ビリヤード
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ビリヤードは、室内で行うスポーツ。撞球(どうきゅう)、球撞き(たまつき)ともいう。フランス語で棒を指すbilleが語源。
ポケットのない台を「キャロム」台と呼び、ポケットがある台を「プール」と呼ぶ。それぞれにゲーム内容は異なる。またゲームの種類によって台のサイズは異なる。いずれも台の上で球を「キュー」と呼ばれる棒で打撃して遊戯する。
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[編集] 器具と用語の解説
ビリヤードをプレイする台のことをテーブル、または俗に台と呼ぶ。テーブルの台座部分は主に長辺と短辺の比が2:1の長方形をしているスレートと呼ばれる石やその代用品でできており、ラシャ(羅紗)と呼ばれる柔らかい専用の布でその表面を覆われている。ビリヤードのプレイは全てこのラシャの上で行われる。ラシャの周囲は一段高くなっており、ラシャを張った三角状のゴムの壁で囲まれている。このゴムの壁をクッションと呼び、球が当たると跳ね返るようになっている。クッションとその外側(たいていは木枠など)の部分を合わせて特にレールと呼ぶ。
[編集] ボール
球はそのまま球と呼ぶか、ボールと呼ぶ。キューの先で球を打撃することをショットする、あるいは撞く(突くとも)と呼ぶ。右利きの場合、通常利き手の逆手でキューの先に近い部分を支え、利き手でショットする。キューで直接撞く球を特に手球又はキューボール(cue ball)と呼び、手球をぶつけようとする球を特に的球と呼ぶ。ほとんどのゲームにおいて手球はプレイを通じて変わらないが、的球はショットごとに変わりうる。
的球の色は以下のようになっている。 1:黄 2:青 3:赤 4:紫(桃色 ) 5:橙 6:緑 7:茶 8:黒 9:黄色線 10:青色線 11:赤色線 12:紫色線 13:橙色線 14:緑色線 15:茶色線
[編集] キュー
球を撞く棒状の道具をキュー(cue)、又はキュースティック(cue stick)と呼ぶが、これは大抵の場合、持ち運びができるよう真ん中から2本に分かれるようになっていて、真ん中から先の部分をシャフト、柄の部分をバットと呼ぶ。継ぎ目はネジ式になっているのが普通で、この部分をジョイントと呼ぶ。分割できないワンピースのキューもある。シャフトは主にメープルなどの堅い木でできており、先には破損防止のためにプラスチックや象牙、ベークライトなどの白いキャップ状のものが付いている。これは先角(フェラル、場合によってコツ)と呼ばれる。先角の先には主に革をなめして作られた厚さ5mm~8mm程度で円盤状のタップと呼ばれるものが取り付けられている。これは手球に回転をかける上で非常に重要な部分である。タップはそのままではつるつると滑ってうまく的球に回転がかからない上ショットのミスを起こしやすいので、チョークと呼ばれる専用の粉を塗って滑り止めとする。一般にチョークの主成分は石灰であり、多くはラシャに付いてもあまり目立たない色である青や緑に着色された後、2cm立方くらいの大きさに固められた状態で販売されている。タップの革の質や固さ、繊維の細かさなどで、的球への回転のかかり具合や、かかるタイミング、打球感、耐久性などに影響があり、非常にデリケートな部分である一方、あるレベルのプレイができるようになるまではこういった項目には意識が行かないのが一般である。
また、シャフト、タップともに様々な種類がある。 シャフトの場合、大きく分けてノーマルシャフトとハイテクシャフトがある。ハイテクシャフトは、様々なメーカーから発売されているが、314、ハイブリッドシャフト、ACSSなどがある。ハイテクシャフトは、見越しを軽減する効果がある。 タップの場合、一枚皮、積層、樹脂製など様々な種類のタップがある。樹脂製のタップは、最近公式試合に使用できるようになり、プロ、アマチュア共に使用する人が増加している。樹脂製タップは、ブレイクキュー及びジャンプキューに使用され、非常に硬いのが特徴である。しかし、一部ビリヤード店では、球に傷が付く恐れがあるとして、使用を禁止している場合がある。
キューには、プレイキューと呼ばれるプレイ全般で使われるキューの他に、ブレイクショット(ナインボールゲームなどでの初回のショット)を行うためのブレイクキュー、ジャンプショットを行うためのジャンプキューなどの種類がある。また慣用で、店に備え付けの貸しキューを特にハウスキューまたは芝キューと呼ぶ。
また、自分で所持しているキューを俗にマイキューと呼ぶ。キューはビリヤード場や専門店、インターネットを含む通信販売などにて購入できる。様々なメーカーがキューを販売しているが、大きく分けてプロダクション・キューとカスタム・キューに分けられる。プロダクション・キューは大量生産されているキューで、一般のプレーヤーの多くが使用している。ハウスキューはさらに安価で装飾なども殆どない。カスタム・キューは、オーダーメイドされたキューで、一本ごとにインレイなどの柄などが違う。また、値段もカスタム・キューの方が、プロダクション・キューに比べ非常に高価である。
