かに座
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かに座 (Cancer) | |
略符 | Cnc |
属格 | Cancri |
英語での意味 | the Crab |
赤経 | 9 h |
赤緯 | 20° |
観測可能地域の緯度 | 90° - -60° |
よく見える時期 | 3月 |
広さの順位 - 総面積 |
31位 506 平方度 |
明るい星の数 視等級 < 3 |
0 |
最も明るい星 - 視等級 |
Al Tarf (β Cnc) 3,5 |
流星群 |
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隣接する星座 |
かに座(蟹座、Cancer)は黄道十二星座のひとつ。トレミーの48星座のうちの1つ。
[編集] 主な天体
ほぼ星座中央にあるM44プレセペ散開星団が何より有名である。アラビア名はアンナトラ(An natra)。実視等級3.7等。M44はε Cncとして扱われる。
蟹座は最も明るいβ星でも3.8等、他は4等星以下と全体に暗い星からなる星座である。
α Cnc(4.2等星、F0型)とι Cnc(4.3等星、G6型)を合わせてアクベンス(Acubens)と呼ぶ。アラビア語で蟹の爪のこと。なお、ι Cncは4.2等と6.6等の星から成る双眼鏡で分離できる程度に離れた二重星となっている。
β Cnc(3.8等星、K4型)をアルタルフ(Al-tarf)と呼ぶ。アラビア語で終りと言う意味を持つ。蟹の脚の先端にある蟹座の中で最も明るい星。
γ Cnc(4.7等星、A0型)のアセルス・ボレアリス(Asellus Boreallis)とδ Cnc(4.2等星、K0型)のアセルス・アウストラリス(Asellus Australis)の二星はかつてAselli(驢馬)という星座とされていたことがあり、その北側あるいは南側の星と言う意味でこの名がついている。
ζ Cnc(4.7等星)のテグミン(Tegmine)はラテン語で'覆い'の意味を持つ。5.63等、6.02等、6.2等の三星からなる連星系で59年の周期を持つ。
γ Cnc、δ Cnc、θ Cnc、ηCncの作る四辺形と中心のM44の領域は、中国の星座では二十八宿の鬼宿に当たり、積尸気(ししきあるいはせきしき)と呼ばれる。屍体の山から立ち上る精霊(魄)が集まる姿とされる。
よく間違えられるが、かに星雲は形がカニに似ていることから命名されただけで、かに座ではなくおうし座にある。
[編集] 由来
ゼウスの子勇者ヘラクレス(ヘルクレス座)は、誤って自分の子を殺した罪を償うため、12の冒険を行うことになった。そのうちの1つがヒュドラ(うみへび座)の退治だった。 ゼウスの妻は女神ヘラだったが、ヘラクレスの母親は別人だった。このため、ヘラはヘラクレスを快く思っていなかった。ヘラは、この冒険のときカニを使いに出し、はさみでヘラクレスの脚を切ろうとした。しかし、ヒュドラとの格闘中のヘラクレスは、全く気付かずにカニを踏み潰して殺した。カニは天に昇りかに座となった。同じくヒュドラもうみへび座になった。