六甲山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
||||
---|---|---|---|---|
標高 | 931 m | |||
位置 |
北緯34度46分40秒東経135度15分49秒(世界測地系)、北緯34度46分28.3秒東経135度15分59.1秒(日本測地系)
|
|||
所在地 | 兵庫県神戸市 | |||
山系 | 六甲山系 | |||
種類 | -- | |||
初登頂 | -- |
六甲山(ろっこうさん)は、兵庫県神戸市の北部に位置する山塊。六甲山最高峰は標高931m。
目次 |
[編集] 概要
六甲山を中心に、長さ数十kmにわたる六甲山地を形成する。瀬戸内海国立公園の区域に指定されている。 接する市は、神戸市の他、芦屋市、西宮市がある。
上代には「むこやま」と呼ばれ、「武庫山」などと字が当てられた。江戸時代後期以降、「六甲山」の字が当てられ、読みも「ろっこうさん」と変化した。
[編集] 水害の山
六甲山は元々緑の山であった。 山頂付近は落葉広葉樹林、その他は照葉樹林の森で覆われていたのが古代の本来の姿であった。
近隣に人が進出するにつれ、伐採利用が行われるようになり、森の二次林がおこった。
江戸時代に入ると燃料や資材として山中の樹木の伐採が進みはげ山化した。江戸末期の神戸港開港はこうした事象をさらに悪化させ、明治初期には地表が露出するほどに荒廃した。当時の神戸港の写真の遠景には草木が全く生えていない六甲山が写っている。現在の緑豊かな六甲山からは想像もできない全山はげ山の姿であった。わずかに最高峰付近と寺院近傍にのみ林が残存していたのみである。
六甲山は風化花崗岩でできた地質であるため、地表から草木が除かれ土壌が流出すると雨により崩壊しやすい。
このような山地の荒廃は、たびたび土砂災害を招いたことから1895年(明治28年)より兵庫県が砂防事業を開始した。明治35年(1902)からは山地の緑化事業を開始した。 これは、杉や檜のような商業材ではなく、広葉樹林を中心とした治水を目的とした当時としては画期的な緑化事業であった。
1938年(昭和13年)に空前の阪神大水害が発生し、大きな被害が出た。これを契機に、翌1939年(昭和14年)より六甲山の砂防事業は国(当時の内務省)の直轄事業に移って今日に至る。この時期から植林による砂防から、渓流への砂防えん堤等の設置対策へと比重が移る。
六甲山は流れる川に砂防の堰堤が多い山としても知れれる。国による砂防えん堤が511基、地方自治体によるものも含めると約1000基にのぼる。
砂防事業による効果としては、1967年(昭和42年)にも阪神大水害を上回る雨量で土砂災害が発生したものの、都市化が進行しているにも関わらず被災者数、被災家屋は少なくなっている。
平成7年の兵庫県南部地震では六甲山も崩壊地が多数生じ、新たな危機が浮き彫りとなった。 これを契機に、六甲山系グリーンベルト構想が打ち出され、今日にいたっている。
[編集] 近代の開発
現在の六甲山の歴史は、明治時代以降に欧米人によって開発されたハイリゾートに始まる。山頂エリアにはイギリス人A.H.グルームらにより造成された日本で最初のゴルフ場である神戸ゴルフ倶楽部がある。山頂エリアの山道は、シェール道、シェール槍、アゴニー坂、ドゥントリッジ、トゥエンティクロスなど、当時の外国人により命名されたものが現在も使われている。
山頂付近は、第二次世界大戦中より港湾都市である神戸~尼崎を防衛するために日本陸軍の高射砲陣地が設けられた(陣地は山腹にも複数設けられた模様)。戦後は米軍の進駐により、高射砲陣地も米軍に摂取され、そのまま通信基地となった。1992年に返還されるまで大型のパラボラアンテナが設置され、約半世紀に渡り近畿地方唯一の在日米軍施設として民間人の立ち入りができなかった。
神戸市街に隣接していることもあり、山頂エリアへはケーブルカーと山上バスを乗り継いで到達することができる。ロープウェイで山を越えていくと有馬温泉に至るという、観光上恵まれた立地である。
山頂エリアには様々な文化・保養施設があり、企業の保養所や個人の別荘も点在して一つの町が形成されている。また山陽自然歩道をはじめとする多数のハイキングコースが整備されており、西隣の摩耶山には日本三大夜景として知られる掬星台がある。
[編集] 近代登山発祥地
1874年に、ガウランド、アトキンソン、サトウの三人の外国人パーティが、ピッケルとナーゲルを用いたいわゆる近代登山を日本で初めて六甲山で行った。ガウランドは1881年に槍ヶ岳と前穂高岳に登山して「日本アルプス」を命名した人物で、サトウは富士山に最初に登った外国人としても知られる。
1910年には日本初の社会人山岳会である神戸徒歩会が結成された。また1924年にヨーロッパ帰りの藤木九三らによって結成されたRCC(Rock Climbing Club)は岩山である六甲山を活動の場として、日本の登山界に初めてロッククライミングを紹介する役割を果たした。加藤文太郎も所属した山岳会である。
