クラーケン
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クラーケン (Kraken) は、北欧神話に登場する海の怪物。古代ノルウェー語で北極を意味する「クラーク」が語源。
姿、大きさは諸説あり、巨大なタコやイカといった多足類として描かれていることも多いが、他には大海蛇、エビやザリガニといった甲殻類、クラゲやヒトデ、ドラゴンの一種などと言われる。いずれの姿をとるにしろ、大きさは巨大であるとされ、島と間違えて上陸するとそのまま海に沈んでしまうなどのエピソードが数多くある(日本にも同様の伝承があり、アカエイの島などと呼ばれる)。しかし、アイルランドの聖ブレンダンがクラーケンの背に島と間違えて上陸し、祝福のミサをあげた際には、ミサが終るまでじっとしていたという話もある。これはクジラだとされる。体長は、2.5キロにも及ぶという。
ノルウェーの司教ポントピダンが、このクラーケンについて記したところによると、クラーケンが吐いた墨であたりの海が真っ黒になったというから、やはりイカもしくはタコの姿をとることが多いのだろう。巨大なため、クラーケンが実在するなら他の生物から身を守る必要性はあまり無いといえる。
どちらにせよ、クラーケンの存在は海を航行する船舶にとって大きな脅威であるとされた。凪で船が進まなくなり、海面が泡立てば、それがクラーケンが現れる前兆となる。そして姿を現したが最後、クラーケンから逃げることはできない。マストの上によじ登ろうが、デッキの底に隠れようとも、クラーケンは船をバラバラにしてまで一人残らず喰らってしまうのだという。
船出したまま戻ってこなかった船の多くが、このクラーケンの餌食にされてしまったものとされた。マリー・セレスト号という船は、誰も乗っていない状態で漂っているところを発見されたが、これは乗っていた人間が全員クラーケンに食べられてしまったからだという説がある。現在の船はエンジンを積んでおり、風に関係なく航行できるためクラーケンに襲われることはないとされる(実在すればの話だが)。