ガメラ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ガメラは、大映(現:角川ヘラルド映画)が1965年に公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』に登場する架空の怪獣の名称。『大怪獣ガメラ』以降も続編、及びガメラの登場する映画作品が継続的に製作されており、これら全作品を総称してガメラシリーズと呼ぶ。東宝のゴジラ(ゴジラシリーズ)と共に日本の怪獣映画を代表する作品群であろう。本項ではガメラシリーズ、及びキャラクターとしてのガメラを解説する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 概要
ガメラシリーズは大きく分けて大映時代のガメラ・徳間グループに入っていた時代の大映が製作したガメラ(俗に言う『平成三部作』)・角川ヘラルド映画時代のガメラの三種に区分する事が出来る。
大映時代の『ガメラ』は『ゴジラ』シリーズの大人気を見た当時の映画会社がこぞって誕生させた怪獣映画作品群の流れを受けて誕生した経緯がある。そのため一般的な知名度はゴジラの方が現在でも高いが、ガメラは他の怪獣作品と違い、カメ特有のユーモラスなデザインや空を飛ぶことが出来るなど、ゴジラには無い特徴も多くあり、更にはシリーズ当初から持っていた『子供の味方』という性格の親しみやすさが当時の子供に好評を博し、シリーズ全体がひとまず終息した後も(2006年現在でも)根強い人気を持っている。
平成時代になり、徳間グループ入りした大映は当時の徳間グループのメディアミックス戦略の一環として『ゴジラ』に対抗しうる特撮映画を作る事を検討。その結果、前述した通りコアなファンを持っていたガメラに着目。新たなる『ガメラ』の製作を決定した。
この結果作られた新『ガメラ』は往年のファンだけでなく新たなファンを獲得し、引き続き製作された2作品と合わせて後に“平成三部作”と呼ばれ、当初の構想通り『ゴジラ』に比肩する怪獣映画としての地位を不動のものとした。また平成三部作によって、既にヒットメーカーとして知られていた金子修介(本編)だけでなく特技を担当した樋口真嗣の名も一般に知らしめた。
平成三部作完結後、しばらく休眠期に入ったガメラシリーズであったが、ライバルというべき『ゴジラシリーズ』が2004年をもって一応シリーズの完結を迎えた事で、テレビ特撮番組からのスピンアウトでは無い純粋な“特撮(怪獣)映画”の新作が見られなくなる事を危惧したファンから、再びガメラシリーズの復活を求める声が高まった。
大映自体、2000年代前半に角川グループ入りし、社名も“角川映画”(後に“角川ヘラルド映画”に再改称)となった事もあり、徳間時代とは違った形でのガメラ復活が検討され、その結果2006年には新作ガメラ映画『小さき勇者たち~ガメラ~』が製作の運びとなった。ただし、“角川ガメラ”がシリーズとして継続していくかどうかは未定であり、今後の成り行きが注目されるところである。 映画以外のガメラとしては過去にテレビゲーム化されたり、パチスロメーカー「ロデオ」によって『ガメラ』『オオガメラ』『ガメラハイグレードビジョン』と、合計3台のパチスロ台が生み出されている(どれもファンには人気である)。
[編集] キャラクターとしてのガメラ
巨大な亀の姿をした怪獣で、火炎(“平成三部作”ではプラズマ火球)を噴射することができる。
本物の亀のように手足を甲羅の中に引っ込めることができる。またその箇所からも火炎を噴射でき、その推進力を利用して大気圏内はもちろん宇宙空間でも飛行することができる。最高飛行速度はマッハ3.5以上。
武器は火炎(プラズマ火球)、怪力のみであったが、平成三部作ではエルボークロー(肘の骨が変化して爪のようになったもの)が追加された。また、『レギオン襲来』では究極超烈火弾・ウルティメイトプラズマ(全地球上から集めたエネルギーを集束、腹部のプラズマ融合炉から直接巨大なプラズマ火球を発射する)、『邪神<イリス>覚醒』では爆熱拳・バニシングソード(敵によって磔にされていた腕を自ら粉砕。その傷口に敵、イリスの出した擬似プラズマ火球を受けて炎の腕を形成し、敵怪獣にぶち込む荒技。別名:バニシング・フィスト)という必殺技を見せた。
