伊豆箱根鉄道駿豆線
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駿豆線(すんずせん)は、静岡県三島市の三島駅から伊豆市の修善寺駅までとを結ぶ伊豆箱根鉄道の鉄道路線である。社名から地元ではいずっぱこと呼ばれることも多い。
路線名の駿豆とは駿河国と伊豆国を意味するが、これはかつて同線が駿河国に属する沼津市と伊豆国に属する三島市の間に軌道線(路面電車、1963年廃止)を運行していた駿豆電気鉄道の路線だったことから来ている。 駿豆線自体、1934年に現在の三島駅が開業するまでは(旧)三島駅(現・御殿場線下土狩駅)を国鉄線との接続駅にしていたため、駿河国域をわずかにかすっていたが、現在は全線が旧伊豆国内を走っている。
目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
JR東京方面から東海道本線経由で特急「踊り子」が定期列車では1日2往復乗り入れる。なお駿豆線内では全列車が特急料金不要の快速扱いとなる。ただし学生定期券では乗車できない。
普通列車は概ね1時間4本であるが朝夕ラッシュ時は増発され、特に朝の場合はおおむね10分以内の間隔で運行されている。運転区間としては三島~修善寺間の他、朝には出庫列車として大場~三島間と大場~修善寺間の区間運転もある。入庫列車は三島、修善寺より回送列車として大場まで運転する。
以前は7000系(設定当初は3000系3001編成)を利用した一部座席指定席の快速電車が運行されていたが1998年3月末で廃止され現在では設定されていない。
また将来の東海道本線乗り入れ準備(現在は計画段階だが実現の見通しなし)として7000系には「沼津」「熱海」「富士」等の行先方向幕が用意されている。
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
駿豆線の近年の輸送実績を下表に記す。当線の輸送量は中小私鉄としてはかなり多い量であり、優良線区に位置付けされる。最近では輸送量は減少している。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1975年(昭和50年) | 386.4 | 366.0 | 593.9 | 1346.3 | |
1976年(昭和51年) | 389.6 | 379.2 | 613.4 | 1382.2 | |
1977年(昭和52年) | 373.5 | 397.8 | 662.2 | 1433.6 | |
1978年(昭和53年) | 361.4 | 397.6 | 674.4 | 1433.5 | |
1979年(昭和54年) | 355.5 | 397.3 | 606.8 | 1359.7 | 3000形電車運転開始 |
1980年(昭和55年) | 357.5 | 402.2 | 608.6 | 1368.3 | |
1981年(昭和56年) | 347.7 | 396.9 | 601.5 | 1346.2 | 特急「踊り子」運転開始 |
1982年(昭和57年) | 354.2 | 384.7 | 606.7 | 1345.6 | |
1983年(昭和58年) | 355.5 | 384.9 | 603.9 | 1344.3 | 修善寺駅新駅舎完成 |
1984年(昭和59年) | 354.6 | 392.4 | 589.4 | 1336.3 | |
1985年(昭和60年) | 358.2 | 399.9 | 610.3 | 1368.4 | |
1986年(昭和61年) | 354.9 | 403.3 | 615.0 | 1373.2 | 伊豆長岡駅新駅舎完成 |
1987年(昭和62年) | 353.8 | 414.8 | 629.1 | 1397.7 | |
1988年(昭和63年) | 353.6 | 425.6 | 628.0 | 1407.2 | |
1989年(平成元年) | 369.5 | 430.0 | 635.9 | 1435.4 | |
1990年(平成2年) | 369.6 | 431.5 | 682.0 | 1483.1 | 7000形電車運転開始 |
1991年(平成3年) | 399.0 | 423.2 | 709.6 | 1531.8 | |
1992年(平成4年) | 401.4 | 426.8 | 700.5 | 1528.7 | |
1993年(平成5年) | 383.9 | 403.8 | 672.6 | 1460.3 | |
