韓国伝統茶
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韓国伝統茶(かんこくでんとうちゃ)とは、朝鮮半島で伝統的に飲まれてきた飲料のこと。便宜的に『茶』と呼ばれているが、茶葉は使用していない。
[編集] 概要
朝鮮半島では李氏朝鮮時代の仏教弾圧により、仏教とともに伝来してきたとされる喫茶文化は完全に断絶している。また、仏教弾圧前にも一般民衆への広がりはなかった。
もとより、緯度・気候的に茶葉栽培に適した土地が少なく、現在は全羅南道の南部などでわずかに栽培されているのみである。これらの茶葉栽培は日本統治時代に普及したもので、現在の韓国における茶葉を使用した緑茶を飲む文化もそれ以降のものである。
食文化を歴史的に見ると茶葉を使用した喫茶習慣は朝鮮半島には存在しなかった。しかし、嗜好性の高い飲料に対する要求はどの民族にも普遍的にあり、朝鮮半島では茶葉を使用しない飲料が飲まれてきた。これらが韓国伝統茶と呼ばれるものである。
[編集] 伝統茶の種類
韓国伝統茶には以下のような種類が存在する。
- オクスス(コーン)茶 - 大粒のトウモロコシを焙煎したもの。
- ユルム(はと麦)茶 - はと麦を焙煎したもの。
- ポリ(麦)茶 - 日本の麦茶とおなじ。
- ユジャ(柚子)茶 - 柚子と砂糖、蜂蜜を煮込んだものに湯を注して飲む。見た目はマーマレード状。
- デチュ(ナツメ)茶 - ナツメの実と砂糖、蜂蜜を煮込んだものに湯を注して飲む。
- モクァ(カリン)茶 - かりんの実と砂糖、蜂蜜を煮込んだものに湯を注して飲む。
- センガン(生姜)茶 - 生姜と砂糖、蜂蜜を煮込んだものに湯を注して飲む。
- ボルクル(蜂蜜)茶 - 蜂蜜をそのまま湯に溶かしたもの。「クル(蜜)茶」とも。
- インサム(人参)茶 - 高麗人参を煎じたもの。健康飲料。
- スンニュン(おこげ茶) - 炊飯器についたおこげに湯を注して飲む。昔は石鍋でご飯を炊いていたためにおこげができやすく、家庭でよくおこげ茶が飲まれた。炊飯器が普及しておこげができにくくなり、麦茶やトウモロコシ茶がよく飲まれるようになったが、最近の韓国の炊飯器にはおこげモードのついているものも存在する。
- キョルミョンジャ茶 - エビス草という野草の種を煎じたもの。
- トゥングルレ茶 - ユリの根を煎じたもの。
- オミジャ(五味子)茶- チョウセンゴミシというつる性の低木の実を煎じたもの。甘味、酸味、苦味、辛味、塩味の5つの味を感じるというので五味子の名がついた。
- ケーピ(桂皮)茶 - 肉桂(シナニッケイ)の茶。
[編集] 日本における韓国伝統茶
日本でも韓国伝統茶の材料は韓国食品を扱っている商店などで入手可能。またお台場のヴィーナスフォートに韓国伝統茶を提供する店があったが、すでに閉店している。