があるか?
- 利き手 と 利き目
- 左右優位 さゆうゆうい 杉下守弘
- 左利きの筆記具の持ち方と筆順の問題
[編集] 関連書
- 前原勝矢 『右利き・左利きの科学』利き手・利き足・利き眼・利き耳 講談社 1989年 ISBN 4061327828
- デイヴィッド ウォルマン 梶山あゆみ 訳 『「左利き」は天才?』利き手をめぐる脳と進化の謎 日本経済新聞社 2006年 ISBN 4532165628
- リー・W. ラトリッジ、リチャード ダンリー 丸橋良雄、尾島真奈美 訳 『左利きで行こう!』目からウロコの左利きツアー 北星堂書店 2002年 ISBN 459001128X