Beatmania III
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『beatmania III』(ビートマニアスリー)は2000年にコナミ(現・コナミデジタルエンタテインメント)が発売した、『beatmania』の派生バージョンの一つ。5鍵盤+ターンテーブルという『beatmania』シリーズの基本デバイス構成に加え、フットペダルを搭載し、エフェクタ機能の充実などをはかったタイプである。また、音質も大幅に向上している。
初代バージョンは、『beatmania』シリーズの5thMIXまでのほぼすべての楽曲にオリジナル曲を加えて発売された。「beatmania CORE REMIX」の稼働以降は、『beatmania』シリーズから若干遅れたペースで追随するように、「APPEND ~」というタイトルで対応する新規楽曲を追加したバージョンを発売していった。そして、2002年の「beatmania THE FINAL」稼働に合わせて、こちらも「beatmania III THE FINAL」を発売し、『beatmania』シリーズとともに歴史に幕を下ろした。
本シリーズの位置づけは、どちらかというと『beatmania』シリーズに収録された楽曲(ただし、featuring DREAMS COME TRUEは除く)のアーカイブ的なものとされ、楽曲の総入れ替えが激しかった『beatmania』シリーズとは違い、筐体内記憶装置の大容量を活かし、基本的に旧曲の削除は行われなかった(外部版権曲は除く)。
本シリーズは正式に販売が始まる前に発売中止となってしまった機種であり、市場に出回ったのは先行出荷販売分のみである。そのため、設置している店舗は『beatmania』シリーズに比べると非常に少ない。発売中止となった要因としては、発売段階で直接の兄弟シリーズにあたる『beatmania』の人気が下降線をたどっていたこと、『beatmania IIDX』シリーズが絶頂期を迎えていたこと、その『IIDX』よりも筐体1台あたりの価格が高かったことなどから注文が集まらなかったためと言われている。
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[編集] 多彩なエフェクタ機能
両プレーヤーにエフェクタ選択用の3つのノブがあり、1つはエフェクタの種類を、残りの2つはそのパラメータを指定する。この組み合わせによって各プレイヤーのエフェクタが決まり、プレイ中もリアルタイムに変更可能である。このエフェクタ機能は筐体内に市販のエフェクタ内蔵サンプラー(ZOOM ST-224)を搭載する事で実現しており、高品質で豊富なエフェクトを使用することができる。尚、搭載しているサンプラーはエフェクタ機能のみ使用しており、サンプラー機能は一切使用されていない。
基本的には足元のフットペダルをエフェクタのON/OFFに使用するが、一部の曲についてはフットペダルの操作も含む譜面があり、その譜面をプレイする際は、代わりにスタートボタンをエフェクトのON/OFFに用いる。なお、フットペダルの操作を含む譜面しか用意されていない曲は存在しない。
また、エフェクタ機能をより効果的に体感できるようにするため、BEMANIシリーズで初めて、ヘッドフォンジャックが筐体に標準搭載されている。
[編集] フロッピーディスクドライブ搭載
筐体正面のディスプレイの下には3.5インチフロッピーディスクドライブがあり、ここにディスクをセットすることでプレイヤーの過去の成績などを保存することができる。また、この機能を使用した隠し要素として、いくつかの曲をクリアするか一定回数以上プレイすること(作品ごとに条件は異なる)で、一定曲必ずプレイできる"sozai"モードが出現する。
[編集] ゲームモード
シリーズ全作品において、以下のような構成となっている。
- kobako
- 難易度を落とした譜面によるモード。『beatmania』における各種低難度モードに相当。
- shikomi
- 標準のプレイモード。序盤ステージでは高難度曲は出現しない。
- tsunagi
- 所定のコース、または任意のプリセット4曲を1本のグルーヴゲージでプレイするモード。
- sozai
- フロッピーディスクを使い一定条件を満たすことで出現する、ステージ数保証モード。
『beatmania 6thMIX』で行われた低難度モードと標準モードの統合は、本シリーズでは最終作まで行われなかった。
[編集] プレイオプション
本作でも兄弟作の『beatmania』シリーズ同様に、各種プレイオプションが使用できる。基本的には『beatmania』同様のオプションが用意されているので、そちらの記述も参照されたい。
ここでは、本シリーズ独自の要素について記述する。
