バス (声域)
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バス(Bass、英語ではベイスと発音)は、声域としては低い音域の声部をさす。合奏においては低声部はしばしば対位法あるいは対声部を担い、和声法では和音進行を形作ったり並行したりする。あるいは打楽器を用いてリズムを強調することもある。
また、低い音域を持つ楽器あるいは歌手をさす。 合唱・重唱においては和音の根音を担当するため他のパートがピッチをとる基準となる。音色は、信頼感のある重厚な発声が特徴。
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[編集] 声楽
低い声域を持つ男性歌手、および混声合唱や男声合唱においてのもっとも低い声部をバスという。典型的なバス歌手は中央「ハ」の1オクターブと6度下の「ホ」(ヘ音記号の下線第1線)から、中央「ハ」の上の「ホ」(ト音記号の第1線)までの範囲の声を持つ。合唱においては、中央「ハ」の2オクターブ下の「ハ」やそれより下の音が求められることがある(特にロシアの合唱曲に見られる)。
クラシック音楽、特にオペラではしばしばバス歌手を何種類かに区別する。「バッソ・プロフォンド」は特に深い声をもつ歌手で、低音譜の下のロ音までの低音を持つことがある。それと対照的に「バッソ・カンタンテ」はより軽くもっと叙情的な声質で、やや高い声域を持つ歌手をいう。「バッソ・ブッフォ」は喜劇的な役割を得意とするバス歌手に対して用いる。
バスよりやや高い声を持つ男性歌手はバリトンという。時には「バスバリトン」という用語が声域と声質がバスとバリトンのおよそ中間にある歌手を示すために用いられる。 (どちらかというと、低めのバリトンに対して使い、高めのバスをバスバリトンとは言わない、というほうが正確かもしれない)
[編集] 著名なバス歌手の例
- あ行
- テオ・アダム
- サイモン・エステス
- 大橋国一
- 岡村喬生
- か行
- ニコライ・ギャウロフ
- ニコラ・ギュゼレフ
- ヨゼフ・グラインドル
- フランツ・クラス
- ボリス・クリストフ
- ゾルタン・ケレメン
- フェルナンド・コレナ
- カルロ・コロンバーラ
- さ行
- ニコラ・ザッカリア
- マッティ・サルミネン
- チェーザレ・シエピ
- フョードル・シャリアピン
- ロベルト・スカンディウッツィ
- ハンス・ゾーティン
- ロジェ・ソワイエ
- た行
- エンツォ・ダーラ
- マルッティ・タルヴェラ
- ジョルジョ・トッツィ
- 高橋啓三
- 高橋修一
- 高橋大海
- 妻屋秀和
- 戸山俊樹
- な行
- エフゲニー・ネステレンコ
- は行
- ま行
- ニコラ・モスコーナ
- ジェームス・モリス
- クルト・モル
- パオロ・モンタルソロ
- や行
- 矢田部勁吉
- ら行
- ルッジェーロ・ライモンディ
- カール・リッダーブッシュ
- クルト・リドル
- サミュエル・レイミー
- ニコラ・ロッシ=レメーニ
- ロバート・ロイド
- ジョージ・ロンドン
- わ行
- パオロ・ワシントン
[編集] 他の声域
[編集] 楽器
- ダブルベース(コントラバス)の略称。通常クラシック音楽やジャズでバスといったらこれである。時にはバスホルンと区別するため「弦バス」と呼ばれる。
- バスドラム、ベースギターの略称。ロックンロールで用いられることが多い。ベース (弦楽器)も参照。
- バスホルンの略称。ブラスバンドにおいて弦バスの役割を担うトゥーバ(チューバ)やスーザフォン(スーザホン)のことである。
- バスクラリネットやバストロンボーン、バスサキソフォーンの略称(やや一般的でない用法)。