営団8000系電車
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営団8000系電車 | |
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乗り入れ先の田園都市線を走る8000系(鷺沼駅) | |
両数 | 10両 |
起動加速度 | 3.3km/h/s |
営業最高速度 | 100km/h |
設計最高速度 | 100km/h |
減速度 | 3.5km/h/s(通常) 4.5km/h/s(非常) |
車両定員 | |
編成定員 | 1424人(6次車組込編成1436人) |
全長 | 20000mm |
全幅 | 2830mm |
全高 | 4135mm |
車両重量 | |
編成重量 | 318.1t(更新編成294.8t) 6次車組込編成は多少異なる |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1500V 架空線式 |
駆動装置 | WN平行カルダン駆動方式 歯車比5.73(86/15) |
モーター出力 | |
編成出力 | 3840kw(更新編成3300kw) |
歯車比 | |
制御装置 | AVF(自動可変界磁)式電機子チョッパ制御(更新車(01~03・06・09編成)はIGBT式VVVF制御) |
ブレーキ方式 | ATC装置連動 電気指令式電空併用ブレーキ |
保安装置 | 東急新ATC(CS-ATC)・営団新ATC(同)・東武形ATS |
メーカ | 東急車輛製造、日本車輌製造、川崎重工業、近畿車輛 |
備考 |
8000系電車(8000けいでんしゃ)は、東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)半蔵門線向けの通勤形電車。1981年(昭和56年)4月1日に営業運転を開始した。
車体は、千代田線用6000系および有楽町線用7000系に準拠するところが多い。
目次 |
[編集] 概要
1980年(昭和55年)から1994年(平成6年)にかけて190両が東急車輛製造、日本車輌製造、川崎重工業、近畿車輛で製造された。
- 半蔵門線の路線自体は1978年(昭和53年)8月1日の渋谷駅~青山一丁目駅間が最初の開業区間であり、この8000系が営業開始するまでの約2年半の間、営団は自ら車両を保有せず、乗り入れ先の東京急行電鉄8500系のみで運用していた。
試験車や電気機関車を除き、日本初のボルスタレス台車を採用した。
[編集] 編成組成
←久喜・南栗橋・押上/渋谷・中央林間→
8100(CT1)-8200(M1)-8300(M2')-8400(M1)-8500(Mc2)-8600(Tc')-8700(T2)-8800(M1,M1c)-8900(M2')-8000(CT2)
- 8500・8600・8800(01~09)形に中間運転台、8300・8900形に車いすスペースをそれぞれ設置している。
[編集] 外観・性能
- 銀色無塗装のアルミニウム合金製車体にラインカラーの紫帯を巻いている。
- 20m・4扉
- 前期車(8101F~8109F)・中期車(8110F~・8708/9・8808/9)・後期車(8601~8607・8701~8707)ではドアエンジン機構が異なり、乗り心地も多少異なる。いずれもドアの開閉時の動作及び音が異なっており、前期車は開閉時に「ドーン」という大きな音を出す事から一部では「爆弾ドア」や「爆音ドア」などと呼ばれている。これは5000系アルミ車や6000系および7000系1段窓車にも見られる特徴であり、違う面は6000系・7000系は最終増備車まで「爆弾ドア」を採用したことである。
- 中間増備車はドア窓が若干大きくなっている。
- 8109Fと8106Fは2005年(平成17年)、8101Fと8102Fと8103Fは2006年(平成18年)にそれぞれIGBT素子によるVVVFインバータに制御装置を更新した。
- 最高速度:100km/h(リミッタにより定速走行となる)
- チョッパ制御車・VVVFインバータ制御車共に走行性能上、田園都市線地上区間の最高速度110km/hにも対応している。
- ボルスタレス台車(住友金属工業製SS-101)
- 列車保安装置:東急新ATC(CS-ATC)・営団新ATC(同)・東武形ATS
- 車いすスペースは半蔵門線内で渋谷寄りの2両目(9号車)に設置されている。
- 弱冷房車は半蔵門線内で押上寄りの2両目(2号車、渋谷寄りの9両目)である。
- 定員:先頭車136名・中間車144名(6次車は150名)
- 座席はロングシートタイプ(6次車の8601~8607・8701~8707はバケットタイプ)であり新造当初は赤色(優先席は青色)の区分柄の座席モケットだったが現在ではラインカラーである紫色(優先席は青紫色)の区分柄の座席モケットに変更されている。
[編集] 旅客への情報提供
[編集] 車外の旅客へ
[編集] 車内の旅客へ
- 全編成に自動放送装置を搭載する。8110Fのみ全線対応、その他の編成は半蔵門線・東武線内のみ対応する。しかし8110Fは南町田駅急行停車の音声が含まれていない旧仕様のため以前は東急線では使用頻度が少なかったが、2006年10月以降全く使用されなくなった。