ガメラに限らず、ガメラシリーズの怪獣はゴジラシリーズやウルトラシリーズの怪獣に比べて体重が少ないのも大きな特徴である。
[編集] ガメラシリーズ全作品リスト
[編集] 映画作品
[編集] 昭和シリーズ
- 1965年 第一作『大怪獣ガメラ』(監督:湯浅憲明)
- 1966年 第二作『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(監督:田中重雄、特技監督:湯浅憲明)
- 1967年 第三作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(監督:湯浅憲明)
- 1968年 第四作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』(監督:湯浅憲明)
- 1969年 第五作『ガメラ対大悪獣ギロン』(監督:湯浅憲明)
- 1970年 第六作『ガメラ対大魔獣ジャイガー』(監督:湯浅憲明)
- 1971年 第七作『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(監督:湯浅憲明)
- 1980年 第八作『宇宙怪獣ガメラ』(監督:湯浅憲明)
[編集] 平成シリーズ
- 1995年 第九作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(監督:金子修介、特技監督:樋口真嗣、脚本:伊藤和典)
- 1996年 第十作『ガメラ2 レギオン襲来』(監督:金子修介、特技監督:樋口真嗣、脚本:伊藤和典)
- 1999年 第十一作『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(監督:金子修介、特技監督:樋口真嗣、脚本:伊藤和典)
- 2006年 第十二作『小さき勇者たち~ガメラ~』(監督:田﨑竜太、脚本:龍居由佳里)
※なお、昭和シリーズを昭和ガメラと呼び、平成シリーズを平成ガメラと呼ぶ。9-11は東宝配給。12は松竹配給。
[編集] 『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』関連の番外
- 2000年 『GAMERA1999』(総監督:庵野秀明、監督:摩砂雪)
- 『新世紀エヴァンゲリオン』等で有名な庵野監督によるメイキング。内容の中立性について物議を醸した。
- 『ガメラ4 真実』
[編集] 漫画作品
- 1999年 『ガメラ2 レギオン襲来 COMIC VERSION』
- 2003年 『大怪獣激闘 ガメラ対バルゴン COMIC VERSION』(著:近藤和久)
- 2006年 『ガメラ2006 HARDLINK』(著:Ark Performance)
[編集] ゲーム作品
- 1995年 『ガメラ ギャオス撃滅作戦』(メーカー:サミー 定価:10479円(税込み))
- ハードはスーパーファミコン。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいているが、昭和ガメラシリーズへのオマージュを含めたステージがある。登場する怪獣はガメラとギャオスのみ。プレイヤーは自衛隊の指揮官となり、ガメラ及びギャオスへの掃討作戦が成功するように指揮する(裏技を使えば怪獣も操作可能)。
- 1997年 『ガメラ2000』(メーカー:デジタルフロンティア 定価:5800円(税別))
