タリーズコーヒー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
タリーズコーヒー(TULLY'S COFFEE)は1992年にアメリカ合衆国ワシントン州シアトルで不動産業を営むトム・タリー・オキーフ(Tom Tully O'Keefe)が開業した、スペシャルティコーヒーのチェーン店である。アメリカ西海岸を中心に約100店舗のコーヒーショップを運営し、スターバックスコーヒーに続いて全米2位の売り上げを誇る。日本では別法人による店舗展開を行っている。
同じシアトル系コーヒーショップということで、スターバックスとはライバル関係であり、以前はシアトルの本社施設も向かい合わせに存在した(現在はタリーズの本社が移転した)。同様にライバル関係であったシアトルズベストコーヒーがスターバックス傘下に入ったことで、ますます競争は激化している。
目次 |
[編集] 日本におけるタリーズコーヒー
1996年に当時三和銀行員であった松田公太が、渡米中に飲んだタリーズコーヒーの味に感動し、創業者のトム・タリー・オキーフに直談判して日本での店舗展開を実現。知人から譲り受けた株式会社ロコ・トレーディングで、1997年8月7日に銀座一号店を開店することに始まる(この開店日にちなんで、8月7日を「タリーズの日」として様々なアニバーサリー・キャンペーンを行っている)。当時破竹の勢いで店舗展開を行っていたスターバックスの陰に隠れ、一時は売上不振により倒産寸前に追い込まれるが、後に地道な営業努力により好成績を上げ、1998年5月12日に正式な日本法人「タリーズコーヒージャパン株式会社」へと業務を移管して、積極的な店舗展開に乗り出した。
東京都心部のオフィス街を中心に直営店を出店していたが、2001年よりフランチャイズ方式による全国展開を開始する。郊外型のショッピングモールや大型の複合型商業施設、オフィスビル等を中心にした積極的な展開が実り、2006年4月3日の麻布十番店をもって300店舗を達成。現在301店舗を誇っている。
出店都道府県数は2006年9月末現在41都道府県に及び、スターバックス未出店の青森県・山形県・島根県・徳島県にも出店している。未出店県は滋賀県・和歌山県・鳥取県・愛媛県・高知県・大分県(太字の県はスターバックスも未出店)。
2002年8月1日に、「フードエックス・グローブ株式会社」に社名を変更、タリーズコーヒーの営業を株式分割で新設子会社(こちらが現在のタリーズコーヒージャパン株式会社)に移管し、持ち株会社体制となった。なお2005年8月19日に米TULLY'S COFFEE CORPORATIONからタリーズコーヒーの日本における商標権、営業権などの各種ライセンス権利を譲渡されて独立を果たしており、協力体制にはあるものの、完全なる別会社となった。
2006年11月1日をもって、大手飲料メーカー伊藤園が、タリーズコーヒーの株式の過半数(51.0%)を取得し、タリーズコーヒーは伊藤園の子会社となる見込みである。今後は、伊藤園の弱点である缶コーヒー事業などで、タリーズのノウハウを生かすなど、両社の協働によるブランド力向上を目指すこととなる。
ポッドキャスト番組「TULLY’S TIME 南の島のcafeへようこそ」を配信中。
[編集] タリーズコーヒーの特徴
ライバルであるスターバックスの影響は否めないが、特筆すべき点として、使用するコーヒー豆は高品質のアラビカ種のみで一杯一杯手動マシンを使っているという「スペシャルティ」にこだわっていること、アイスクリームや食事メニュー・期間限定メニューの豊富であること、そして喫煙可能な喫煙席を持つ店舗の存在が挙げられる。
喫煙席は「喫茶店で喫煙する日本的な文化」を尊重した形で、かつコーヒーの香りや居心地に影響を与えないように「完全分煙」されており、喫煙者用に仕切られた小部屋が用意されるなど徹底している。
また、店舗展開にも特徴があり、業界に先駆けて「病院内店舗」に取り組んでいる。2004年4月に「タリーズコーヒー 好仁会 東大病院店」がオープンし、現在も積極的に出店している。また、自動車ショールーム(日産自動車銀座本社ショールーム、田町グランパークショールーム、マツダ本社ショールーム他)や旅行会社(東急観光カルフール狭山店「THE TRAVEL+CAFE」他)、大手情報システム会社(IBM箱崎)、証券会社(アイザワ証券本厚木店「Blue Trade Cafe」他)、語学学校(ベルリッツ渋谷校他)等の異業種との共同出店(「シナジー店舗」と呼ばれる)や、企業内など特別な環境にも積極的に出店している。
[編集] 関連商品
コンビニエンスストア専用チルドコーヒー飲料商品として「タリーズ・フルシティ・ロースト」シリーズを展開。季節毎に限定フレーバーを発売している。
[編集] 関連文献
- 松田公太 『すべては一杯のコーヒーから』 新潮社、2002年。ISBN 410454601