キャンピングカー
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キャンピングカーは、一般的には、寝泊りできる設備を備えた車の日本での呼称である。Camping-carと書けばフランスでは自走式キャンピングカーをさす用語となる。
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[編集] 概要
広義では米国のRecreational vehicle(RV)、狭義では同様に米国での大型自走式「Motorhome(モーターホーム)」と同義。また欧州ではドイツ語で牽引タイプをWohnwagenやキャラバン、自走式をWohnmobilと呼んでいるが、これらを日本ではすべてキャンピングカーと呼ぶ。日本の道路交通法においては、国土交通省の特種自動車の使用目的3-4の「キャンプ又は宣伝活動を行うための特種な設備を有する自動車」(ここではキャンピング車と定義される)に該当すれば特種用途自動車に区分され、いわゆる8ナンバー登録が可能である。しかしながら、道路交通法でキャンピングカーが定義されているわけではない。特殊用途自動車であろうがなかろうが、家を離れてしばらくの間生活できる装備を備えていれば、それはキャンピングカーである。
従来、日本では改造車の意味合いでとられることの多かったキャンピングカーだが、団塊の世代の人々が定年退職して余暇を得ることでキャンピングカーへの関心が向いていることから、日本でも徐々にキャンピングカーの需要が増加し、架装業者による完成車輌の販売も増加傾向にある。
一方、こういった傾向を後押しする点として重要な点が、リコールである。米国では、キャンピングカーに備えられた冷蔵庫の発火も、自動車メーカーとしてのリコール対象となったりすることも珍しくない。日本ではその販売数量も少ないこともあり、キャンピングカーとして販売される車に国土交通省のリコールが及ばない。これは一般の自動車同様、完成車輌として購買するユーザーにとっては見えない部分であり、今後、業界が伸びるためには考慮しなければならない点である。
以下架装形態での区分の一例。
- フルコンバージョン。専用のシャーシに架装したもの。フルコン。米国ではクラスA相当。ドイツではVollintegriertes Wohnmobil相当。
- キャブコンバージョン。キャブ付きのシャーシに架装したもの。一般的にはトラックを改造したものが多い。キャブコン。米国のクラスC相当。ドイツでは架装によりバンクのあるAlkovenやバンクのないTeilintegriertes Wohnmobilに相当。
- バンコンバージョン。ワンボックス車などに架装したもの。乗車定員が10名で普通免許で運転できるものが多い。一般的にバンコンと呼ばれる。米国ではクラスB相当。ドイツではKastenwagen。
- バスコンバージョン。マイクロバスなどのバスに架装したもの。バスコン。ドイツではWohnbusse。
- トラベルトレーラー。けん引タイプ。欧州、米国では従来このタイプが一般的であり、日本でも欧州や米国からの輸入が多い。欧州ではWohnwagenもしくはキャラバンCaravanと呼ばれる。日本ではキャンピングトレーラーと言う呼び方が一般的である。
- トラックキャンパー。ピックアップトラックの荷台に載せるタイプのもの。着脱可能。
- フィフスホイールトレーラー。大型の牽引タイプ。ピックアップトラックの荷台に(貨物用トレーラーで使用されるタイプの)大型ヒッチをマウントして牽引する。ピックアップトラックが日常用途で乗用車と並ぶ程の米国では主流である。日本でも近年、愛好家に人気がではじめている。ただし米国では平均サイズとして用いられるピックアップトラックも日本での使用ではかなり大型サイズとなる。
諸外国のタイプとはサイズなど条件が異なり同じ比較にはならないが、ほぼ近いということで理解されたし。
キャンピングカーは法律上の8ナンバー特殊用途自動車である必要はまったくない。よって必須の設備かどうかは使用者の判断である。以下は、法律上の特殊用途自動車に該当するためのものとして記してある。(以前、ここに記載のあった「規制強化」の項目については実質的なキャンピングカーの要件ではなく法律上の特種用途自動車適合性の記述であったので特種用途自動車の項目に移動した。)また、もともと、当項目が、8ナンバー取得要件のために書き起こされたと思われ、以下の項目も、道交法上の8ナンバー取得要件と実用上の快適性とが混在して記してあるため、誤解を招きやすい。今後の整理が必要である。
[編集] 必須設備
寝泊まりが出来ることが要件なので、寝台が必要である。乗車定員の3分の1以上の人数分の平坦な寝台の面積が必要である。走行中に寝台を使用してはいけないので、寝台自動車として利用することはできない。可動式でも良いので、通常は座席の状態となっていることが多い。
調理設備が必要である。最低でも「湯が沸かせること」が必要なので、熱源(電気かガス)と水道設備(清水(=ホワイトタンク)と汚水(=グレータンク)の貯蔵設備と、その供給設備)、流し台や、調理スペースと、調理をする人間がそこに立つことのできる空間が必要である。
以上の状態が揃っていないと、違法な状態となる。寝台が使えない状態なり、湯沸しが出来ない状態となれば程度にもよるが、摘発される可能性もある。事故を起こせば、保険金の支払に問題が出ることも考えられる。
[編集] その他の設備
必須ではないがついていることのある設備は以下のようなものである。
- トイレ
- 個室がある場合とない場合があるが、貯めておく容器のついたポータブルトイレが設置されることがある。臭気の問題、処理の容易さからあくまで簡易なものが多い。
- 冷暖房設備
- 冷蔵庫
- シャワー
- 食事のできるテーブル
- ベッドを利用して、ダイニングとして利用することが多いが、専用の食事用テーブルを持つものもある。
- テレビ、ビデオ
- 充電システム
- 補助バッテリーを備えているものが多く、自動車走行中に充電したり、外部からの充電を制御するシステムがついていることが多い。
- サイドオーニング(外部の日よけテント)
- サイクルラック(後部に自転車を積む設備)