- ハードはプレイステーション。タイトルの「2000」はゲームの舞台となる時代が西暦2000年である事から。ストーリー・設定は平成ガメラシリーズに基づいていて、「世界各地で大発生したギャオスとの戦い」という映画三作目を先どったような内容である(ただし実際の映画では2000年を待たずしてイリス覚醒などが起こっており、だいぶズレは生じている)。ゲームは画面の奥を前方と見なす3Dシューティングで、プレイヤーが直接コントロールするのはガメラではなく戦闘機。ガメラはプレイヤー機の援護役である。当時、同じ3Dシューティングの名作『パンツァードラグーン』に似たゲーム、と評される事が多かった。
[編集] ガメラの変遷
昭和ガメラはアトランティス大陸に棲息していた巨大な亀の生き残りとされており、第一作で核兵器を搭載した飛行機が北極海に墜落・爆発した際に復活した。基本的には悪役だった第一作でも子供を助ける場面があり、大人向けに製作した二作目を除き、三作目以降は一貫して「子供に優しい正義の怪獣」として描かれる。
一方、金子修介監督が手がけた平成ガメラの三作は超古代文明が作り出した生体兵器とされている。また作品世界においては亀の先祖に相当する生物が恐竜と同時期に絶滅しており(劇中ではそのようなことに一切触れていないが)、「亀」という単語は一切登場しない。昭和ガメラ同様に子供を助けることもあるが、守るべき対象は人間でなく、基本的に地球そのものであり、敵対する怪獣を倒すためなら躊躇なく人々を巻き添えにする(ただしこれは第十一作の『邪神<イリス>覚醒』でのみ強調されており、第九作、第十作では人間を守ろうとするシーンの方が描き方として目立つ)。また、ガメラは環境に適応するため、自分の戦闘能力を高めるために短期間で進化する生物であり、その証拠に、劇中に出てくる度に戦闘的な体に変化している。また、驚異的な回復力を持ち、大きな傷を負っても短期間で治ってしまう。これらの特徴から、戦うために生み出された生体兵器との説はほぼ間違いないことがわかる。
平成に入って四作目のガメラは昭和ガメラ、平成ガメラとは異なり、33年前(1973年に相当)、大量のギャオスに町が襲われるシーンから入る。また、金子監督が最終的に描いたガメラ像とは異なり、人を助けるため自ら怪獣に挑むという設定になっている。ガメラ自体に驚異的な回復力は備わっていない。作品中、ガメラは生物の名前であるが、唯一、ガメラに「トト」と言う名前がつけられる。特に異なるのはガメラは文明の産物ではなく、文明と敵対する関係でもないということと、子供とガメラの成長物語であるということを強調している点である。
[編集] ガメラマーチ
ガメラ対宇宙怪獣バイラス以降の大映ガメラ映画の主題歌。ガメラの強さを歌い、頑張れと励ます内容である。当時大映専務の永田秀雄が作詞、音楽を担当していた広瀬健次郎が作曲した。演奏は大映児童合唱団、大映レコーディングオーケストラ。「大映児童合唱団」とはいうものの、実際にはその辺の子供を連れてきて歌わせたものだと湯浅監督は語っている。歌詞は三番まであり、一番では「悪魔の虹」、二番では「殺人音波」、三番では「宇宙怪獣」が登場し、それぞれ対バルゴン、対ギャオス、対バイラスを思わせる。それぞれ、「火炎噴射攻撃」、「かみつき攻撃」、「回転ジェットによる体当たり攻撃」が技として挙げられている。
同じ作者、演奏者による「ぼくらのガメラ」も使われた。こちらはガメラの大きさ、各種の技、戦車のような強さ、「ぼくら子供達」の友達であることを歌っている。
余談だがガメラといえばこの歌を思い出す世代人は多く、平成ガメラ公開時に劇場でこの歌を口ずさむ男性が度々見受けられた。
[編集] 関係事項
近年、中国で見つかった6500万年前の翼状の甲羅を持つ亀の化石は、熱心なガメラファンであるカナダの考古学者により「シネミス・ガメラ」と命名されている。
[編集] 関連項目
- ワニガメ
- 大怪獣東京に現わる - ガメラを思わせる「亀型怪獣」が福岡に出現する。
- 焼きたて!!ジャぱん - 亀の形をしたパンを食べた審査員が吊り上げられた状態でガメラのように回転し、そのまま著作権云々をとばしてそのままガメラを紹介していた(画面にはギャオス、ギロンも出ていた)。
- ラブひな - ガメラのパロディと思われるシーンが多数存在する。