[編集] 山頂の街
東灘区と北区の境に六甲山地最高点がある。その西にある灘区六甲山町の六甲有馬ロープウェー「六甲山頂駅」から摩耶山山頂近くの摩耶ロープウェー「星の駅」にかけて、多くの文化・保養施設が並ぶ“街”になっている。その中にある神戸市立六甲山小学校は神戸市内で一番高い標高にある学校で、また神戸で一番早くにストーブが点火される小学校として、地元のニュースでしばしば取り上げられる。夏休みは短く、冬休みが長い。六甲山ホテルの旧館は関西では数少ないクラシックホテルとして名高いほか、個人所有のためほとんど見学できないが、多くの西洋館が別荘建築として現存している。六甲摩耶鉄道六甲ケーブル線の六甲ケーブル下駅、六甲山上駅の駅舎も開通当初の近代建築で極めて美しい。
[編集] 六甲颪
読みは「ろっこうおろし」。冬季に神戸市の北側に位置する六甲山系から吹き降ろす風を「六甲颪」と呼ぶ。「比叡颪」や「筑波颪」等と同様に冬場の北西からの季節風が山を越えて太平洋側に吹き降りる際に乾燥して強く冷たい風となって吹くものである。
西宮市の阪神甲子園球場を本拠とする阪神タイガース球団の応援歌(「阪神タイガースの歌」)も、その冒頭の歌詞にちなんで「六甲颪」と称される。この俗称を使い出したのは、元朝日放送アナウンサーでタレントの中村鋭一といわれている。勘違いしている野球ファンも多いが、実際に甲子園球場で吹くいわゆる「浜風」は六甲颪そのものとは発生の原理が異なる。プロ野球のシーズンには「六甲颪」は吹かない。 [1]
[編集] 縦走
六甲山の東西に長い山系を縦走することも登山コースとして知られている。この縦走路は、孤高の天才クライマーと言われた加藤文太郎(1905年 - 1936年)ゆかりのコースである。主な縦走路は須磨浦公園(神戸市須磨区)から宝塚駅(宝塚市)までの約56kmである。毎年、六甲全山縦走大会が開かれる。11月に神戸市主催の大会が、12月に兵庫県勤労者山岳連盟[1]主催の大会が開かれる。
また市街地から短い距離で北向きに上がれば、相当高い標高へ到達できる。毎日登山している人もいる。
[編集] 横断
縦走とは逆に六甲山地を横断する道は無数にある。 現在、ハイキングルートで最もポピュラーなコースは、芦屋川からロックガーデン、東おたふく山を経由して最高峰に至り、下りは有馬温泉に下る。
[編集] 魚屋道
古くから使われてきた道である。阪神側から有馬温泉へと抜ける道であり、温泉街へ瀬戸内海の新鮮な魚介類を届ける魚屋が使用した道であることから、この名前がある。
[編集] 杜氏
丹波や但馬から杜氏がやってくるときに、越えなければならない山である。トンネルもなかった時代からどこの峠を越えた事であろうか?有馬温泉で一服してから灘へ行ったとすると、ほぼ最高峰の部分を越えねばならないが、距離はたいしたことないので、三田市の日出坂峠を早朝に越えると、一気に灘までいける距離なので、温泉につかることなどなかったのかもしれない。もっとも物見遊山ではなく、あくまで出稼ぎであるが。
[編集] 交通機関
[編集] 関連項目
[編集] 注釈
- ↑ 近年では、車で若い女性をナンパし山頂付近まで連れて行き、性行為を拒否した者を山頂で降ろして帰ることをこの言葉にかけて「六甲降ろし」という向きもあるようだが、風そのものとは何の関係もない俗語である。
[編集] 外部リンク
- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名:宝塚(南西)
- 六甲山<ROKKOSAN>(阪神電鉄の六甲各施設紹介サイト)
- 六甲砂防事務所 (国土交通省 近畿地方整備局)
六甲山地東部(再度山・摩耶山・六甲山・西お多福山・東お多福山・甲山)の名所・施設 | |||||
---|---|---|---|---|---|
新神戸ロープウェー | 摩耶ケーブル | 六甲山上バス | 六甲ケーブル | 蓬莱峡 | |
新神戸 | 摩耶ロープウェー | スカイシャトルバス | 六甲有馬ロープウェー | 白水峡 | |
森林植物園 | 六甲山牧場 | カンツリーハウス | 六甲山人工スキー場 | 芦屋ロックガーデン | |
外国人墓地 | 忉利天上寺 | ホール・オブ・ホールズ | 神戸ゴルフ倶楽部 | 奥池 | |
再度公園 | 摩耶自然観察園 | 六甲オリエンタルホテル | 六甲スカイヴィラ | エンバ中国近代美術館 | |
大龍寺 | オテル・ド・摩耶 | 自然保護センター | 六甲山ホテル | 鷲林寺 | |
布引ハーブ園 | 掬星台 | 穂高湖 | 神戸市立自然の家 | 神呪寺 | |
徳光院 | 諏訪神社 | 六甲山四季彩奏空間 | 六甲ガーデンテラス | 甲山森林公園 | |
布引の滝 | 金星台 | 風の教会 | 六甲高山植物園 | 有馬四十八滝 |