DVCPRO
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DVCPROは放送業務用ビデオ規格の一つ。DV規格を元に松下電器産業が開発し、SMPTE 306M/307M/370M/371M、及びIEC 61834-1/-2において標準化されている。 テレビ局の報道取材向けに信頼性を高めている。
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[編集] カセット
ソニーDVCAM規格、およびDV規格ではメタル蒸着型(ME)テープが用いられているが、DVCPROでは耐摩耗性・信頼性を考慮した結果、メタル塗布型(MP)テープが選択されている。
外形寸法は次のとおり。Mカセットは大体Hi8カセットと同じ大きさである。 また、miniDVカセットは使用されない。
- Mカセット 97.5×64.5×14.6 mm
- Lカセット 125×78×14.6 mm
- XLカセット 172×102×14.6 mm
[編集] 圧縮方式
DV圧縮をベースにした、DCT、マクロブロック構造、データシャッフリングなどを特徴とするイントラフレーム圧縮方式を採用している。
[編集] DVCPRO
DVCPRO (上位規格との区別のためにDVCPRO25の名称も使われる) は、 映像信号をコンポーネントデジタル 8bit、YCbCr 4:1:1 でサンプリングし、フレーム毎に圧縮をかけて記録する。
映像データレートはDVと同じく、約25Mbps。 圧縮方式は、NTSCではDV互換だが、PALにおいてはDV互換ではない(DV規格では、PALで記録する際にYCbCr 4:2:0が使用される)。 録画時間は184分(Lカセット)、66分(Mカセット)。
音声は2チャンネル、サンプリングレートは 48 kHz/16 bit。 ボディが黒、リッドが黄色のカセットを使う。
[編集] DVCPRO50
DVCPRO50は、 映像信号をコンポーネントデジタル 8bit、YCbCr 4:2:2 (クロマサンプリング周波数 を2倍) でサンプリングし、フレーム毎に圧縮をかけて記録する。
映像データ レートは約50Mbpsで、DVCPRO 規格 の2倍。 その結果、テープ 速度も2倍になり、録画 時間は半分の92分(Lカセット)、33分(Mカセット)となる。
音声 は4チャンネル、サンプリングレート は 48 kHz/16 bit。 カセット はボディが黒、リッドが青。
[編集] DVCPRO HD
DVCPRO HDは、 映像データレートをDVCPRO50のさらに倍にあたる約100Mbpsに高め、1080/60i、1080/50i、720/60p、720/50pのHD映像の収録に対応した。 映像信号は 8 bit コンポーネント YCbCr 4:2:2。 1080/60iでは1280x1080ピクセル、1080/50iでは1440x1080ピクセル、720pでは960x720ピクセルで記録される。 データレートの増大に応じてさらにテープスピードを速め、録画時間は32分(Lカセット)、16分(Mカセット)。
音声は 8 チャンネル、サンプリングレートは48 kHz/16 bit。 カセットのボディは黒、リッドは赤。
特徴としては、720pモードにおける可変フレームレート記録が挙げられる。 4~60フレーム毎秒の範囲で、自由にフレームレートが設定できる。
[編集] DVCPRO HD EX
DVCPRO HD EXはDVCPRO HD-LP方式での倍密記録を実現し、DVCPRO HDと同等の画質で、記録時間Lカセット64分、Mカセット33分を実現している。
[編集] 比較表
DVCPRO | DVCPRO50 | DVCPRO HD | |
---|---|---|---|
ビットレート(Mbps) | 25 | 50 | 100 |
カラーサンプリング | YCbCr 4:1:1 | YCbCr 4:2:2 | 同左 |
ピクセル数 | 720x480,720x576 | 同左 | 1280x1080/60i,1440x1080/50i,960x720 |
オーディオチャネル数 | 2 | 4 | 8 |
[編集] 備考
- 発売当初、テープの小型化やノンリニア編集化を理由に「導入すればスタッフ人員が減らせる」という広告を打ち、経営者からは注目されたが、根拠の無い内容で現場サイドの反発を買ったといわれる。
- 2006年現在、松下電器産業は、DVCPRO25のレンジに、DV規格の一般向けハイエンド機種(AG-DVC30, AG-DVX100Bなど)を充てる戦略をとっている。
- DVCPRO50の画質は ソニー のDigital BETACAMに迫るほどと評価されている。
- DVCPRO HDカメラである"VARICAM"(AJ-HDC27F)は、映画「突入せよ!あさま山荘事件」での現場初投入以降、高いプログレッシブ性能が評価され、映画やCMの制作に良く使われている[1]。
- DVと同様、IEEE1394ケーブルを用いてコンピュータとの接続が容易に行えるため、ノンリニア編集ソフトウェアによる対応が進んでいる。
- DVCPROの各圧縮方式はP2にも採用されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- DVCPROトータルソリューション 松下電器ビジネスサイト