クリミア自治共和国
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- クリミア自治共和国
- Автономна Республіка Крим
Автономная Республика Крым
Qırım Muhtar Cumhuriyeti -
(国旗) - 国の標語 : Процветание в единстве
(ロシア語: 統一による繁栄) -
公用語 ウクライナ語、ロシア語1
クリミア・タタール語2首都 シンフェロポリ 首相 アナトリー・ブルドゥコフ 最高会議議長 ボリス・デイチ 面積 26,200 m² 人口(2005年) 1,994,300人 通貨 グリブナ (UAH) 時間帯 UTC +2 ccTLD .crimea.ua 国際電話番号 +380-65 - 註1 : 事実上の公用語。
註2 : 公用語に準じて用いられる。
クリミア自治共和国(クリミアじちきょうわこく)は、東ヨーロッパのクリミア半島に位置するウクライナ領内の自治共和国である。首都はシンフェロポリで、人口は約255万人、面積は26,140平方キロメートル。
ウクライナの国内でも特にロシア人及びロシア語を母語とするウクライナ人が多数を占める地域で、ロシア人は現在では全人口のおよそ5割を占める。このためソビエト連邦解体直後に独立が図られ、独立問題が終息した後も自治共和国になっている。
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[編集] 国名
クリミア自治共和国では、ウクライナ共和国の公用語であるウクライナ語と、自治共和国の住民の大多数が母語とするロシア語、そして先住民であるクリミア・タタール人の言葉であるクリミア・タタール語が広く用いられている。
自治共和国の国名は、ウクライナ語で Автономна Республіка Крим (Avtonomna Respublika Krym)、ロシア語で Автономная Республика Крым (Avtomnaia Respublika Krym)、クリミア・タタール語でQırım Muhtar Cumhuriyeti といい、いずれも同じ単語をそれぞれの言語で表現しているのみで、まったく同義である。
[編集] 歴史
クリミアの地にはもともとテュルク系ムスリム(イスラム教徒)の国家クリミア・ハン国があったが、ロシア帝国はハン国を18世紀末に併合して以来、国策としてスラヴ人(ロシア人とウクライナ人)キリスト教徒のクリミア移住を進めてきた。この政策の結果、クリミアはロシア帝国の末期にはすでにウクライナ周辺の中でも特にロシア人の占める割合が多い地域であった。
ソビエト連邦の発足後、ここにはクリミア自治ソビエト社会主義共和国が置かれたこともあったが、すでにクリミアの中では人口的に少数派になっていたクリミア・タタール人には十分な自治権は与えられず、第二次世界大戦中のクリミア・タタール人の中央アジア追放、自治共和国の廃止に終わっている。
自治共和国の廃止によりクリミアはロシア・ソビエト連邦社会主義共和国のクリミア州となったが、1954年、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国へと移管された。この移管は、行われた時点ではソ連の解体は想定されていなかったため問題とならなかったが、40年後のソ連崩壊により、クリミアのロシア人たちは再びロシアへの帰属を求めるようになった。
1992年5月5日、ウクライナ共和国クリミア州議会はウクライナからの独立を決議し、クリミア共和国を宣言した。ウクライナ議会は5月15日に独立無効を決議したが、黒海艦隊の基地として戦略的に重要なクリミアへの関心を持つロシアは独立の動きを支持し、5月21日にクリミアのウクライナ移管を定めた1954年の決定は違法とする議会決議を行った。しかし、ロシアで独立を宣言していたチェチェン共和国に対し、1994年にロシアが武力鎮圧を開始(チェチェン紛争)すると、一方で自国からのチェチェンの独立を禁圧しながらウクライナからのクリミアの独立を支持するのはダブルスタンダードであるとの国際的批判が高まり、ロシアはクリミア独立運動への支援を取りやめた。
その結果、クリミア内での独立運動も後ろ盾を失って急速に沈静化し、またウクライナ側でもロシアに敵対的な民族主義政党の活動が和らいだため、クリミア議会もウクライナ共和国内の自治共和国であることを認めるようになり、1998年にクリミア自治共和国憲法が制定された。
このように、ロシア人とウクライナ人の対立は終息に向かったが、クリミア自治共和国ではクリミア・タタール人の故郷帰還と権利回復に関する問題が残されている。ペレストロイカとソ連崩壊によってクリミアへの帰還を許されたクリミア・タタール人は徐々にクリミア自治共和国に還流しており、1990年代には全人口の1割から2割に達した。彼らの先祖の土地返還の訴えや、イスラムへの回帰は地元のロシア人らとの間に軋轢を生み出しており、第二のチェチェン化を懸念する声すらもある。
[編集] 政治
クリミア自治共和国は、「クリミア自治共和国最高会議」と呼ばれる議会(議員数100名)を最高機関とする。かつて自治共和国大統領が置かれていたが、短期間で廃止された。 行政は閣僚会議がつかさどっており、最高会議によって任命される首相がこれを代表する。
[編集] 経済
クリミア自治共和国の主要な産業は、農業と観光業である。クリミア半島南端の黒海沿岸はロシア帝国以来の保養地として、国際的な観光地になっている。
一方、工業は主に自治共和国の北部に集中している。
[編集] 外部リンク
- Crimea portal(ウクライナ語、ロシア語、英語、フランス語)
- クリミア議会公式サイト(ウクライナ語のみ)
- 消滅した国々-クリミア共和国(日本語)
カテゴリ: ウクライナの地方行政区分 | クリミア