家畜
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家畜(かちく)とは、人間が利用するために飼育する動物をさす言葉である。
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[編集] 定義
家畜(かちく)とは、その生産物(乳、肉、卵、毛、皮、毛皮、労働力など)を人が利用するために馴致・飼育している動物をいう。類義語に益獣(えきじゅう)があり、近年では「産業動物・経済動物」という呼称も一般化しつつある。また鳥類のみを指して家禽(かきん)と呼ぶ。この他の用途として愛玩動物があり、いわゆるペットや鑑賞用の動物を含める考えもある。
「家畜」という語の実際の使用はもっぱら哺乳類を、場合によってはこれと一部の鳥類のみを指し、魚類などには用いられない。例えばセキセイインコは愛玩のため広く飼育されるが、その生産物を人が利用するわけではないためにこれを「家畜」と呼ぶことはない。金魚なども同様であり、愛玩のために飼育する動物は特にペットという。
ただし法律では[要出典]一部のハチなど、特殊な昆虫が定義の中に含まれている。
定義を更に厳密にすると、単なる馴致や生産物の利用だけでなく、家畜化の過程で野生種と比較して体形をはじめとする外見が変化し、繁殖も含めた全ての生命維持活動を人の管理下に置かれるようになった動物が家畜である、という学者もいる。この場合、下記の家畜の中であっても、「家畜」とみなさないものがあるとするが、より広く家畜の範囲をとらえる場合ある。
[編集] 歴史
最も古い家畜は、イヌで、紀元前1万年頃に西南アジアで家畜化されたといわれる。その由来については不明な点も多いが、オオカミ系の動物が人間の残飯あさりから次第に共同的に活動するようになったとか、様々な憶測が行き交う。中国や北アメリカでも独自に家畜化が行われた。
ヒツジ・ヤギ・ブタは紀元前8000年頃の西南アジアで、それぞれムフロン・パサン・イノシシから家畜化されたと言われる。ブタは中国でも独自に家畜化されている。ウシは紀元前6000年頃に西南アジア、インド、それにおそらく北アフリカでオーロックスから家畜化されている。ウマは紀元前4000年頃のウクライナで、ロバは同時期のエジプトで、スイギュウも同時期の中国で家畜化されている。ラマやアルパカは紀元前3500年頃のアンデスで、グアナコから家畜化された。ヒトコブラクダは紀元前2500年頃のアラビアで、フタコブラクダも同時期の中央アジアで家畜化されている。
大型の動物では、その他にトナカイ・ヤク・バリ牛・ガヤルが古代に家畜化をされている。現代でもエランドやシマウマを家畜化しようという試みはあるが、これら以降に(狭義の)家畜化がなされた大型の動物は存在しないのが実情である。
ネコに関しては、北アフリカでネズミを駆除する目的で飼い始めたと考えられている。
[編集] 特徴
家畜動物には、野生のものには見られない、ある程度共通した特徴が見られる。
- 形質が非常に多様化すること。特に非適応的な形態のものが現れること。
- 繁殖期が延長すること。
- 病気等への耐性の低下。
- 繁殖等への人の手助けが必要になるなど、自立性の低下。
このような現象も家畜化と呼ばれる。
また、このような現象は、ある程度人間にも共通する。これは、人間が文明を築く内に、自らもその環境下での生活に適応した結果と考えられ、このことを自己家畜化という。
なお、ミツバチやカイコは昆虫であり、これを家畜と考える人は一般には少ないが、上記の家畜の定義に(脊椎動物でない事を除けば)叶い、この項に示される性質を共有する。その点では家畜と呼んで差し支えない。
[編集] 人間以外の家畜使用
一般に、家畜を使うのは人間だけと考えられているが、東南アジアのアリの1種に、巣内にササラダニの1種を育て、餌にするものがある。このササラダニは、自力では産卵できず、アリがそれを補助するという。
[編集] 代表的な家畜
[編集] 家禽
[編集] 飼育昆虫
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ジャレド・ダイアモンド、『銃・病原菌・鉄(上巻)-1万3000年にわたる人類史の謎-』、倉骨彰訳、草思社、2000年。
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