イワシ
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イワシ(鰯)とは、ニシン目ニシン科のマイワシSardinops melanostictus、またはそれに形態の似た魚。日本の他、世界各地で食用にする。養殖魚の餌にもなる。また一部の文化では、イワシの頭は魔除けになるとされ、宗教的意味を付与されている。同時に、下衆魚(大衆魚)としてのイメージも古くからもたれており、「鰯の頭も信心から」(他人から見ればつまらないような物でも、それを信仰している人にとっては大事なものである)ということわざを生んだ。
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[編集] 名前の由来
「イワシ」という名前の語源には諸説ある。
- 陸に揚げるとすくに弱ってしまう魚であることから、「よわし」→「いわし」と変化した。
- 身分の低い(卑しい)人々の食べ物であったことから、「いやし」→「いわし」。
[編集] 食文化とイワシ
イワシの肉は、海に隣接する領域をもつほとんどの文化において主要な蛋白源のひとつである。また養殖魚や家畜の飼料としても重要。
日本では刺身のほか、塩焼き、フライ、酢の物、煮付けなどにして食用とする。小型のものはしらす干しや煮干しの材料になる。欧米においても、アンチョビーあるいはサーディンとして食用にされる。
栄養面では、DHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が非常に豊富。水揚げ後、痛みやすいという特性があり、このため目刺し、つみれなどに加工されることも多い。
ちなみに、人間の漁獲量よりも鯨の方がイワシの消費量は多い。
[編集] 漁業とイワシ
イワシは漁獲量が比較的多く、日本では伝統的に大衆魚に位置付けられる。しかし1980年後半からマイワシの漁獲が減少し、値段が高騰している。一方でアメリカ周辺の海では漁獲高が上がっており、またカタクチイワシの漁獲高はむしろ増えている。このようなイワシ資源変動の原因については諸説があるが、乱獲によるものではなく、長期的な気候変動によるということが今日では通説となっている。
[編集] 生態
[編集] マイワシの生態
マイワシの産卵は10〜5月で、冬を中心におこなわれる。孵化後は動物プランクトンを餌にするが、成長すると動物プランクトンよりも小さな植物プランクトンを食べるようになる。夏には四国沖から房総半島南の海岸にあるが、秋には三陸沖へ餌をもとめて移動する。 マイワシの寿命は最長で7年といわれる。最大体長は20cmを超える。
[編集] カタクチイワシの生態
カタクチイワシの産卵は3〜10月で、沿岸のものほど夏に産卵するものが多い。孵化後から動物プランクトンを主食にする。寿命は2〜3年である。
[編集] 種類
- マイワシ(ニシン目・ニシン科)
- ウルメイワシ(ニシン目・ニシン科)
- カタクチイワシ(ニシン目・カタクチイワシ科)
[編集] 漁業
[編集] 陸揚げ漁港
- 2002年度