1994年(平成6年) | 379.1 | 394.6 | 666.2 | 1439.9 | |
1995年(平成7年) | 391.2 | 388.3 | 655.0 | 1434.5 | |
1996年(平成8年) | 399.0 | 373.3 | 654.0 | 1426.3 | |
1997年(平成9年) | 393.8 | 346.0 | 659.7 | 1399.5 | |
1998年(平成10年) | 393.5 | 340.2 | 594.1 | 1327.8 | |
1999年(平成11年) | 375.5 | 328.5 | 578.2 | 1282.2 | |
2000年(平成12年) | 361.1 | 315.9 | 559.5 | 1236.5 | |
2001年(平成13年) | 362.0 | 298.1 | 551.3 | 1211.4 | |
2002年(平成14年) | 368.8 | 289.8 | 537.3 | 1195.9 | |
2003年(平成15年) | 356.1 | 288.5 | 525.2 | 1169.8 | |
2004年(平成16年) | 大場駅新駅舎竣工 | ||||
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
駿豆線の近年の収入実績を下表に記す。最近は収入総合計額は減少しているが、他中小私鉄路線と比較して格段に多い収入額となっている。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1975年(昭和50年) | 389,673 | ←←←← | 843,036 | 9,962 | 1,242,671 | 41,599 | 1,284,270 |
1976年(昭和51年) | 399,370 | ←←←← | 860,870 | 12,461 | 1,272,701 | 45,725 | 1,318,426 |
1977年(昭和52年) | 471,611 | ←←←← | 960,696 | 12,585 | 1,444,893 | 46,590 | 1,491,484 |
1978年(昭和53年) | 463,199 | ←←←← | 987,819 | 13,429 | 1,464,447 | 34,440 | 1,498,888 |
1979年(昭和54年) | 502,510 | ←←←← | 1,088,631 | 12,035 | 1,603,177 | 27,666 | 1,630,844 |
1980年(昭和55年) | 511,958 | ←←←← | 1,095,622 | 8,551 | 1,616,131 | 29,010 | 1,645,142 |
1981年(昭和56年) | 568,339 | ←←←← | 1,201,876 | 6,947 | 1,777,162 | 47,080 | 1,824,242 |
1982年(昭和57年) | 570,563 | ←←←← | 1,232,730 | 5,049 | 1,808,343 | 29,743 | 1,838,086 |
1983年(昭和58年) | 636,124 | ←←←← | 1,321,885 | 3,112 | 1,961,121 | 29,258 | 1,990,379 |
1984年(昭和59年) | 647,641 | ←←←← | 1,292,759 | 0 | 1,940,400 | 29,877 | 1,970,277 |
1985年(昭和60年) | 668,823 | ←←←← | 1,390,691 | 0 | 2,059,514 | 31,396 | 2,090,910 |
1986年(昭和61年) | 711,249 | ←←←← | 1,483,620 | 0 | 2,194,869 | 34,444 | 2,229,313 |
1987年(昭和62年) | 378,173 | 331,665 | 1,515,350 | 0 | 2,225,118 | 33,151 | 2,258,339 |
1988年(昭和63年) | 386,129 | 345,016 | 1,516,245 | 0 | 2,247,390 | 37,588 | 2,284,978 |
1989年(平成元年) | 402,689 | 348,014 | 1,539,908 | 0 | 2,290,611 | 44,679 | 2,335,290 |
