ヒュドラ
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ヒュドラ(ヒュドラー、‘Ύδρα, Hydra)は、ギリシア神話に登場する怪物。ヒュドラとは古典ギリシア語で水蛇を意味するが、通常はレルネに住むヘラクレスに退治されたヒュドラのことを指す。
テュポンとエキドナの子で、ヘラがヘラクレスと戦わせるために育てたとされる。9つ(5から100までの異説がある)の首を持ち、首を切り落としても、すぐにそこから新しい首が生えてくる。
なお、トレミーの48星座のうちの1つであるうみへび座(海蛇座、Hydra)の「うみへび」とはヒドラのことである。
[編集] 神話
ヒュドラは9つの頭を持つ危険な怪物であったが、12の功業のうちの1つとしてヘラクレスに倒された。
ヘラクレスはヒュドラの吐く毒気にやられないように、口と鼻を布で覆いながらヒュドラの住むアルゴス近くのレルネの沼地へとやって来た。そしてヒュドラの巣に火矢を打ち込み、ヒュドラに立ち向かった。しかし、ヒュドラの首を切り落としても、9つの首のうち1つが不死であったため全ての首が元に戻ってしまうことにヘラクレスはやがて気が付いた。
ヘラクレスは甥のイオラオスに助けを求めた。イオラオスは、首の切り口をたいまつの炎で焼き焦がす方法を思いついた。ヘラクレスが首を切り落とし、イオラオスが次々にその切り口を焼いた。ヒュドラを殺すには、真ん中にある1つの不死身の首を何とかしなければならなかったが、ヘラクレスはその首を巨大な岩の下敷きにして倒した。そしてヒュドラはうみへび座となった。一説によると、ヘラクレスの死を願うヘラはこの戦いで、彼の足を切らせるために蟹(カルキノス)を送り込んだという。しかし、ヘラクレスはヒュドラとの戦いの中にあったため、全く気付かずにこれを踏み潰してしまっていた。そしてこの蟹がかに座となった。
しかし、エウリュステウスはヘラクレスの甥が松明を持っているのを見て、この苦行は一人で行われなかったため達成されなかったと言い渡したため、完了した10の功業の中には入らなかった。
ヘラクレスは、この戦いで得たヒュドラの猛毒の血を自分の矢に塗ってその後の戦いに用いるようになった。
[編集] フィクションで描かれているヒドラ
ギリシア神話のアルゴナウタイを描いた映画『アルゴ探検隊の大冒険』(1963年)に、ヒドラが登場している。7つの首を巧みに動かせながら自在に動き回るヒドラは、レイ・ハリーハウゼンのストップモーション・アニメーション技術によって創造された。
また、ヒドラの持つ再生能力が怪物性を想起させるためか、ヒドラと名付けられた様々なモンスターが古今東西の物語の中で登場する。
- 『風の谷のナウシカ(漫画版)』に登場する不死の生物、及びそこに施されている不死の術の名前。
- 『ウルトラマン』第20話「恐怖のルート87」に登場する怪獣の名前。
- クトゥルー神話の一編に『ハイドラ』(ヘンリー・カットナー)がある。
- プレイステーション2専用ソフト『キングダムハーツ2』オリンポスコロシアムに登場。