AMD K5
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K5は、AMDが開発したマイクロプロセッサであり、インテルのPentiumに対抗した。 1993年に発売となったのは、問題が発生して予定していたクロック周波数では製造できなかったためである。 x86互換プロセッサであり、430万トランジスタで構成されている。 K5ではMMX命令はサポートされていない。 その内部構成は Pentium よりもむしろ Pentium Pro に近いもので、RISCコアに x86デコーダを組み合わせた構造である。
目次 |
[編集] 特徴
- 5個の整数演算ユニットを持ち、アウト・オブ・オーダー実行機能を実現。また、浮動小数点ユニットをひとつ持っている。
- 分岐ターゲットバッファはPentiumの4倍のサイズ。
- レジスタ・リネーミングにより並列実行性能を向上させている。
- 投機的実行によりパイプラインストールを減らしている。
- 命令キャッシュは16Kバイトで、Pentiumの2倍。
- 一次キャッシュは 4ウェイ・セットアソシアティブであり、Pentiumの2倍であった。
[編集] 経過
K5プロジェクトは AMD にとってインテルから技術上のリーダーシップを奪う機会であった。 チップの設計方針は正しかったが、実装では問題が発生した。 さらに浮動小数点演算性能は Cyrix 6x86 より高いものの、Pentium には負けていた。 結局、市場に出てくるのが遅れたために当初想定した性能では勝てなかったのである。 K5は Am486 や AMD K6 が成功したようにシェアを獲得することはできなかったが Pentiumバグの影響により、Pentiumの買い控えが進み変わりにK5が一時的にではあるが シェアを確保することができた。
K5 には二種類のバージョンがある。内部コード名 SSA/5 と 5k86 であり、どちらもK5の名前でリリースされた。
[編集] 各モデル詳細
[編集] SSA/5
- 製品名:5K86 P75~P100、後に K5 PR75~PR100
- プロセス:430万トランジスタ、500nm または 350nm
- 一次キャッシュ:8 + 16 KB (データ + 命令)
- 接続:Socket 5 および Socket 7
- 電源電圧:VCore 3.52V
- 外部バス:50 (PR75), 60 (PR90), 66 MHz (PR100)
- リリース時期:1996年3月27日
- 動作周波数:75, 90, 100 MHz
[編集] 5k86
- 製品名:K5 PR120~PR166 (200)
- プロセス:430万トランジスタ、350nm
- 一次キャッシュ:8 + 16 KB (データ + 命令)
- 接続:Socket 5 および Socket 7
- 電源電圧:VCore 3.52V
- 外部バス:60 (PR120/150), 66 MHz
- リリース時期:1996年10月7日
- 動作周波数:90 (PR120), 100 (PR133), 105 (PR150), 116.6 (PR166), 133 MHz (PR200)
注:PR200 は計画されたものの、ごく少数しか製造されなかったと思われる。
後継プロセッサはAMD K6である。
[編集] 外部リンク
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