1990年(平成2年) | 405,123 | 347,332 | 1,672,434 | 0 | 2,424,889 | 48,989 | 2,473,878 |
1991年(平成3年) | 424,461 | 352,037 | 1,737,316 | 0 | 2,513,814 | 45,914 | 2,559,728 |
1992年(平成4年) | 433,679 | 351,051 | 1,698,693 | 0 | 2,483,423 | 46,745 | 2,530,168 |
1993年(平成5年) | 423,611 | 337,035 | 1,617,979 | 0 | 2,378,625 | 45,869 | 2,424,494 |
1994年(平成6年) | 425,718 | 326,357 | 1,575,659 | 0 | 2,327,734 | 45,599 | 2,373,333 |
1995年(平成7年) | 442,500 | 325,193 | 1,594,974 | 0 | 2,362,667 | 45,202 | 2,407,869 |
1996年(平成8年) | 477,708 | 327,656 | 1,657,393 | 0 | 2,462,757 | 47,172 | 2,509,929 |
1997年(平成9年) | 485,433 | 308,589 | 1,637,582 | 0 | 2,431,604 | 41,642 | 2,384,871 |
1998年(平成10年) | 492,622 | 306,079 | 1,495,199 | 0 | 2,293,900 | 41,807 | 2,335,707 |
1999年(平成11年) | 467,936 | 299,326 | 1,447,949 | 0 | 2,215,211 | 39,891 | 2,255,102 |
2000年(平成12年) | 450,514 | 288,312 | 1,391,267 | 0 | 2,130,093 | 85,639 | 2,281,538 |
2001年(平成13年) | 443,637 | 274,037 | 1,372,126 | 0 | 2,089,800 | 63,471 | 2,153,271 |
2002年(平成14年) | 436,322 | 265,220 | 1,333,025 | 0 | 2,034,567 | 55,523 | 2,090,090 |
2003年(平成15年) | 427,663 | 263,750 | 1,303,820 | 0 | 1,995,233 | 57,677 | 2,052,910 |
2004年(平成16年) | |||||||
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] 車両
現在当路線で使用されている車両の形式は以下の通りである。
なお、ファンの間で人気のあった1000系(通称「赤電」)は最期まで残存していた編成が2005年に廃車されて形式消滅している。また、大雄山線5000系の検査出入場時や工事車両牽引などに使用される東芝車輌製のED32, ED33形の小型電気機関車が在籍している。
[編集] 車両基地
大場工場が伊豆箱根鉄道本社敷地内北側にあり、車両工場と車両基地を兼ねている。大場駅から出入庫を行う。大場駅西口より北へ徒歩5分。
[編集] 歴史
当初は湯治客の便を図り、伊豆中部の大仁と東海道本線を結ぶ目的で建設された。初めの計画では沼津を起点とする予定であったが、東海道本線敷設時に鉄道忌避を行って駅が設けられず、衰退が著しかった宿場街三島の者が土地寄贈を行うなど積極的に誘致を行い、現在の下土狩駅の所に新しく(初代)三島駅を設けた上で、ここを起点とすることになった。その後、修禅寺・修善寺温泉のある修善寺町(今の伊豆市)まで延伸されている。
昭和に入り、丹那トンネルの開通に伴い東海道本線のルートが御殿場経由(今の御殿場線ルート)から現行の熱海経由に変更される事になった際、同線に(2代目)三島駅が設置されたため、起点を変更した。これらの経緯については三島駅#歴史も参照のこと。
なお、戦後まもなくしてから国鉄80系電車を用いて国鉄からの直通運転が開始されたが、開始されてから約10年間は国鉄線の電圧が1500V、駿豆線の電圧が600Vと異なっていたため、80系は走行性能を落して駿豆線内を運行していた。
- 1898年5月20日 豆相鉄道三島町(現・三島田町)~南条(現・伊豆長岡)間開業(1,067mm軌間、蒸気動力)