キューの多くは木製であるためにロットごとに個性が異なる場合が多く、プロダクション・キューの同一商品においても、一本ごとに若干シャフトのしなり具合などが違う。上級者の場合、それぞれのキューの個性を感じ自分にあったキューを見つけるが、あるレベルに達しない限り違いは分かりにくいことが多く、またプレイのスタイルも確立してない場合が多いので、最初のマイキューなどは、デザインや重さ・振りやすさなどで好みのものを選ぶのが良いとされている。
[編集] 補助器具など
他、手がうまく届かない場合に補助に使うメカニカル・ブリッジや、ボールを並べる時に使うラックと呼ばれる器具もゲームによって使われる。
[編集] キャロム・ビリヤード
キャロム台を使って行うゲームをキャロム・ビリヤードまたは俗にキャロムと呼ぶ。
キャロムの場合は手球を他の2つの的球にぶつけることが基本となる。四つ球、ボークライン、スリークッションが公式競技としては有名。(最近では、ボークラインをカードルと呼ぶことが多い)
キャロムの台は大きく4つ球台とスリークッション台の2つに分けられる。どちらの台もポケットと呼ばれる穴がなく、四方をクッションと呼ばれる仕切りで囲われている。スリークッション台の方が一回り大きく、スリークッション台にはしばしばラシャのコンディションを一定に保つためにヒーターが内蔵されている。
[編集] プール、ポケット・ビリヤード
プールを使って行うゲームをプールまたはポケット・ビリヤードと呼ぶ。
プールの場合、基本的には手球を的球にぶつけ、的球をポケットに落とすというゲーム。ナインボール、エイトボール、ストレートプール(14-1)が公式競技としては有名。プールの台はほとんどの場合同じものが使われる。
対戦者の相対的な優劣を競うビリヤードにあって、ボウラードは一人で(対戦者の影響を受けずに)行う競技で個人の実力を量る指標に適しているため、プロテストで用いられることもある。
プールとキャロム台のもっとも大きな違いはポケットの存在である。プールの台には、四隅に4つ、各長辺の中央に2つ、計6つの穴が空いている。ここに狙った球を落とす(これを「ポケットする」と言う)ことで勝敗を競うのである。元々ポケットにはそれぞれネットが張られているだけで(ここに球が溜まるのがプールと呼ばれる所以である)人が手でいちいち取り出していたが、最近ではポケットされた球は自動的に一箇所に集められる構造になっている台が日本では多い。
なおイギリスなどで盛んなスヌーカーのテーブルにもポケット同様に穴がついているが、スヌーカー用の台は他の台に比べて面積が非常に広く、ラシャの表面にゴルフの芝のような「目」があるので、まっすぐ撞き出した球でもこの目に従ってカーブするようになっている。球も他のポケットゲームに比べて一回り小さく、的球をポケット(スヌーカーではポットと言う)する距離が長い(台が大きい為)傾向にあるので的球をポケットするのが非常に難しい。一般にはスヌーカーはプール(ポケット・ビリヤード)の中には含めず、独立したジャンルとして紹介されることが多い。また、世界でプレー人口が最も多いのもスヌーカーである。
[編集] 海外では
日本と違い、アメリカ英語ではbilliardsと言った場合キャロムを指すことがあり、ポケットのあるゲームはpool、pocket billiardなどと呼んで区別する場合があるので注意が必要である。日本ではナインボールが盛んであるが、イギリスではスヌーカー、アメリカではエイトボール、韓国では4つ球など好まれるゲームが国によって異なる。
日本ではあまり見かけないが、アメリカではコイン式の有料ビリヤード台を良く見かける。この台はコインを入れると手球を含む16個のボールが貸し出されるようになっているのだが、手球以外は一度ポケットされると機械の中に戻ってしまい次にコインを入れるまで出てこない。この仕組みのためにナインボールなどではファウル(反則)の処理ができず、嫌でもエイトボールをやらされるハメになる。
なお、かつての日本がそうであったように、一部の国ではまだビリヤードが賭博の対象と考えられており、表向きはビリヤード場でも実は賭場と変わらない場合もあるようなので、海外でビリヤードをプレイする際には店選びに注意が必要である。
[編集] 日本での競技形式の概要
日本における競技は、主に2通りの形式で行われている。
- 公式戦
- 公式戦は、ビリヤードに関連する団体が主催して行う試合である。想定される参加者の所属する地域に関しては、全国レベルのものから、参加者の所属する地域をある程度限定するもの、地域対抗の形式のものなど各種ある。参加者に対してハンディキャップは設定されないことが多い。
