FairPlay
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FairPlay(フェアプレイ)は、QuickTimeマルチメディア技術に内蔵されiPod、iTunes、及びiTunes Storeによって使用されているこのデジタル著作権管理 (DRM:Digital Rights Management) 向けにアップルコンピュータ社が名付けた名称である。iTunes と共に iTunes Store から購入したそれぞれのファイルはFairPlayと同時にエンコードされている。また同社の携帯音楽プレーヤー・iPodシリーズはこの方式のファイルをスムースにシンクする。
日本で主流となっているWindows Media AudioのDRMに比べ、比較的ユーザにフレキシブルな二次利用を認めるため、日本では業界団体の反対により、iTunes Music Store開始が遅れた要因の一つと考えられている。現在でもTV番組の販売が出来ない主因も業界団体の強固な反対によるものであると言われている。
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[編集] 「FairPlay」の仕様(v2)
- パソコンでの再生:5台(コピーは無制限)
- 全く同じ内容の音楽CD作成:7枚
- iPodおよび対応携帯電話との同期:無制限
- 純正iアプリケーションでの利用:可
- ネットワークによる認証方式。解除、切り換えも可能。
- 複数アカウントの共存が可能。
[編集] 仕組み
FairPlayは公平かつ単純なDRM技術である。FairPlayで保護されたファイルは、暗号化されたAACオーディオストリームを含む正規のMP4コンテナファイルである。このAACはen:RijndaelアルゴリズムとMD5ハッシュの組み合わせを使っており、AACの暗号化を解くために必要なマスターキーもMP4コンテナの中に暗号化されて含まれている。このマスターキーの暗号化を解くために必要とされる鍵は“ユーザキー”と呼ばれている。
iTunesでファイルを購入する際に、マスターキーを暗号化する為の新たなユーザキーがランダムに生成される。この生成されたキーはAppleのサーバにアカウント情報と共に保存され、生成したiTunesにも送られる。受け取ったiTunesはユーザキーを、暗号化したキーデータベースへ登録する。このデータベースを使えばiTunesはマスターキーの暗号化を解く際に必要となったユーザキーを手に入れ、暗号化を解いたマスターキーを使ってオーディオトラックを再生出来るのである。
別のコンピュータ上から既存のアカウントで認証する場合、iTunesはそのコンピュータのユニークな識別子をAppleのサーバへ送り、アカウント情報と共に登録されたユーザキーを受け取る。このことによって、同一のアカウントで認証していれば別のコンピュータ上でも購入した楽曲を再生するために必要な全てのユーザキーを保持することができ、かつ認証できるコンピュータの数をAppleのサーバによって制限することを確実にしている。
コンピュータの認証を解除する場合、iTunesはAppleのサーバへコンピュータの識別子を削除するようにリクエストし、それと同時にiTunesのキーデータベースからユーザキーを削除する。
iPodもiTunesと同様に暗号化したキーデータベースを持っている。iPodへFairPlayで保護された楽曲をコピーする際、iTunesはiPodのキーデータベースへユーザキーをコピーする。iPodはそのユーザキーを用いて保護されたAACオーディオストリームを再生するようになっている。
これらの暗号化処理はQuickTimeとiTunesで固く施されているように見える。そしてデータベース自身も暗号化されているため編集が出来ないのである。