- 1898年6月15日 三島(現・御殿場線下土狩駅)~三島町間開業
- 1899年7月17日 南条~大仁間開業
- 1907年7月19日 伊豆鉄道に譲渡
- 1912年4月1日 駿豆電気鉄道に譲渡
- 1916年 富士水電と合併
- 1917年11月5日 駿豆鉄道に譲渡
- 1918年8月10日 三島町~大場間電化
- 1919年5月25日 三島~三島町間電化、北条駅を韮山駅に、南条駅を伊豆長岡駅に改称
- 1919年6月5日 大場~大仁間電化
- 1921年6月30日 伊豆仁田駅開業
- 1924年8月1日 大仁~修善寺間開業
- 1928年4月18日 三島六反田駅(現・三島広小路駅)開業
- 1932年12月15日 三島二日町駅開業
- 1933年5月6日 東京方面から週末に直通列車の運転開始(戦時中に消滅)
- 1934年12月1日 丹那トンネル開通による東海道本線の経路変更に伴い、起点を現在の三島駅にする
- 1938年4月6日 駿豆鉄道箱根遊船に改称
- 1941年 駿豆鉄道に改称
- 1949年10月9日 東京から国鉄の準急「いでゆ」が乗り入れ開始
- 1956年2月1日 三島町駅を三島田町駅に改称
- 1957年6月1日 伊豆箱根鉄道に改称
- 1958年9月26日 狩野川台風直撃により被害を受けたが10日で復旧
- 1959年9月7日 架線電圧を600Vから1500Vに昇圧
- 1965年10月1日 駿豆線に大垣からの準急「するが」が乗り入れ開始
- 1964年9月17日 三島~大場間自動閉塞化
- 1966年3月2日 大場~伊豆長岡間自動閉塞化
- 1967年3月25日 三島~修善寺間自動信号化
- 1967年9月22日 伊豆長岡~修善寺間自動閉塞化
- 1967年9月30日 常磐線平(現・いわき)からの急行「常磐伊豆」が駿豆線へ直通運転開始
- 1968年4月1日 線内急行運転開始
- 1972年12月 ATS導入
- 1974年 線内急行運転廃止
- 1975年3月10日 急行「伊豆」2往復に連結のグリーン車廃止。これにより社線内グリーン料金も廃止
- 1978年12月 駿豆線に列車無線、地震計設置
- 1979年12月15日 3000形電車運転開始
- 1981年10月1日 特急「踊り子」運転開始(2000年までは休日の上りについて駿豆線内のみの乗車を禁止していた)
- 1983年4月27日 修善寺駅新駅舎完成
- 1986年10月21日 伊豆長岡駅新駅舎完成
- 1991年3月19日 7000形電車運転開始
- 1998年5月16日 駿豆線開業100周年記念イベントを三島田町駅で実施
- 2002年1月25日 三島広小路駅自動改札併用開始
- 2002年2月7日 伊豆長岡駅自動改札併用開始
- 2002年2月26日 修善寺駅自動改札併用開始
- 2002年3月15日 三島駅自動改札併用開始
- 2003年 三島田町駅、韮山駅自動改札化
- 2004年 大仁駅自動改札化
- 2004年10月9日 台風22号直撃により、伊豆長岡~修善寺間が不通となったが、10月14日始発電車から全線開通
- 2005年3月31日 大場駅新駅舎竣工
[編集] 駅一覧
この書体の駅には始発終着の列車が存在する(2006年3月18日現在)
- ●:停車、|:通過
- 普通列車は省略(各駅に停車)
駅名 | 営業キロ | 特急 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
三島駅 | 0.0 | ● | 東海旅客鉄道:東海道新幹線・東海道本線 | 静岡県 | 三島市 |
三島広小路駅 | 1.3 | | | |||
三島田町駅 | 2.0 | ● | |||
三島二日町駅 | 2.9 | | | |||
大場駅 | 5.5 | ● | |||
伊豆仁田駅 | 7.0 | | | 田方郡函南町 | ||
原木駅 | 8.5 | | | 伊豆の国市 | ||
韮山駅 | 9.8 | | | |||
伊豆長岡駅 | 11.4 | ● | |||
田京駅 | 14.2 | | | |||
大仁駅 | 16.6 | ● | |||
牧之郷駅 | 18.6 | | | 伊豆市 | ||
修善寺駅 | 19.8 | ● |
[編集] 関連作品
- 「豆相鉄道唱歌」(1900年10月)
[編集] PASMOについて
伊豆箱根鉄道では2007年3月に大雄山線でICカード「PASMO」を導入する予定があるが、駿豆線では現在のところ導入が先送りされている。