- HI-SPEED
- 基本的に『beatmania』同様の3段階であるが、倍率が異なり1.5倍、2倍、4倍である。
- なお、THE FINALでは倍率指定型になっていて、9段階まで増えている(最高は16倍速)。
- FAST-PLAY
- 一部楽曲へのみの適用となるが、シーケンスの落下速度のみに影響を与えるHI-SPEEDとは違い、こちらは楽曲自体の速度も変化する。倍率は1.25倍、1.6倍、2倍、0.8倍(0.8倍はスロープレイと呼んで、特別に区別することもある。ちなみに、APPEND CORE REMIXでは選択できない)。0.8倍とした場合、プレイ成績はフロッピーディスクに記録されない。
- FRAME
- 本シリーズでは曲ごとにプレイ時のフレームが決まっている。ただし、これは任意でプレイヤーが変更可能。『beatmania』で7thMIXから採用されたセパレートモードはこのモードで「SEPARATE」と表記されたフレームを選択することで使用できる(SEPARATEフレームはAPPEND 6thMIXより搭載)。また、ダブルプレイでセンター表示にするのもここで選ぶ。
- FOOT PLAY
- 5鍵盤のうち1レーンをフットパネル操作に割り当てることが出来るオプション。当然であるがFOOT Verの譜面では使用できない。
[編集] 作品リスト
初代バージョンを除き、本シリーズ独自の楽曲は新規追加されていない(『beatmania』楽曲のロングバージョンは除く)。特に指定がない場合、ここでいう「新曲」とは『beatmania』シリーズのもののことを指す。
- beatmania III(2000年3月稼動開始)
- 音質の大幅な向上、エフェクタ搭載による音を楽しむ機能の充実、当時としては画期的だったフロッピーディスクによるプレイ履歴の保存など、ソフトだけではなくハード的な新要素を多数盛り込んだ意欲作。本シリーズ独自の新曲以外にも『beatmania』の5thMIXまでのほぼすべての楽曲を収録し、アーカイバとしての側面も初作から備えていた。
- 『beatmania』も含めた5鍵盤シリーズで、隣り合った白鍵と黒鍵の同時押し(セパレートモードが存在しなかった時期のため、オブジェが重なって譜面が見づらくなった)を正規譜面でさせるという禁を最初に破った作品としても知られている。
- beatmania III APPEND CORE REMIX(2000年12月稼動開始)
- CORE REMIXの新曲、ClubMIXの新曲(外部版権曲を除く)、completeMIX 2の新曲と新規追加アナザー譜面、また『beatmania IIDX 3rd style』より3曲を追加したバージョン。
- CORE REMIXの企画・開発はもともと本シリーズのためのものとして進められていたが、諸般の事情により、『beatmania』シリーズが主、本シリーズが従となるような形になった。この傾向は、結局最終作であるTHE FINALまで続くこととなる。
- システム面では、completeMIX 2で採用され好評を博した「1P CENTER-PLAY」モードを搭載された。
- beatmania III APPEND 6thMIX(2001年7月稼動開始)
- 6thMIXの新曲を追加したバージョン。本シリーズの基板性能を活かして、本作から一部の曲についてロングバージョン(曲の長さは約2分間前後)も併せて収録されるようになった。また、明記されなくとも『beatmania』版と比べて若干尺が長くなっている曲もいくつかある。
- この作品以降、『beatmania』シリーズと制作チームが完全に統合され、1機種の予算で2機種の開発を行わなければならない事態となり、制作期間に至っては1ヶ月程度しか確保できないという状況が最終作まで続いた。このことが、本シリーズにおいて、本作以降での根本的なシステム刷新が行われなかった原因となったと思われる。
- beatmania III APPEND 7thMIX(2002年1月稼動開始)
- 7thMIXの新曲を追加したバージョン。本作からエンディング曲が可変になり(曲自体は、7thMIXのもの以外はすべて過去に『beatmania』シリーズで使用されたもの)、プレイ時の選曲傾向により決定される。
- beatmania III THE FINAL(2002年8月稼動開始)
- THE FINALの新曲を追加したバージョンで、シリーズ最終作。過去最大の収録曲数を実現した「beatmania THE FINAL」と併せ、これまでのシリーズの歴史を精一杯詰め込んだ最終バージョンとして、ユーザーからの好評を博した。
- また、ゲームモード選択画面が初代『beatmania』を彷彿とさせるもの(CLUB SAGAWAのマスターが登場する)となり、古くからのユーザーを喜ばせた。