- ハウストーナメント
- 各地のビリヤード場が主催して行う試合である。想定される参加者の所属する地域は、ほとんどがその店舗の近隣を想定されているが、そのように規定されている場合は少ない。公式戦と異なり、異なる技量の参加者同士が拮抗したゲームが行えるよう、参加者の技量に対してハンディキャップを設定する、あるいは参加者の技量を参加条件として限定している場合が多い。
参加者の技量は、プールの場合は「クラス(級とも言われる)」、キャロ厶の場合は「段」という基準を設定して示している。クラス分けは、ビギナー、C、B、A、SA、プロなどの等級に分けられている場合が多いが、各等級の明確な定義は定められていない。そのため、ほとんどの場合クラスは自己申告(SA、プロを除く)に基づいて運営されており、参加者の実際の技量を絶対的に示す基準になりえておらず、「異なる技量の参加者が拮抗したゲームを行う」という本来の機能を果たしていないと指摘する意見もある。
[編集] キューの主なメーカー
- プロダクションキュー
- MEZZ(メッズ)
- ADAM(アダム)
- Lucasi(ルカシー)
- Zesty(ゼスティー)
- Schon(ショーン)
- PREDATOR(プレデター)
- Cutec(キューテック)
- McDermott(マクダモット)
- Viking(バイキング)
- Mali(マリー)
- Meucci(メウチ)
- カスタムキュー
- TAD(タッド)
- Gina(ジナ)
- Black Boar(ブラックボア)
- Samsara(サムサラ)
- Joss(ジョス)
- Joss West(ジョス ウエスト)
- Cognoscenti(コグノセンティ)
- Dayton(デイトン)
- AE
- Dale Petty(デールペリー)
- Coker(コーカー)
- McWorte(マックウォーター)
- Schick(シック)
- Capone(カポン)
- Bender(ベンダー)
- 吉村
- Dan Dishaw(ダンディショウ)
- AC
- Mike Cochran
- Barnhart
- Guffey
- McDaniel
- Espiritu
- Jacoby
- Olivier
- Lambros
- pechauer
- Nitti
- Mottey
- Schick
- Schrager
- rc3
- Prather
- Richard Black
- Ted Harris
- Padgett
- Tomas Wayne
- Manzino
- Showman
- Tim Scruggs
- Barenbrugge
- pfd
- Oasis
- Judd
- Prewitt
- Kikel
- Szamboti
- Balabushka
- Robinson(ロビンソン)
[編集] ビリヤードを題材とした作品
- 映画
- ハスラー(The Huster)(1961年・アメリカ)
- ジェームズ・コバーンの新ハスラー(The Baltimore Bullet)(1980年・アメリカ)
- 道頓堀川(1982年・日本)
- ハスラーザ・ファイナル(Io chiara e Lo scuro)(1983年・イタリア)
- ナンバーワン(Number One)(1984年・オーストラリア)
- ビリー・ザ・ハスラー(Billy The kid And The Green Baize Vampire)(1985年・イギリス)
- ハスラー2(The Clolor Of Money)(1986年・アメリカ)
- ハードショット(Hard Knuckle)(1987年・イギリス)
- キス・ショット(天使のキス・ショット)(Kiss Shot)(1989年・アメリカ)
- スティックメン(STICKMEN)(2000年・ニュージーランド)
- ナイン(2000年・日本)
- 漫画
- ブレイクショット(前川たけし著)
- Hot Shot(大野純二著)
- POOL SHOOTER(鈴木信也著)
- キング・オブ・ザ・ハスラー(谷津太郎著)
- ハスラー・ザ・キッド(小笠原十余志作/黒咲一人画)
- ザ・ハスラー(一の瀬正著)
- 撞球水滸伝(中野喜雄著)
- 獣たちのように(かわぐちかいじ著)
- [w]ウォン(たがみよしひさ著)
- GAME-ゲーム-(小塚敦子著)
- ハスラー・レプリカン(よこみぞ邦彦著)
- ちょっとナインボール(羽田周平作/堀田あきお画)
- 突いてくるかい(笹沼傑嗣著)
- キス・ショット(おおぬまひろし著)
- POOLPLAYER ISABU(山下東七郎著)
- J.boy(能條純一著)
- ナインパズル(酒井まゆ著)
- 小説
- キス・ショット!(春原いずみ著)
[編集] 外部リンク