音響監督
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音響監督(おんきょうかんとく)とは、主にアニメーションや外国映画・テレビなどの吹替作品において、音声面の責任を負うスタッフのことである。録音監督(ろくおんかんとく)とも言う。
[編集] 概要
アニメーションの場合、原作者、プロデューサー、監督と相談しながら、声優のキャスティングを行なう。脇役については、音響監督にある程度の権限があるため、才能を見込んだ若手声優を番組レギュラーに起用して育てるといったこともある。中には、小劇場の芝居を見に行って有望株と見た役者をスカウトしたりもする。
音響監督は、音響制作費の予算管理も行い、アニメーションの制作会社から提示された金額で、録音スタジオ使用料、音楽、効果音などを支出する。
声優の演技指導から始まって、どんな曲をどのタイミングでどれくらいの音量で流すか、あるいは流さないか、あるいはどんな効果音を使うかで、その作品を盛り上げるかを計算して、演出作業を行なう。この演出作業は音響監督だけでなく、アニメの監督や演出家と話し合いながら、共同で行なうことが多い。
東映アニメーションの場合は、音響監督制度を敷いておらず、担当演出者が音響監督の作業も兼ねるのが通例である。歴史的には虫プロダクションがテレビアニメ『鉄腕アトム』を開始した際、殺人的なスケジュールにより、音響演出が時間的に不可能だったため、内部に音響演出スタッフを別に置いたのが始まりとされる。その後の虫プロ系の制作会社の中には、完全に音響監督任せにして、アフレコにアニメ側の演出家が全く立ち会わないこともあったという。
音響監督のキャリアはさまざまであるが、アシスタントだった音声スタッフが昇進するか、アフレコの現場での経験を踏んでいて舞台の演出も行なったりする声優が音響監督に進出することが多い。
音響監督と声優、声優プロダクション、アニメ制作会社などの間には人脈が形成されやすく、音響監督によっては特定の声優をよく起用する傾向がある。
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