パラボラアンテナ
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パラボラアンテナ(parabolic antenna, parabola antenna)とは、放物曲面をした反射器(放物面反射器 parabolic reflector)を持つ凹型アンテナ。形状からディッシュアンテナ(dish:(料理などを盛る)皿)ともいう。図の放物面 C の焦点 F に反射器の方向に指向性をもつ1次輻射器をおくと、輻射された電磁波が反射して放物面の対称軸方向と平行に揃って良好な指向特性を示す。受信する場合は経路が逆になる。
1次輻射器には、1/2波長ダイポールアンテナやホーンアンテナの小さいものなど、利得の低いものがよく用いられる。(反射器によって得られる利得が高いため、高利得の輻射器を必要としない。)
主に極超短波(UHF)より短い波長の電波で利用され、遠距離通信や衛星通信、電波天文に用いられる。
[編集] 特徴
- 反射の面積が同じ場合、利得は使用する周波数の2乗に比例する
- 指向性が鋭く、側面や後方への漏洩も少ない
- 反射器自体は利得・ビーム幅以外の周波数特性を持たないので、広帯域である
[編集] その他
- 焦点に1次輻射器の代わりに双曲面反射器を置き、放物面反射器の表面付近に輻射器をおくカセグレン型構成(カセグレンアンテナ)がある。衛星通信の地上局(基地局)でよく用いられる。
- 衛星放送用受信アンテナでよくみられる楕円形のものはオフセットパラボラアンテナといい、反射器は放物面の一部を切り出したものである。平行になったビームを1次輻射器およびその支持物が遮らないため、小型のアンテナで損失を押さえることができるほか、輻射器を下部に配置すると鏡面が垂直に近づくため着雪を押さえられる。反射器の重量が車重に大きく影響を与える衛星中継車でも利用される。