- 編成単位で最終製造の8110Fと更新工事を施工した8101F~8103F・8106F・8109Fは車内のドア上部にLED式の旅客案内表示器(8110Fと更新車の8101F~8103F・8106F・8109Fでは書体が異なる)を設置している。ただし半蔵門線内のみ次駅案内や乗り換え案内を表示し、乗り入れ先では「この電車は(各停以外の種別の場合はその種別を表示)○○行き」の表示で固定されている。8110Fは全ドア配置、8101F~8103F・8106F・8109Fは千鳥配置である。
[編集] 編成
- 10両編成19本(190両)が鷺沼検車区に在籍している。
- 8101F~8109Fは当初8両編成で在籍していたが、後に最初から10両編成で製造された8112F~8114F(1987年製)、8111F(1988年製)、8110F(1990年製)、8115F~8119Fの8600形・8700形以外の8両(1988年製)、8615~8619・8715~8719(1987年製)、8108F・8109Fに組み込む8600形<8608・8609>・8700形<8708・8709>(1988年製)が登場し10両12本・8両7本となったため、1991年(平成3年)春から8101F~8107Fの先頭車前面に8両編成を表すステッカーが貼付された。しかし1993年度に8117Fの長期離脱により代用で先に8101F(約3ヶ月間)その後8104F(約9ヶ月間)の2編成に8617・8717号を組み込んで1年以上の間10両編成で使用された。さらに1994年(平成6年)8月に全編成を10両化するために、8101F~8107Fに新たに中間車を2両ずつ製造する事になった。この車両は、ドア窓の大型複層ガラス化などで05系4次車と同じ車体構造を有している。ただし既存車に合わせるためドア上部の案内表示器は省略した。後述の更新車編成に組み込む8606号・8706号・8603号・8703号・8702号・8602号・8601号・8701号は車内表示器を設置しており、窓の高さが他の車両と異なるので容易に識別できる。
[編集] 東西線での運用
05系登場までの約1年間、1987年末に一部が7両編成で運用されていた5000系の10両編成化を目的に、前倒し新製して東西線で一時的に使用した事がある。
これは当時05系が設計中の段階で、半蔵門線半蔵門駅~三越前駅間の延伸時に投入する予定の8000系10両編成3本(8112F~8114F)を充当した。新製時には以下のような変更点があった。
- 運転台は東西線の他の編成に合わせて2ハンドルマスコンを設置。
- 連結器として密着連結器を使用。
- 使用線区が異なるため、保安装置は東西線用のATC-3型とJR線用のATS-B型を設置。
- 車体帯は東西線での運用期間が短く、すぐに半蔵門線に転用するため、半蔵門線ラインカラーの紫の帯で登場し、さらに誤乗防止のためにドアの上部に「東西線」と表記したステッカーを貼付していた。
これら3編成は東西線では初の冷房準備車で落成したが、翌1988年に冷房装置を搭載し、東西線初の冷房車となった。
入線直後の試運転の時は、それまで5000系と東日本旅客鉄道(JR東日本)から乗り入れる103系1000・1200番台と301系しか存在しなかった東西線に、どうして紫色の帯の半蔵門線の電車がいるのかと興味深々で眺める乗客も少なくなかった。東西線各駅ではPRを兼ねて、この8000系電車の運行予定時刻を掲示したことがある。
東西線から半蔵門線に転出した際は、保安装置や運転台のワンハンドルマスコン化など半蔵門線仕様へと改修した。
[編集] 更新
2005年(平成17年)より新木場CRにて順次車両の更新工事を施工している。ドアの上部へはLED式案内表示器を千鳥配置し、車外乗客用スピーカーの設置や冷房装置の更新、遮光幕の交換、制御装置については三菱電機製VVVFインバータへの更新が行われている。一部利用者から苦情のあったドアエンジン機構においては改良していない。 最初に改造したのは8109Fで、10両すべてがドア窓が従来より大きくなっているため、他編成とは外見から容易に区別が付く。この編成はリミッターを存置している。2編成目は8106Fで、元々はドア窓が小型・一般型・大型と存在した珍しい編成であったが8109Fと同じ仕様となり、大型窓に統一されている。1994年製造である8606号と8706号の客室内は床面のみの更新とドア上への旅客案内表示器を設置しただけである。この編成からリミッターを解除し、田園都市線地上区間での110km/h運転を可能としている。3編成目は8103Fで、施工内容は8106Fと同様である。4編成目は2006年7月に出場した8101Fで、隅田川花火大会観客輸送用の臨時列車「SUMIDA HA・NA・BI」号に使用した。5編成目は2006年12月に出場した8102Fで、施行内容は8101F・8103F・8106Fと同様である。
[編集] 関連商品
[編集] Nゲージ鉄道模型
グリーンマックスから、営団6000(7000/8000)系という商品名でプラスチック製未塗装板状組立てキットが販売されている。
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